ここ数年、景気の低迷が続いてきた中で、過去のコロナ禍からの円安の加速と物価上昇、そして世界的なSDGsの流れ、さらに国内では空前の古着ブームを背景に、リユース・リサイクル市場が勢いを増しており、それとともにリユースECの利用率も上がってきております。
世界的に物流コストが高騰し、円安の影響も加わって輸入素材や製品が手に入りづらくなりました。このような状況になると、新品の在庫が不足し価格が高騰することで、消費者は新古・中古品を求めるようになりますし、価格の高騰に比例して買取価格もあがります。こうしたことから、今やリユース市場の規模が拡大する条件が揃っている状態と言えるのです。
そんな中で、勢いづくリユース業界の各社は、コロナ禍以降の国内物販業界におけるEC需要の高まりと、円安による海外需要の高まりもあり、EC事業にも力を注いでおります。
本日はforUSRES株式会社でコンサルティングをしている筆者が、リユースEC市場の現状と各社の取り組みについて解説いたします。
リユース市場の市場規模推移
まずリユース市場の市場規模については、下記をご覧ください。
◆リユース市場の市場規模推移
グラフ引用:リユース業界の市場規模推計2023(2022年版)(リサイクル通信)
※表は引用データより作成
ご覧の通り、リユース市場は年々右肩上がりに規模を拡大し、2022年には2兆8,976億円を記録しました。そして2025年には3兆円を超え、2030年には4兆円に達することが予想されています。
全体的な拡大推移には、冒頭に述べたような景気に伴う理由もありますが、メルカリやラクマなどのフリマアプリやYahoo!オークションなどtoCコンテンツの利用が増えたことも大きいと考えられます。
リユース業界における消費行動は、取り扱う商品の性質上、店舗利用がメインと考えられるため、EC利用率はそれほど高くないと予想します。しかし、リユース大手企業のECサイトを見ると、各社とも高いレベルでのUI設計や、マーケティング施策への取り組みが見られ、ECへの力の入れようがわかります。
コロナ禍をきっかけとした国内のECシフトや、円安による海外需要の増加を見据えた、業界全体の方向性がここに見えてきます。
リユース大手5社の実績比較と各社動向
次にリユース業界を代表する大手5社を比較してみました。下記をご覧ください。
会社名 (ECサイト) |
売上高 |
EC売上高 |
EC化率 |
国内店舗数 |
株式会社ゲオHD (GEO、セカンドストリート、OKURA) |
1,996億円 | 226億円 | 11.3% | 1,915店舗 |
ブックオフGHD株式会社 (ブックオフ) |
1,018億円 | 89億円 | 8.7% | 800店舗 |
株式会社ハードオフコーポレーション (オフモール) |
270億円 | 37億円 | 13.7% | 931店舗 |
株式会社トレジャー・ファクトリー (トレファク) |
282億円 | 40億円 | 14.2% | 244店舗 |
株式会社コメ兵HD (KOMEHYO) |
590億円 | 99億円 | 16.8% | 180店舗 |
※各社2022年度資料より
上記比較で5社中トップの売上高を持つゲオホールディングスは、リユース事業を中心事業として、グループトータルで2,000店近くの店舗を展開しております。特に取扱ジャンルが最多の「セカンドストリート」は、アパレルを中心としたリユースブランドとしても認知度が高く、かつてのコロナ禍においても積極的に出店を継続し、2023年3月期末には800店舗を超える出店数を達成しました。
ブックオフは、商材や商圏の見直しや採算の合わない店舗の閉鎖など、収益改善の動きを迅速に行いながら、相対的な収益を維持しております。また、2021年11月にはグループ初のトレカ専門店を出店するなど、新規事業展開にも意欲的に取り組んでおります。2023年9月にはECサイトを全面リニューアルし、さらには店舗POSシステムの刷新などIT投資にも意欲的に取り組んでいます。
ハードオフの2022年度(2023年3月期)売上高は270億円で、前期比10.3%増と好調です。デジタル戦略にも積極的に取り組み、2021年10月にECサイト「オフモール」をリニューアルし検索性能や回遊性の向上を実現しました。また専用アプリでは、会員証や店舗検索、またECなどコアユーザー向けの機能を実装し、月間利用者数(MAU)も好調に推移しております。
トレジャーファクトリーの2022年度の売上高は、前期比1.2倍と大きく伸長して282億円、経常利益は前期比2.5倍の26億円と過去最高益を大きく更新しました。トレジャーファクトリーは、グループ内にシステム開発会社(トレファクテクノロジーズ)を持っており、基幹システムやECサイト、アプリなどを自社開発しており、DXの取り組みにも積極的です。
コメ兵ホールディングスのEC化率は16.8%と5社中最も高く、WEB接客やライブコマースといったデジタル戦略の取り組みを強化しながらEC売上を高めております。またオンラインによるオークションを定期的に開催しており、宝飾・ブランド品を主に扱うKOMEHYOならではの、他のリユース店には見られないユニークな取り組みも行っております。
参考資料:株式会社ゲオホールディングス、ブックオフグループホールディングス株式会社、株式会社ハードオフコーポレーション、株式会社トレジャー・ファクトリー、株式会社コメ兵ホールディングス
大手ECにみるリユースに必要な5つのデジタル施策
リユース業界大手のECサイトやマーケティング施策をみると、デジタル戦略において様々な取り組みをおこなっていることがわかります。ここでは、これからのリユース業界にとって必要となってくる5つの施策を解説いたします。
施策① オムニチャネル
オムニチャネルやOMOなど、リアル店舗とEC・アプリといった複数チャネル連携によるマーケティングは、アパレル業界などにおいて取り組みが活発な施策ですが、リユース業界でも、近年ではECサイトやアプリを活用した連携サービスによりCXが向上しています。
