ECサイトで買い物をするユーザーは、商品購入の際にレビューや口コミを非常に重要視します。ECサイト担当者であれば、購入してくれたユーザーからの口コミを集めることで、CVRを高めたいと考えているのではないでしょうか?
実際に、当記事で紹介しているデータによると自社ECサイトの場合、実に92.4%のユーザーが商品レビューを商品を購入するための決め手としています。このことから、商品レビューの存在が売上に極めて大きく影響していることがわかります。
しかし、ユーザーレビューを増やすのはカンタンではありませんので、本日はforUSERS株式会社でコンサルをしている筆者が、レビューや口コミを集めるための7つの具体的なレビュー施策を解説します。
92.4%のユーザーが商品購入の際に口コミやレビューを参考にしている
まず、下記はECプラットフォームの「BASE」が、ショッピングサービス「Pay ID」アプリのユーザーを対象に行った調査結果を示すグラフです。このグラフを見ると、他の購入者の評価や感想が、非常に重要視されていることがわかります。
◆商品購入時にネット上の口コミ情報を参考にする人の割合(調査期間:2023年10月27日〜11月5日)
上記データ引用元:ECでの商品購入時に「口コミの確認する」は9割超え。商品を買う際の判断材料でInstagramを利用するユーザーは約23%(ネットショップ担当者フォーラム)
上記グラフを見ると、商品購入やサービス利用を検討する際に92.4%にのぼるユーザーが口コミやレビューを参考にしていることがわかります。同記事には、さらに下記のような調査結果もあります。
◆商品購入を検討する際に利用するプラットフォーム
商品購入を検討する際に、公式ホームページを確認するユーザーは26.3%を占めていることがわかります。このことから、自社ECサイト事業者も商品レビューの収集に力を入れるべきなのです。
多くのレビューを集めるための7つの施策
ここまで、レビュー収集の重要性について述べましたが、Amazonや楽天市場でもない、自社ECサイトでレビューを集めるのはカンタンではありません。そのためにはちょっとしたコツが必要になってくるのです。その代表的な下記7つの施策を紹介いたします。
レビュー施策① 商品購入時にレビュー特典があることを告知
レビュー施策② インセンティブをつけてレビュー依頼メールを出す
レビュー施策③ レビューの例文を用意する
レビュー施策④ 商品の梱包物にレビューのためのQRコードの紙を同梱する
レビュー施策⑤ カスタマーフォロー後にレビューを依頼する
レビュー施策⑥ スタッフを名乗ってレビューの1番目を書く
レビュー施策⑦ レビューに対して必ず返信する
それぞれの施策について、詳しく解説いたします。
レビュー施策① 商品購入時にレビュー特典があることを告知
まず、商品購入時のタイミングからレビュー施策を展開します。
具体的には、商品詳細ページにバナーを設置する余地があれば「レビュー書き込みでクーポンをゲット」などの訴求を行い、ユーザーに対して、このECサイトで購入すれば、クーポンがもらえるということを商品購入前から理解させることで、レビューを書いてくれるのユーザーを増やしていきます。
もし、使っているECシステムにバナーを設置することができないタイプであっても、商品説明文の編集は必ずできるので、商品説明文の末に文字色を変えて、目立たせる形で「レビューでクーポンをプレゼント」と設置すれば良いでしょう。
この施策を実施することで、CVRもアップすることが期待できます。なぜなら商品購入後にレビューを書いて、特典を受け取ることができるので、このECサイトで購入するメリットにもつながるからです。
ただし、特典を付ければレビューは集まりやすくなりますが、だからといって、ユーザーに対してレビュー内容や評価を指定するようなアクション(例:★5を付ければクーポン付与)は、景品表示法違反、いわゆるステマ規制に該当するため注意が必要です。あくまでレビューはユーザーの自由意志による投稿であることが必須です。
レビュー施策② インセンティブをつけてレビュー依頼メールを出す
使用しているECシステムの機能に左右される面ですが、商品購入者に対して一定間隔でレビュー依頼のメールを出します。商品にもよりますが、レビューは商品を使用してからでなければいけませんおで、最低でも1週間程度の間隔をあけてメールを自動送付するのが良いでしょう。
その際は、必ずインセンティブをつけるべきです。なぜならレビューを書くのは結構シンドイ作業です。クーポンやポイントを訴求して、レビューを書くのをユーザーに対して促しましょう。
レビュー施策③ レビューの例文を用意する
たとえレビューを書いてもらっても、以下のようなレビュー文では何の参考にもなりません。
◆役に立たないレビュー文の一覧
「良い商品です」
「ありがとうございました。」
このようなレビューでは、商品を購入するのに何の決め手にもなりません。そのため以下のような例文を用意して、レビューを促しましょう。
◆良いレビュー文の例文
この例文には下記の4つの点が訴求されています。
①誰が?
②どんな不安が?疑問が?
③どうやって解決したか?(あるいは満足したか?)
