仕入れ未経験者のためのEC販売における仕入れ業者の探し方

EC事業を立ち上げる際、「仕入れはどうやるんだろう?」「売りたい商品は決まっているが、どこから仕入れればいいのか?」と、商品の仕入れ方や仕入れ業者の選定に悩んでいる事業者や担当者もいるのではないでしょうか。

仕入れには、大きく下記の5つの方法があります。

・仕入れサイトを利用する
・海外から仕入れる
・卸業者(問屋)から仕入れる
・メーカーや生産者から直接仕入れる
・展示会や見本市などのイベントに参加する

このような仕入れ方法から、自社の扱う商品や規模に応じた仕入れ業者を選定する必要があります。

しかし、いずれの方法で仕入れを行う場合においても、もし仕入れが初めてという場合は、売れる商品・売れない商品を見極める目を養っていくために、少量から始めて経験を積んでいくことが重要です。

本日は、forUSERS株式会社でコンサルをしている筆者が、ECサイトの商品の仕入れについて詳しく解説いたします。これから仕入れを始めるという方は、ぜひ参考にしてみてください。

商品を仕入れる5つの方法

まず、ECサイトで販売する商品を仕入れようとする場合、主に下記5つの方法があります。

方法① 仕入れサイトを利用する
方法② 海外から仕入れる
方法③ 卸業者(問屋)から仕入れる
方法④ メーカーや生産者から直接仕入れる
方法⑤ 展示会や見本市などのイベントに参加する

これらについて、一つひとつ解説いたします。

方法① 仕入れサイトを利用して仕入れる

最も早く簡単に商品を仕入れる方法は、仕入れサイトを利用して商品を仕入れる方法です。仕入れサイトでは基本的に、サイト上で簡単なアカウント登録を行えば、ECサイトでの買い物感覚で商品を購入する(仕入れる)ことができます

仕入れサイトには、主に下記のような種類があります。

・多くのジャンルの商品を扱うモール型仕入れサイト
・あるジャンルに特化した仕入れサイト
・メーカーや問屋が独自で運営するサイト

大別すると上記のようなサイトがありますが、この中でも無料・有料、また法人のみ利用可能など、サイトによって様々な条件があります。

仕入れサイトは、PCやスマートフォンがあればオンライン上で多くの商材を探すことができ、多くのサイトは1点から購入することも可能なため、特に仕入れが初めてであれば初期費用を抑えてスタートすることができるメリットがありますが、一方で下記のようなデメリットもありますので注意が必要です。

◆仕入れサイトのデメリット

・条件が緩いサイトであるほど誰もが利用しやすいため差別化が難しい上、市場に出回って利益が出にくい商品が多い
・商品の実物を確認できないため、実際の商品がイメージしていたものと違う場合もある

方法② 海外から仕入れる

海外から商品を仕入れるメリットは、国内で取り扱っていないニッチな商品を仕入れることができる点です。また、商品によっては日本で仕入れるよりも安価に仕入れることができる場合もあるため、競合差別化が図りやすく効率的なEC運営が可能になります。

海外から仕入れる場合も、現地の仕入れサイトを利用してオンラインで商品を仕入れることが可能です。当然サイトのインターフェースは現地の言語ですし、メールなどのやり取りも外国語になりますが、翻訳ツールで翻訳できるレベルでも十分に取引が可能なので、それほど問題にはならないでしょう。

ただし、海外から商品を仕入れる場合は、関税や為替リスクを念頭に置いておく必要があります。また、コピー品や偽物も出回りやすいため注意が必要です

なお、海外品を仕入れたい場合、現地で直接買い付けることもできますが、国内で開催される輸入品の展示会や見本市で仕入れることもできます。展示会情報は「日本貿易振興機構(JETRO)」のサイトで確認することが可能です。

参考:世界の見本市・展示会情報(JETRO)

