アメリカのEC市場は、中国に次ぐ世界2位の市場規模を持っており、AmazonやWalmartといった世界規模の企業を擁するEC大国です。経済産業省の統計報告では、2024年のアメリカにおけるBtoC-EC市場規模は1兆1,902億USドル(前年比6.7%増)とされています。コロナ禍を経てEC利用が進み一気に市場規模を拡大させましたが、2021年以降も市場は堅調に推移しております。
アメリカのEC市場は、日本の2〜3年先を進んでいると言われており、アメリカECの現状と最新の動向を把握しておくことは、日本のEC市場の変化を予測する上でも重要な材料になるはずです。
本日は、forUSERS株式会社でコンサルをしている筆者が、アメリカのEC市場について詳しく解説いたしますので、EC事業者やEC担当者はぜひ参考にご一読ください。
アメリカのEC市場規模は世界第2位
まず、アメリカのEC市場規模について解説いたします。なお、この項で記載するグラフやデータは、下記の経済産業省が2025年9月に発表したレポートより引用したものになります。
グラフ等引用元:令和5年度 電子商取引に関する市場調査報告書(経済産業省)
下記は、2024年における国別のBtoC-EC市場規模のシェア率を示したグラフです。
◆2024年の国別EC市場シェア

グラフを見てわかる通り、アメリカのEC市場は中国に次ぐ世界第2位のシェアを持っており、中国とアメリカの上位2カ国だけで世界の70%を占める規模になります。1位の中国の市場規模は圧倒的ですが、それでもアメリカは日本の7倍のシェアを持つEC大国であることがわかります。
EC化率は15.6%
次に、EC化率についてですが、下記グラフは2022年〜2024年のEC市場規模とEC化率の推移になります。
◆アメリカにおけるEC市場規模(2022年~2024年 / 単位:十億USドル)

2024年のアメリカにおけるBtoC-EC市場規模は1兆1,902億USドル、EC化率は16.1%と推計されています。また、下記は商材別に見たアメリカのEC市場です。
◆商材別のEC市場規模とEC化率
| 商材 | EC市場規模 (億USドル) | 前年比 | EC化率 |
| 衣類・雑貨 | 2,157 | 10.6% | 15.2% |
| 家具、建材、電子機器 | 1,171 | 5.8% | 14.2% |
| 車・車用品 | 606 | 5.8% | 3.7% |
| その他 | 799 | 5.7% | 3.2% |
| 無店舗型販売 | 7,193 | 8.1% | 67.7% |
| 合計 | 11,926 | 8.1% | 16.1% |
表を見ると「衣類・雑貨」と「家具、建材、電子機器」の市場規模とEC化率が突出していることがわかります。もともとアメリカでは、アパレル・アクセサリーのEC市場は大きかったのですが、コロナ禍の影響により在宅時間が長くなったことで、インテリアやPC・AV機器の需要が増え、「家具、建材、電子機器」の市場規模が急激に拡大したものと考えられます。
今までECを利用してこなかった消費者層も、コロナ禍を経てECを利用するようになったことで、今後も市場は堅調に推移していくと見られております。
アメリカEC市場で注目すべき動向
アメリカのEC市場において中心となるユーザー層は、人口のおよそ半分を占めるミレニアル世代(1981~1995年生まれ)とZ世代(1996年生まれ~)となっており、これら主要ユーザー層の市場での動きがアメリカECのトレンドとなり、市場の成長を促しております。ここではアメリカEC市場における最新の動向について解説いたします。
後払い決済が人気
コロナ禍のソーシャルディスタンスの浸透により非接触型のモバイル決済が急速に普及し、EC業界においても各企業が様々な決済手段に対応するようになりました。もともとアメリカのEC市場では、クレジットカードが主流の決済方法でした。
◆米国消費者のEC上での決済手段

