【ちょっとだけ】EC業界への転職に興味を持った人が読む解説

就職や転職を考えている方が、ネットの求人票を眺めて「EC業界」という言葉を見つけても

「ECってAmazonとか楽天のことかな?」
「EC業界って、どんな仕事やるのだろうか?」

とほとんどの人が思案してしまうと思います。

EC業界の仕事は非常に魅力的です。なぜなら、コロナ禍においても市場成長率が右肩上がりの業界であり、かつEC業界は人手不足です。そして未経験でも20代であれば、転職しやすく、30代で未経験は厳しい場合もありますが、ECサイト経験を自身で積み上げることで採用してくれる企業は必ずあります。

筆者自身も37歳からEC業界に未経験で入りましたが、EC業界は変化が早くまた、あらゆる業界や要素が関連するため非常に面白く、将来、オンラインビジネスがあらゆるビジネスの中心になると言う前提で考えると、キャリアを磨くのに必ず役に立つ業界とも言えるでしょう。

本日はforUSRES株式会社(フォーユーザーズ)で、コンサルティングをしている筆者が、EC業界に転職を考えている方向けに、EC業界について詳しく解説いたします。

EC業界の平均給与は453万円とやや高い!

マイナビのエージェントのデータを見ると、平均給与は453万円です。

EC業界の平均給与

データ引用先:インターネット関連(EC/ASP/ポータル)

国税庁の調査によるとサラリーマンの平均給与が443万円※であることを考えると、データ元が異なるので一概には言えませんが、EC業界の給与は平均よりも少しだけ給与が高い業界と言えます。

データ引用先:令和3年分 民間給与実態統計調査(国税庁)

しかし、453万円はあくまで平均値で、EC業界に所属する筆者の肌感覚ですと、役職者は20代でも500万円以上はあります。また、比較的新しい業界のため給与体系が年功序列というよりは、実力主義の面が強く、実力とEC業界内にそれなりの人脈をつくれば、20代後半で500万円は目指せます

現に、筆者も8年前にこの業界に入った時は、37歳で年収が600万円でしたので、年収は他の業界と比べても悪くない印象です。では、EC業界にはどのような会社があるのでしょうか?下記をご覧ください。

◆EC業界で有名な企業の平均年収

平均年収ランキング2021-2022

データ引用先:EC業界の平均年収ランキング(2021年-2022年)

Zホールディングスとは、Yahoo!やLINEのグループです。サービスとしてはYahoo!やLINEが有名ですが、ECもYahoo!ショッピングやYahoo!オークション、あるいはLINEショッピングなどが存在します。業界の最大手の1社ということで、平均年収が1,000万円を超えております。

メルカリや楽天などは誰もが知るECのサービスですが、BEENOSなどは聞いたことがない方がほとんどだと思いますが、越境ECと呼ばれる海外向けのECサイトを運営するためのサービスや、あるいは国内外のEC関連会社に出資しているグループ会社で、EC業界ではかなり老舗の大手事業者です。

その他には、ファーストリテーリングや、大塚商会など、EC以外に店舗ビジネスの売上が大きい会社も含まれていますが、EC業界としても大手事業者となります。クルーズはプチプラファッションブランドが集まった国内最大級のアパレルショッピングモールサイト「SHOPLIST」を運営しています。同社ではSHOPLISTの運営で培ったノウハウにより、独自のECソリューションサービスも展開しております。

このランキングデータからもわかる通り、EC業界は平均年収が安い業界ではありません。また、最初にこれらの有名企業に入社できなくとも、EC業界は常に人手不足です。中小規模のEC業界でECに関する知見やノウハウを身に付けて、ここのランキングに掲載されているような企業に転職するのは不可能ではありません。

筆者の知り合いのエンジニアも、ECプラットフォーム事業者で経験を積んでから楽天に転職しましたが、年収が150万円もアップしました。このようにEC業界の経験は業界で非常に優遇されますから、最初に入社する会社が大きくなくとも、キャリア形成ができるなら年収アップも難しいことではないのです。

そういう意味でもEC業界への就職や転職はおススメできます。

EC業界の仕事は、ECサイト運営担当者がおススメ!

EC業界にも、もちろん営業もいれば、総務、人事もいます。では、EC業界に特有な職種とはなんでしょうか?それはECサイト運営担当者です。読んで字のごとくですが、EC運営担当者とは、ECの運営に関する多くを担当します。以下の基本的業務の一覧をご覧ください。

◆ECサイト運営担当者の基本的業務

・仕入れ業務
・ささげ業務(撮影、採寸、原稿の略でささげと呼ばれる)
・商品登録
・受注管理
・配送業務

EC事業者によっては、ECサイトのWEBマーケティングや顧客担当まで、EC運営担当者が担当することもあります。体制が整っている大手では分業が進んでいますが、中小事業者のECサイトは一人で全てを担当することは珍しいことではないのです。

また、EC運営担当者になれば、商品の仕入れから配送までの、一連のECサイト業務の流れを把握できるため、オンラインビジネスで独立や起業を将来考えている方には、非常に役に立つ職種と言えます。

ECサイト自体は、実はBASEやSTORES、カラーミーショップといった、固定費が無料のECサイトを使えば、初期費用無しでECサイトをすぐに作ることができます。そのため、ECサイトの運営経験は、独立起業を考えている方にも非常に向いているのです。

EC業界には、商品、決済、配送業者、マーケティングツールなど様々な要素があって勉強になることが多い!