方法③ 卸業者(問屋)から仕入れる

卸業者がメーカーから仕入れた商品を仕入れる方法です。卸業者から仕入れる方法には下記のような特徴があります。

◆卸業者仕入れの特徴

・複数のメーカーから商品を仕入れているため、自社のECサイトの取扱商品を圧倒的に増やせる
・仕入れサイトなどでは扱っていない人気商品を仕入れることができる
・基本的に掛け売りで、一般的には当月末締め翌月末払いの支払いになる
・大量発注はもちろん、業者によっては小ロット発注も可能

上記の通り、特徴としてメリットの多い仕入れ方法ですが、商流に卸業者が介入する分、利益率は下がってしまいますし、基本的には契約に審査が必要といったデメリットもあります。

しかし、卸業者では人対人のやり取りになるため、担当者と良好な関係を作ることができれば、値引きなど好条件で対応してもらえることもあるようです。

また、卸業者によっては店舗を構えている業者もあり、多くは問屋街と呼ばれるエリアにまとまって出店しています。筆者も先日、浅草のかっぱ橋道具街を散歩してみたのですが、食器やキッチン用品から厨房機器まで、それぞれの専門店が圧倒的な品揃えで軒を並べており、歩きながら覗いてみるだけでも楽しく、興味深い体験でした。

こういった問屋街で直接業者と交渉することも可能なので、興味があればこのような問屋街に足を運んでみることもお勧めします。

方法④ メーカーや生産者から直接仕入れる

メーカーや生産者から直接仕入れをしようとする場合、まずはメーカーに電話やメールで直接連絡をして、卸価格で仕入れが可能かを問い合わせます。もし契約ができれば、仲介業者を通さない分、かなり安く商品を仕入れることができますし、長期的に安定した仕入れが可能になります。

しかし、メーカーから仕入れる場合は、ロット単位でまとまった数量を仕入れなければいけない場合がほとんどのため、最初からある程度の資金力が必要になることに加え、特に個人の場合などは審査や交渉に時間もかかるため、簡単ではありません。

ただし、筆者の知人に聞いた話ですが、直接問い合わせてもし契約が叶わなかったとしても、その際に、メーカーが卸している問屋を紹介してもらえる場合があるそうです。そして、その問屋に「メーカーの○○さんから紹介してもらいました」と言うと、好条件で取引してもらえるケースもあるそうなので、自信がなくても一度メーカーに問い合わせてみることをお勧めします。

方法⑤ 展示会や見本市などのイベントに参加する

東京や大阪などの都市部では、定期的に展示会や見本市などのイベントが開催されておりますので、そこに足を運んで仕入れ先を開拓する方法です。多くのメーカーが一堂に集い、現地で即交渉ができるため、自分が取り扱う商品に関連するイベントに参加すれば、効率的に仕入れ先を見つけることができるでしょう。

方法④では、自分がメーカーに対して「仕入れさせてくれないか?」と交渉する側になりますが、展示会などはメーカー側が「うちの商品を扱ってみませんか?」と営業する側になるので、比較的仕入れの契約も成立しやすいメリットがあります。

ただし、通常このようなイベントは招待制になるので、イベントの公式サイトの申込フォームから参加申請をするなどして、招待状を受け取る必要があります。

国内外の代表的な仕入れサイト

それでは、代表的な仕入れサービスサイトについて、日本国内のサイトと海外のサイトに分けて紹介いたします。

国内サイト

NETSEA

NETSEA

NETSEA

NETSEA(ネッシー)は、国内最大級の仕入れサイトです。アパレル、コスメ、雑貨、食品、家具など多彩なジャンルの商品を約200万点以上扱っており、圧倒的な商品数を誇ります。

NETSEAの大きな特徴は、登録料が無料で会費などもかからず、1点から仕入れることも可能な点です。そのため、面倒な手続きもいらず誰でも簡単に仕入れを行うことができることがメリットですが、その分競合ライバルも多く、人気商品などはすぐに売り切れてしまうため、頻繁にチェックして、売れそうな商品は早めに押さえておく必要があります。