しかし、コロナ禍を経た現在、小売市場ではクレジットカード決済を避ける傾向が強まっており、そんな中で「BNPL(Buy Now Pay Later)」いわゆる後払い決済が、新しく主流となりうる決済手段として利用が広まっています。
BNPLは審査がそれほど厳しくなく分割払いも選択できるため、クレジットカードのない若年層が利用しやすい決済手段であることから、Z世代やミレニアル世代を中心に人気を博しており、EC上での利用も進んでおります。特に大手ECのAmazonやWalmartがBNPLを採用したことにより、Z世代やミレニアル世代以外の世代にも普及しつつあります。
◆BNPLの流れ

後払いにより購買のハードルが下がることで、よりEC利用が促進されることから、今後EC市場でも一般的な決済手段となることが予想されます。
活発化するD2Cビジネスモデル
昨今のアメリカのEC市場では、ブランドやメーカーが自社ECサイトでユーザーに商品を直接販売するD2C(DtoC:Direct to Consumer)のビジネスモデルが活発化しております。
◆アメリカEC市場におけるD2C売上規模推移

データ引用:Why more brands should leverage a D2C model(Insider Intelligence Trends)より筆者作成
上記グラフが示す通り、アメリカでのD2C市場は年々拡大傾向にあり、今後も堅調に推移していくと予測されております。アメリカのD2C企業は、消費者のボリューム層であるミレニアル世代をターゲットに、FacebookやInstagramなどのSNSを活用したプロモーションを積極的に実施しております。
D2Cは、直接取引によりユーザー一人ひとりに最適なアプローチができるためLTV(顧客生涯価値)を高めるとともに、顧客のデータを自社で分析することで、商品開発や、より良い顧客体験にフィードバックできるメリットがあり、日本でも導入が進んできているビジネスモデルです。
世界のEC市場を牽引する3社
下記は、アメリカのEC市場における事業者シェアランキングの上位10社です。
◆米国EC市場における事業者シェアトップ 10(2024 年)
| 1位 | Amazon(40.9%) |
| 2位 | Walmart(8.4%) |
| 3位 | Apple(3.3%) |
| 4位 | eBay(3.0%) |
| 5位 | The Home Depot(1.9%) |
| 6位 | Target(1.7%) |
| 7位 | Costco(1.5%) |
| 8位 | The Kroger Co.(1.5%) |
| 9位 | Best Buy(1.0%) |
| 10位 | Carvana(1.0%) |
ここでは、上位企業の「Amzon」「Walmart」「ebay」を紹介します。EC大国であるアメリカに上位シェアを持つEC事業者は、つまり世界のEC市場を牽引する事業者とも言えるでしょう。
Amazon

Amazonは、世界21カ国で展開しており、アメリカのみならず世界的にも大きなシェアを持つ、世界最大規模のショッピングモールサイトです。米Amazonが発表した2025年1〜12月期の売上高は7,169億ドル(約111兆円)でした。
世界のECトレンドを牽引するAmazonですが、同社が圧倒的存在であるのはEC市場に限ったことであり、小売業界全体で見るとWalmartがトップシェアを占めております。WalmartがEC事業に参入したことで、今後EC市場においてもAmazonを脅かす存在になることは十分に予想されます。
Walmart

世界最大のスーパーマーケットチェーンであるWalmartは、世界27カ国に実店舗と10カ国にECサイトを展開しております。2026年2月に発表した2025年度決算では、総売上高が7,131億ドル(前年同期比4.7%増)、と10年連続の増収を達成しました。主な成長要因はアメリカ国内のEC事業が約996億ドルと好調であったことによります。
増益の背景には、徹底したコストカットによる低価格化の実現と、国内の数千店舗でのオムニチャネル施策の推進があります。Walmartのオムニチャネル施策では、ECサイトで注文した商品を最寄りの店舗内で受け取れるサービスや、ピックアップ専用ロッカー「Pickup Tower」を設置し、スマートフォンをかざすだけで、数秒で注文品が出てくるという利便性の高いサービスを提供しています。
ebay