④補足で良かった点
このような観点で例文を用意してみましょう。文章を書くのが苦手であったり、自分の思っていることを言語化するのが苦手なユーザーも多数おりますので、例文があると非常に良いレビューを増やすことができます。
レビュー施策④ 商品の梱包物にレビューのためのQRコードの紙を同梱する
可能であれば、商品送付時にレビュー依頼のチラシなどを同梱してみてください。商品が無事ユーザーのもとに届けば、ユーザーはECサイトには用がありません。しかし、QRコードを同梱することで、そのままレビューを書いてくれる可能性が高まります。
しかし、QRコードでレビュー依頼を同梱する場合は、メールで送る場合と重複するので、QRコードから書いてくれた人には以降の依頼メールの自動送付をキャンセルしたり、それができない場合は、自動送付メールの文章に「すでに書いていただいた方は対象外です」と文言を書いて、重複レビューを避けるようにしましょう。
レビュー施策⑤ カスタマーフォロー後にレビューを依頼する
実際に商品についての問い合わせがあり、カスタマーフォローが終わったユーザーは満足度が高まっていることが多いです。そのタイミングでチャットやメールでレビューを依頼してみましょう。もし、カスタマー対応が良いものであれば、レビューを書いてくれる可能性が高まりますし、さらに良いレビューにつながります。
筆者自身の体験ですが、Amazonでワイヤレスマイクを購入した際、部品が欠品していたので、同梱されていたQRコードからFacebookチャットをしたのですが、非常に良い対応を中国人スタッフがしてくれました。その後、中国人スタッフから「よかったらレビューを書いてください」と言われたので、そのまま筆者はレビューをしたことがあります。
このように、クレームなども対応次第でECサイトの評判を高めてくれる非常に良いキッカケとなるはずです。ただし、カスタマー対応が悪ければ悪いレビューが集まってしまうので、その場合は、まずはカスタマー対応を改善するのが優先となります。
レビュー施策⑥ スタッフを名乗ってレビューの1番目を書く
レビューは、最初は誰かが書かないと、なかなか書きたがらないものです。つまり最初の投稿が非常に重要です。
筆者もブログを運営しておりますが、誰かがコメントを投稿した記事には、それをきっかけに次々とコメントがつくようになります。ユーザーを装ってレビューを書くことはステマですが、みずからスタッフを名乗って最初の投稿者としてコメントを書いてみてください。例えば以下のような内容です。
◆最初のレビュー投稿をスタッフが行う場合の文例
このように単に「コメントをお願いします」だけではなく、商品を実際に着た人だけがわかるコメントもいれるようにしましょう。例えスタッフの投稿であったとしても、こうすることでレビューが0件の時よりも、レビューを書き込みやすくなるのです。
繰り返しますが、ステマはやめてスタッフ投稿であることをしっかり訴求しましょう。
レビュー施策⑦ レビューに対して必ず返信する
レビューに対しては、必ず返信をすることでレビューの常連になってくれるありがたいユーザーも存在します。つまりECサイトとの店員のやり取りを楽しみにするユーザーです。このような優良顧客を数人持てば、ECサイトのレビュー欄の質は一気に高まります。
そのような優良顧客を生むためにも、誠意をもって返信を行いましょう。そして時には、そのユーザーだけにポイントを付与するのも手です。「いつもコメントありがとうございます!〇〇様だけに感謝をこめて3,000円のポイントを差し上げます」とすれば、ますます商品レビューにコメントを残してくれたり、商品を積極的に買ってくれるようになるはずです。
昔、筆者が聞いた話ですが、某有名牛丼チェーンのマーケティング部は、自社の牛丼屋のツイートをしてくれるTwitter(現X)ユーザーに、牛丼店で使えるポイントをバンバンプレゼントして、SNSを盛り上げていたという話を聞いたことがあります。これもある意味レビュー施策の一つの形と言えるでしょう。
昨今、レビューの信頼性が問われている
冒頭では、レビューが商品購入時の検討材料としていかに重要かを述べてまいりましたが、一方で、昨今ではステルスマーケティング(ステマ)やフェイクレビューが急増し問題視されています。米アマゾンでも、これが大きな問題となり、横行する不正レビューの取り締まりを強化しております。
参考記事:「アマゾンで偽レビューを書く」という “急成長ビジネス”の内側(日経クロストレンド)、やらせレビューへの対抗措置? 米Amazon、返品率が高い製品にラベルを表示する施策を開始(INTERNET Watch)
国内でも、商品レビューを懐疑的に見るユーザーは増えております。筆者もAmazonや楽天をよく利用しており、レビューも必ず参考にしますが、特に具体的な話もせずに商品を誉めちぎるだけのレビューを目にすると、やはりどうしても「サクラなのでは…?」と疑ってしまいます。
このような実態を背景として、2023年10月1日から、景品表示法によりこのようなステルスマーケティングが規制される運びになりました。
販売者側としては、ユーザーにそのような不安を与えないためにも、寄せられらたレビューに感謝しつつも慎重に検討して、信頼性に足るレビューを掲載しなければいけません。そのために、先に述べたレビュー施策③のように、購入者にはできるだけ具体性のある有用なレビューを書いてもらうことが重要です。
そして大事なことは、ネガティブなレビューがあれば、それもしっかりと掲載することです。ユーザーは商品の良い点だけではなく、悪い点も知りたいのです。むしろ悪い点こそが、ユーザーが本当に知りたい情報と言っても過言ではないでしょう。ネガティブな意見を公開するのは躊躇する部分もありますが、そういったレビューを掲載することで、ユーザーのサイトに対する安心と信頼性につながるのです。
下記、ECのミカタから引用したグラフが、これを裏付けていることがわかります。良い点だけでなく悪い点についても書かれていると、その情報が「信頼できる」と感じるユーザーも多いのです。
◆口コミ・レビューが信頼できる要素
まとめ
レビューが集まるECサイトには下記の3つのメリットがあります。
②CVRが高くなる
③リピーターが増える
つまり、ユーザーレビューを増やすこと、そのものがECサイトにとって最高のマーケティング活動となるのです。是非、この記事で紹介したマーケティング施策を実施して、あなたのECサイトに活かしてみてください。
必ず、レビューが増えて売り上げを高めることができるはずです。
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“ECサイトの「レビューを圧倒的に増やす」7つのレビュー対策” への1件のフィードバック