卸問屋.com

卸問屋com

卸問屋.com

卸問屋.comもマルチジャンルに商品を扱う総合仕入れサイトですが、特に雑貨の取り扱いに強みを持っています。卸問屋.comも会員登録や月額料金は無料ですが、登録には審査が必要です。そのため、審査に通過すれば自社にとっての競合優位性となるでしょう。

卸問屋.comでは、在庫限りの商品や処分品を特価で販売することがあるため、リピート仕入れはできませんが、良品を格安で仕入れることが可能です。

TOPWHOLE

TOPWHOLE

TOPWHOLE

TOPWHOLE(トップホール)は、アパレル専門の仕入れサイトです。アパレル専門らしく、仕入れサイトながら一見するとブランドECサイトのような雰囲気のサイトです。

商品の画像は、モデルの着用画像も含め自サイトで使用することが可能なので、アパレルを扱うECサイトで重要な写真のクオリティに悩むこともないでしょう。

会員制で月額3,300円(税込)がかかり、仕入れがない月についても固定で会費がかかってしまうデメリットはありますが、一方で有料会員制のため競合も比較的少ないといった面もあります。

海外サイト

AliExpress

Aliexpress

AliExpress

AliExpress(アリエクスプレス)は、中国のアリババグループが運営するグローバルなECサイトです。中国のメーカーから直接安く商品を仕入れることができます

筆者も個人的な買い物でAliExpressを利用したことがありますが、やはり価格が非常に安く、商品によるかもしれませんが、海外サイトにしては比較的配送が早かった印象があります。中国のサイトですが、中国国外に向けたサイトでもあるため多くの言語に対応しており、購入完了まで日本語で完結できることも特徴です。

下記のように、頻繁にセール商品や新商品などの案内が来るため、タイミングが合えば商品を非常に安く仕入れることもできるでしょう。

◆AliExpressの配信メール

AliExpressメルマガ

淘宝網

淘宝

淘宝網

淘宝網(タオバオワン/タオバオ)は、AliExpress同様に中国のアリババグループが設立した中国・アジア最大級のECモールサイトです。商品点数が圧倒的で、あらゆる商品を取り扱っており、「淘宝で見つからないものはない」と言われるほどの品揃えを誇ります。

AliExpressが中国国外向けであるのに対して、タオバオは中国国内向けのECサイトといった位置付けですが、日本をはじめ海外からの仕入れにも頻繁に利用されているサイトです。

10億点以上もの商品を扱っているとも言われているため、日本ではまず見つからないようなニッチな商品も手に入りますし、1点から購入可能であることも大きな魅力です。

ebay

ebay

ebay

ebayはアメリカに拠点を置き、世界190カ国に展開する世界最大規模のオンラインマーケットプレイスです。個人・法人含め2,500万人が出品しており、幅広い商品が扱われております。

Amazonと比較されることが多いebayですが、特にアパレルなどをはじめ、Amazonなどが取り扱っていないようなビンテージアイテムなど珍しい商品を扱っていることが特徴です。日本では、2023年現在も古着がブームですが、ユーズドTシャツもまとまった枚数で購入することが可能なため、古着販売で現地買付が難しい場合の仕入れ先としても重宝するはずです。

なお、ebayのガイドラインに、出品禁止商品として「Used clothing(古着)」の記載がありますが、厳密には適切な清掃を行いその旨を記載することで出品が可能となります。ただし下着類・靴下類などは、清掃しても出品NGなようです。

参考:eBayサポートチャンネル

海外サイトから仕入れる際の注意点

もし、仕入れに海外のサイトを利用する場合は注意が必要です。日本で販売する商品を海外から仕入れる際は、個人輸入ではなく「小口輸入」として仕入れる必要があります。個人輸入と小口輸入では課税金額が変わってくるため、営利目的の商品を個人輸入すると違法となってしまいます。

参考:小口輸入に必要な手続きと関税の計算方法(HUNADE)

また、海外の仕入れサイトは商品数も圧倒的に豊富で、日本で扱っていないような商品もありますが、日本において規制されている商品もありますので、成分なども含めて確認が必要です。さらに、前述しましたが、海外サイトは偽物やコピー品もたくさん出回っていることが多く、そのようなの商品を販売すると、これも違法行為になってしまいます。

海外サイトを利用する際は、このように注意すべき点がたくさんあるので、事前にしっかりと知識をつけておくことが重要です。

フリマサイトからの仕入れは違法となるので注意!