ebayは、190カ国に展開する世界最大のショッピングモールサイトです。登録者数1.8億人、年間取引高は約11.2兆円(2024年)で、常時14億の商品が世界中から出品されています。
もともとはCtoC(個人間取引)がメインでしたが、現在ではBtoCやBtoBでの取引も行われています。ebayでは他のモールサイトでは見ないようなビンテージ商品なども豊富に取り扱っており、ロット販売もしているため古着バイヤーの仕入れなどにも活発に利用されています。
アメリカEC市場のビッグセール「サイバーマンデー」とは?
「サイバーマンデー」とは、アメリカの感謝祭の祝日の翌週の月曜日より開始される、オンラインショッピングの大規模セールのことです。感謝祭は毎年11月の最終木曜日となっており、翌日の金曜日は、実店舗で開催されるセール「ブラックフライデー」があり、改めてオンラインでショッピングをゆっくり楽しむためにサイバーマンデーが開催されるようになりました。
2025年のサーバーマンデーのオンライン売上は、過去最高の142.5億ドル(前年比7.1%増)を記録しました。(アメリカのインターネット小売業者上位100社の85%以上が導入しているAdobe Analyticsmの解析による)サイバーマンデー以降は一気に年末商戦へと突入するため、アメリカEC業界にとって11月から年末にかけては、市場規模に大きく寄与する大事な時期と言えます。
また、日本でも、Amazonがサイバーマンデーセールを開催(※)するようになったことで国内での認知が高まり、さらに中国の大規模セールイベント「独身の日」も毎年11月に開催されていることから、毎年11月は世界中で売買が盛んに行われる月となっています。
このような業界全体を巻き込んだビッグセールは、大手ほどの認知度がない多くのEC事業者にとっても集客の大きなチャンスとなっていると考えられます。
参考:米国サイバーマンデーのオンライン売上高が過去最高の142.5億ドルを記録、そのうち10億ドル以上は後払い決済を利用(米Adobe社 プレスリリースより)
アメリカのEC市場は日本の2〜3年先を行く
アメリカのEC業界には、Amazonを筆頭に、Walmart、Adobe、ebayといった世界に展開する企業があり、中国とともに世界のEC市場を牽引する存在と言えます。下記グラフが示す通り、コロナ禍を経て、食品など今までEC化が進んでいなかった分野においてもEC利用が拡大しており、今後もアメリカEC市場は順調に成長が進んでいくと考えられます。
◆アメリカの食料品・飲料のEC市場規模推移(単位:十億USドル)

アメリカのEC市場は、日本の2〜3年先を行っていると言われております。そのため、アメリカの市場動向をいち早くキャッチしておくことは、日本のEC市場で先手を打っていく上で非常に重要です。
アメリカのEC市場における日本からの購入額は増加傾向
経済産業省の統計報告によると、アメリカ市場における越境EC購入額は 2兆7,144億円(前年比 7.3%増)と増加しており、中でも日本からの購入額が1兆5,978億円(前年比 8.0%増)と大きく増加しています。
アメリカの消費者による日本からの購入額が前年比8.0%増と高い伸びを見せている背景には、継続的な円安による日本製品の割安感があります。特にアニメグッズ、化粧品、中古ブランド品などのカテゴリーでこの傾向が顕著であり、日本製品への信頼感も消費者の購入意欲を後押ししています。円安は今後しばらく継続すると見られており、この傾向もしばらく継続しそうです。
また、アメリカ国内の物流の効率化(配送スピードの向上)が進むことにもよって、この流れはさらに加速すると見られます。
一方、日本国内においてはAmazon USやeBayだけでなく、自社サイトを通じた直接販売のチャンスが広がっており、国内の魅力ある商品をアメリカのEC市場で展開する事業者はさらに拡大していくことが予想されます。
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