EC業界の特徴とも言えるのですが、ECサイトで商品を売るために多くの業界の方と接することになります。まず、ECサイトですから、当然商品がないといけません。自社開発ではない場合は、売れそうな商品を仕入れる必要がありますし、また、ECサイトの決済はクレジットカードだけではなく、

◆ECサイトの決済方法

・クレジットカード
・代金引換
・銀行振込
・コンビニ決済
・PayPal

など様々あります。これらの決済方法は、決済手数料がとられますし、また自社ECサイトのターゲット層を考えて導入する必要があります。そして決済の次には、配送業者を手配する必要があるなど、多くの業界の方と接するようになります。

また、ECサイトで売上を高めるためのマーケティングツールなども多数あります。

◆マーケティングツールの例

・WEB接客ツール
・WEB広告配信ツール
・メールマガジン配信ツール
・CRM・MAツール

EC業界においても、これら全てを把握している人はあまりいないので「私には難しそうだ!」と身構える必要はりません。最初は誰でも未経験です。

これらのECに必要な決済、配送、ツールなどの要素に対して知見を増やすことは、今後オンラインビジネスが主流になっていく中で、必ずあなたのキャリアに役立つものばかりです。

30代以降がEC業界に転職するための戦略とは?

20代であれば、人手不足の業界なので、異業種からも門出が開かれているため転職しやすい業界と言えます。私の後輩もホテルマンでしたが、EC事業者に転職した者もいるほどです。

しかし、30代以降となると、今までの経験が問われます。ECと近いアプリの会社や広告代理店などは、EC業界と近い業界なので実績があれば採用されますが、例えば下記の業種などは関連性が薄いため厳しくなります。

◆ECサイトと関連性が見出しづらい業界

・飲食業界
・建設業界
・不動産業界
・保険業界

30代以降で、ECやITと関連性が薄い業界では、転職できる可能性は少なくなるのです。そういった方が、EC業界に入社するには、自分でECの経験を積むしかありません。まず、以下のプラットフォームを使えばECサイトは、誰でも、すぐに、無料で作成することが可能です。

◆固定費が無料のECプラットフォーム

・BASE
・STOERS
・カラーミーショップ

どうしても、EC業界に入社をしたい方は、ご自身でECサイトを運営して経験を積むべきです。ECサイトの商品は、個人でも卸してくれる卸売り業者が存在します。Googleで以下のように検索してみてください。

「卸売り業者 個人」
「仕入れ業者 個人」

そうするとECの商品を卸してくれる企業が多数でてきます。これらの企業の中には個人相手でも商品を卸してくれる業者があるので、そこで数万円を使い商品を仕入れてみてください。そして次に、それらの商品を赤字額である、かなりの激安価格で販売します。

そうすることで、Amazonや楽天市場よりも価格優位性がでて、あなたの商品を必ず見つけるユーザーが出てきます。そこで商品を売ったという実績を作ってみてください。ここでの目的は実績なので、黒字化が目的ではなく、ECサイトの仕入れから配送までを経験することです。

そして、ECサイトを数カ月運営した後に、職務経歴書や履歴書にECサイト運営のことをアピールして、エントリーしてみてください。大手に入社するのは難しいですが、中小規模のEC事業者の中には、あなたに興味をもつ会社が必ず出てきます。

メルカリやYahoo!オークションでも、ECサイトの経験を積むことは可能ですが、これらは趣味で実施している人も多く、入社したい企業担当者が30代のあなたをECサイト経験者として見てくれる可能性は小さくなります。

まずは、お金に無理のない範囲で商品を仕入れて、ECサイトを作ってみましょう。その際は赤字覚悟の価格にしないと、商品が売れることはほとんどありません。なぜなら価格優位性や独自のマーケティング手法がないかぎり、ECサイトに集客できないからです。

もし、ECサイト運営を黒字にできるのなら、あなたにはECサイト運営が向いています。そのまま売上を伸ばし続けることで、EC事業者として独立も可能になります。

EC業界は右肩あがりの成長産業!あなたがこの業界に来るのを待っています!

転職や就職でEC業界を検討するなら、非常におススメの業界です。下記をご覧ください。EC業界が、コロナ禍の2020年において、右肩上がりの成長産業であるということがわかります。

◆EC市場規模の推移

ECの市場規模推移(-2021)

データ引用元:令和3年度 デジタル取引環境整備事業(電子商取引に関する市場調査)

また、筆者もEC業界の一人として、あなたが業界に来るのを待っています。なぜなら、本当に人手が足りないのです。特にECマーケティングのノウハウを持つ人材は非常に少ないです。そして、このECサイトのマーケティングをできる人材というのは、日本の全産業の下支えする重要な人材であると明言します。

なぜなら、すでに日本においては、Amazonや楽天市場などのショッピングモールと呼ばれるECサイトで寡占状態にあります。企業のECサイトが、これらのプラットフォームと戦っていくためには、マーケティング手法を駆使してECサイトに集客し、リピーターを育成していかなくてはならないのです。

そのために、まずはECサイト運営担当者からキャリアをスタートして、ECサイトのマーケティングの知見やノウハウを積んでください。マーケティングというと難しいかもしれませんが、筆者もEC業界に入ったのは37歳からです。現在はECに関する書籍を出すまでになりました。あなたにもできるはずです。

なお、EC業界についてもっと調べたいという方には、下記の過去記事も是非ご覧ください。

過去記事:12兆円市場の「EC業界の将来性」をコンサルタントが解説