新規事業担当者ならでECサイトの構築を考えている場合、事前にリスクや注意点を把握して事業計画を立てたいはずです。
ECサイト運営には事前に把握しておくべき、下記7つの注意点があると筆者は考えます。
注意点② クレジットカード決済にはカード手数料が3~5%程度必要
注意点③ 広告予算を捻出しにくいビジネスモデル
注意点④ ECサイトへの集客が難しい
注意点⑤ Amazon・楽天市場との差別化
注意点⑥ Amazon Primeが普及して送料無料が当たり前になりつつある
注意点⑦ 無料のECサイトでは、URLを引っ越せない!
この7つを事前に理解しておかないと、ECサイトの立ち上げ時に集客に非常に苦戦したり、あるいは将来ECサイトを引っ越すときに売上を減らしてしまうリスクを内在することにつながるからです。
本日は、forUSRES株式会社でコンサルティングをしている筆者が、ECサイトの7つの注意点を解説いたします。
ECサイトを開業する前に知っておくべき7つの注意点とは?
それでは早速、7つの注意点についてひとつずつ解説してまります。
注意点① サイズ感や素材感がECサイトでは把握しにくい
ECサイトの一番のデメリットとも言える点ですが、ECサイトでは実店舗のように試着したり、実際に商品に触れて質感やサイズ感を把握することができません。ごく当たり前のことですが、このことを強く意識してECサイトを運営しないとなかなか商品が売れません。
そのため、ECサイトでは以下のことを実施して、サイズ感や素材感に関する不安感を払拭する必要があるのです。
◆ECサイトの商品についてのサイズ感や素材感の悩みを払拭する主な方法
✓詳しい採寸情報や原材料情報を掲載する
✓商品説明欄をユーザーの目線で徹底して書く
✓ユーザーレビューを集める
✓返品可能をアピールする
✓商品についての動画を設置する
これらを踏まえてしっかり運営しているのがAmazonの商品ページです。
◆Amazonの商品ページ
Amazonは単に大手企業だからEC業界においてシェアを獲得しているわけではなく、小さな施策を積み重ねて、ユーザーの不安を払拭しているのです。ですから当たり前のことかもしれませんが、ECサイトで商品ページを作る際は「ユーザーは商品を手に取って触ることができない」という点を強く意識し、「ではどのようにして商品の情報を伝えるか?」を考えることが重要なのです。
注意点② クレジットカード決済にはカード手数料が3~5%程度必要
下記をご覧ください。SBペイメントサービス株式会社が公開した、2022年度におけるECサイトで使われる決済手段の利用率の調査結果です。
【2022年度版】ECサイトにおける決済手段の利用実態調査結果を公開(出典元:SBペイメントサービス株式会社)
ECサイトの決済の基本はクレジットカード決済となります。ただし、カード決済手数料が3~5%程度が1商品ごとにかかるので、決済手数料を含めて事前にECサイトの商品価格を決める必要があります。また、クレジットカード決済以外のPayPay(オンライン決済)やコンビニ決済や代引きなども手数料がかかります。
決済手数料は契約するECカートシステムに付属する決済、あるいは個別に契約する決済代行会社によって手数料のパーセンテージが変わりますが、注文数の多い大手には安いプランが用意されます。注文数が1日あたり100件未満であれば、ECカートシステムに付属する決済を使うことになり、手数料は各カートシステムのホームページで公開されております。
以下に、筆者が独自にまとめた「クレジットカード決済手数料の一覧」を掲載しますので、こちらも参考にして、ECサイトの導入を検討してみてください。
◆有名ECカートシステムのクレジットカード決済手数料の一覧
手数料データの引用元一覧
注意点③ 広告予算を捻出しにくいビジネスモデル
一概には言えませんが、下記の記事によるとECサイトの平均単価は2,000~4,000円程度で、単価が高いとは言えません。
さらに、この単価の中には原価以外にもECのシステム利用料、決済手数料、人件費など諸費用も含まれます。そうすると、広告のノウハウもなく広告費を使ってしまうと赤字になってしまいます。
例えば、下記のようなGoogleショッピング広告に費用を使うとします。
◆Googleショッピング広告
Googleショッピング広告の広告費用は1クリックあたり10~100円かかりますし、一般的な購入率(CVR)の目安は1%であり、それを踏まえると1商品を売るために100クリックが目安となります。そうすると1商品を売るために最低でも1,000円はかかるので、よほど単価が高い商品であったり原価が安い商品でないと採算があわないのです。
そのため、多くのECサイトでは、広告に費用をかけずに集客するのがポイントとなります。その手法としてSNS施策やSEO施策を利用する事業者が多いのです。