リユース・リサイクル店の商品は基本的に一点もののため、チェーンと言っても店舗ごとに販売商品がまったく異なります。セカンドストリートでは、逆にチェーンのネットワークを活かして、ECサイトから遠方店舗の商品を、最寄りの店舗まで取り寄せるサービスを行っております。ユーザーは店舗に行き、取り寄せた商品を試着してから購入を決めることが可能になります。下記の通り送料も手数料もかからず、キャンセルもできるので、ユーザーはリスクなくサービスを利用できます。
◆セカンドストリートのお取り寄せサービス
また、ハードオフでは、商品を店舗とYahoo!オークションで同時販売しております。リユース店では、一つの商品を店舗と自社ECサイトやフリマサイトなどで同時販売を行うケースが多いため、在庫連携を行いながら、複数チャネルによりユーザーとの接点を増やし、販売機会の最大化を図っております。
施策② オンライン買取
リユース店の仕入れはいくつかのルートがあり、古物商向けの古物市場や回収業社からの仕入れなどがありますが、やはり一般消費者からの買取に依存する部分が大きく、各店とも販売よりも買取に力を入れている傾向があります。
KOMEHYOでは、買取前の査定にLINEを利用した「LINE査定」サービスを行っております。LINEに友達追加後、売りたい品物の写真を送るとトーク返信の形で査定結果が送られてきます。ユーザーにとって査定が手軽というメリットがありますが、店舗側としても、その後のLINEによるプロモーションができるという大きなメリットがあります。
◆KOMEHYOのLINE査定
参考・画像引用:LINEで査定(KOMEHYO)
また、ブックオフやセカンドストリートは、サイト上で買取を申し込むだけで、希望日に配送業社が自宅まで集荷に来てくれる「宅配買取サービス」を行っております。他にも、店舗スタッフが自宅まで出張し、その場で査定しくれる買取サービスなど、店頭での買取以外にもユーザーが手軽に品物を売却できる仕組みを作っています。
施策③ 確立されたコンセプトによるUIデザイン
大手リユースECサイトは各社とも世界観が醸成されており、コンセプトに沿ったUIデザインがなされております。例えば、2021年10月にリニューアルされたハードオフのECサイト「オフモール」では、下記のようにメインに複数の特集を訴求し、「入荷ホヤホヤの商品」「セール品」「ジャンク品」「注目ブランドキーワード」などのカテゴリを作ることで、「商品の豊富さ」や「宝探し感」が演出されており、何度もサイトに訪れたくなります。
◆オフモールのトップページ
参考:オフモール
また、セカンドストリートのECサイトを見ると、サイドメニューでは「ブランドから探す」「ファッションスタイルから探す」など、様々な切り口から検索できるファセットナビゲーションを採用しており、検索の幅広さといったユーザー利便性の向上とともに、ZOZOTOWNや楽天市場などを彷彿とさせるショッピングモール的な印象を与えるサイトデザインになっております。
◆セカンドストリートのトップページ
参考:セカンドストリート
施策④ SNSマーケティング
リユース業界においても、SNSを使ったマーケティング施策は効果的です。KOMEHYOのECサイト上には、スタッフによるスタイリング写真が掲載されていますが、こちらはInstagramと連動しており、Instagram側からの集客にもつながっております。またスタッフアカウントなので、コメントで商品についての質疑応答もできるため、WEB接客ツールとしても活用されております。
◆KOMEHYOのスタッフスタイリング
参考:KOMEHYO
トレジャーファクトリーのTwitter公式アカウントでは、「買い物をした際には、ハッシュタグ「#トレファクでみつけた」を付けてツイートを」と呼びかけており、これによりユーザーの購入体験がSNS上で共有され、口コミ的な効果で来店促進につなげております。下記公式アカウントのプロフィールをご覧ください。
◆トレファク(トレジャーファクトリー)のTwitter公式アカウント
施策⑤ ジャンルごとの販売チャネル
リユース業界は扱う商品も多岐にわたるため、分野ごとに仕入れや販売のチャネルを分け、多様な業態での店舗展開を行うことが多く、専門の店舗やECサイトで買取・販売を行なっています。
トレジャーファクトリーは、下図のように特に多くの業態を持っており、総合店と専門店で幅広いジャンルの仕入れを可能にしております。また、各業態の買取・販売のノウハウをシステムで共有することで、各店舗やECサイトでの買取力・販売力の強化につなげております。
◆トレジャーファクトリーにおける業態の連携
・トレファクスポーツ … スポーツ・アウトドア専門
・BRAND COLLECT … ハイブランドリユース
・トレファクマーケット … 大型リユースショップ
・UseLet … 古着のアウトレットショップ
・Kindal … ブランド古着
・KINBURRY … ブランド・貴金属専門店
・Golf Kids … 中古ゴルフクラブ
まとめ
リユース業界は、リーマンショックやバブル崩壊など、大きな経済情勢の変化とともに市場を拡大してきました。2024年4月現在も、34年来の1ドル155円という円安水準に突入し、その影響で業界の勢いは増しています。
さらに、コロナ禍以降の生活様式の変化をキッカケにECの利用に拍車がかかったことで、業界大手各社においても、ECサイトやアプリをはじめデジタル戦略の取り組みが強化されてきております。
オムニチャネルやSNSマーケティング、WEB接客など、他業種のEC戦略でもよく採用される施策をリユースEC大手もどんどん取り入れてきていますが、買取やフリマといった需要と供給の関係が特殊なマーケットであるリユース業界からこそ、新しいデジタルマーケティング施策が生まれるのではないかと、筆者は考えております。
リユースECサイトを構築するなら「futureshop(フューチャーショップ)」が良い理由
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