商品の仕入れにフリマサイトやオークションサイトを考えている方もいるかもしれません。今日では、メルカリやラクマ、Yahoo!オークションなど多くのフリマサイトやオークションサイトが存在しており、商品数も豊富で安く購入することができます。

しかし、これらのサイトを仕入れに使用することは古物営業法違反となるため注意が必要です。なぜなら、フリマサイトやオークションサイトでの仕入れは、古物営業法で定める本人確認等を行うことができないからです。したがって、このようなサイトから仕入れることで実質的に違法となってしまうのです。

これまでフリマサイトでの仕入れはグレーゾーンとされてきておりましたが、これについては警視庁が2021年に公式見解で「違法である」と明言しております。

引用:警視庁が公式見解!フリマアプリからの仕入れは事実上違法(リユース・リサイクル情報局/JRITS)

商品を仕入れないドロップシッピングとは?

本記事では一般的な仕入れ方法として、在庫を持つ前提での仕入れ方法を中心に解説いたしましたが、在庫を持たずに商品を販売するドロップシッピング(無在庫販売)というビジネスモデルもあります。自社のECサイトで商品が購入されると、卸業者から直接商品が購入者へ発送される仕組みです。

◆ドロップシッピングの仕組み

ドロップシッピングのモデル

ドロップシッピングには下記ようなメリットがあります。

◆ドロップシッピングのメリット

・商品の仕入れがないため在庫リスクがない
・商品の梱包や発送は卸業者が代行するため作業コストを削減できる
・ネットの接続環境さえあれば場所を選ばずスマホ1台から始められる

このようなメリットから、誰でも実施しやすいビジネスモデルではありますが、その分競合も多く、無在庫販売対応の仕入れ業者やサイトも限られているため、商品が被りやすいといったデメリットもあります。

また、商品が手元にないため魅力が伝えづらく、競合と同じような商品説明になってしまう可能性もあるため、しっかりとサイトのブランディングを行う必要があります。

ドロップシッピングを実施する場合は、無在庫販売に対応した仕入れ業者を探す必要があります。国内でドロップシッピングに対応した仕入れサイトには下記のようなサイトがあります。

良い仕入れ先は経験により見つかるもの

本記事で解説した通り、ECサイトを運営する際の仕入れには様々な方法があります。自社が扱う商品や規模に応じた仕入れ業者を選定することが大事ですが、初めて仕入れを行うのであれば、まずは登録・会費無料の仕入れサイトを利用して、少量から仕入れを行うことをおすすめします

売上を上げるための仕入れは、次に売れそうな商品を常にリサーチする「目」と、売れなくなった商品は早めに切っていくという「判断力」を養う必要があるからです。そのため、いきなりまとまった在庫を仕入れるよりは、少量から始めて経験を積んでいくべきでしょう。

しかし、誰もが利用するような仕入れ業者では、競合も多く人気商品も手に入りづらいため、なかなか利益につながりにくいでしょう。そのため、そのような有名仕入れサイトである程度仕入れのコツを掴んだら、海外の仕入れサイトを利用したり、あるいは卸問屋やメーカーに問い合わせて仕入れ契約を申し込むといったステップに移っていくのが良いでしょう。

卸業者やメーカーからの仕入れは人と人のやり取りになりますので、関係値を高めていけば思わぬ好条件や、人気商品を扱わせてくれるかもしれません。このように、仕入れは一朝一夕で上手くいくものではなく、良い仕入れ先は経験により見つかるものだと筆者は考えます。