注意点④ ECサイトへの集客が難しい
多くのECサイト運営者が苦戦しているのが「集客」です。なぜならSNS施策もSEO施策も短期的施策ではなく中・長期的施策であるため、効果が出るために最短でも半年はかかります。また、SNSもSEOも独自のノウハウが必要であり、また、両施策とも多くのEC事業者が着手しており、レッドオーシャン化しております。
新規事業者の場合は、最初に取り組むのはInstagramが良いでしょう。その理由は以下の通りです。
◆Instagramが集客に向いている理由
・写真や動画で世界観をアピールしやすい
・タグを使えば、世界観に共感するユーザーに届きやすい
・ノウハウがWEBやYouTubeで公開されている
・多くの人がアカウントを持っており、馴染みがあるSNS
・InstagramショッピングでECサイトとのシームレス連携が可能
Instagramでフォロワーを増やす方法は、Instagramのフォロワーが多い方にノウハウを習うのが一番ですが、周りにそういった方がいない場合は、YouTubeで多くのインフルエンサーがInstagramのコツを紹介しているので、ノウハウを学んでみてください。
また、当サイトでもInstagramのフォロワーの増やし方について下記記事にまとめておりますので、ぜひ併せてご覧ください。
注意点⑤ Amazon・楽天市場との差別化
ECサイトを開業するにあたって、ユーザーのEC利用について考えてみないといけません。それは、日本においてはAmazonと楽天市場の存在です。明確なデータはありませんが、日本においてはこの2社がEC市場をほぼ独占しているような状況です。
この記事を読んでいるあなた自身も、日常的に利用するECサイトはAmazonか楽天市場のいずれかではないでしょうか?そして、あなた自身が最近、Amazonや楽天市場のECサイト以外で買い物をしたでしょうか?
つまり、Amazonや楽天市場ではなく、あなたのECサイトで購入する理由やブランディングを追求しないと、自社のECサイトを利用されることはありません。そのためにAmazonや楽天市場にはない独自の商品を用意したり、あるいは専門店としての世界観をアピールして、ECサイトを差別化をする必要があるのです。
注意点⑥ Amazon Primeが普及して送料無料が当たり前になりつつある
Amazon Primeにより「スピード配送」や「送料無料」がユーザーに浸透してきました。そのためユーザーにとっては、ECサイトは送料が無料であるべきという意識が根付きつつあります。下記をご覧ください。
◆米Amazonプライム会員の配送についての意識調査
アメリカの調査結果ですが、ユーザーは送料無料を期待するようになっているのです。まだまだ送料がかかるECサイトの方が多いのですが、新規事業でECサイトを立ち上げたばかりであれば、送料をマーケティング費用と考えて、ECサイトオープンキャンペーン施策としても送料無料を検討してみましょう。
注意点⑦ 無料のECサイトでは、URLを引っ越せない!
もし、数年後にECサイトの売上が月商1,000万円を超えて、業務効率の面で、より機能が豊富なECシステムが必要になったと仮定しましょう。その時に重要なことが、ユーザーが使い慣れている「URL(ドメイン)」をそのままでシステムだけを乗り換えるのが理想的なのですが、無料であったり安価なECシステムにはそれができないことが多々あります。
そうなると、ECサイトのリニューアルのタイミングで相当売上が少なくなる可能性もあります。現に筆者は、ECシステムを月額数万円のタイプから10万円以上のタイプにリニューアルしたEC事業者が売上が5分の1までに下がった会社を知っております。このEC事業者はリニューアルについてドメイン変更をなんの対策もせず実施してしまったのです。
そのためEC事業を本気で考えているなら、事前にECシステムのベンダーにURLの引越しが将来可能かどうかを聞いておきましょう。
まとめ
ECサイトを作るのは非常にカンタンな時代となりましたが、ECサイトに集客をしたり、実際に注文してもらうのは非常に大変です。また、明確なやり方が存在するわけではなく、いろいろな手法が存在ます。
しかし、まずはECサイトにチャレンジして、走りながら考えてみることも大切です。今は、固定費無料のカートシステムがあり、気軽にECサイトをオープンできますし、実際にECサイトを開業してチャレンジしてみることも大切です。
あなたの、ECサイト運営が上手く行くことをお祈りいたします。
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◆futureshop(フィーチャーショップ)で注文を増やす機能の例
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