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パソコン業界の現状を見ると、スマートフォンの普及とともに出荷台数は減少傾向にあり、またメーカー各社の統廃合や店舗の閉鎖なども進んでおります。

スマートフォンの利用が一般化され、機能的にもほぼパソコンと大差がないところまで来ている中で、パソコン業界ECでは一般ユーザー向けの製品以上に、ゲーミングパソコンや、教育機関や企業向けの販売を強化している傾向にあります。

本日はforUSRES株式会社でコンサルティングをしている筆者が、パソコンEC市場の現状と各社の取り組みについて解説いたします。

国内のパソコン出荷実績の推移

国内のパソコン出荷実績について、まずは下記グラフと表をご覧ください。

◆パソコンの国内出荷台数と出荷金額総計の推移

パソコンの国内出荷台数と出荷金額総計の推移(-2022)

出荷台数 出荷金額総計
2011年 1,127万7千台 8,669億円
2012年 1,115万2千台 7,952億円
2013年 1,210万9千台 9,263億円
2014年 9,187千台 7,336億円
2015年 7,111千台 6,239億円
2016年 6,974千台 6,181億円
2017年 6,767千台 6,210億円
2018年 7,398千台 7,031億円
2019年 9,475千台 8,926億円
2020年 1,208万3千台 8,862億円
2021年 7,163千台 6,976億円
2022年 6,903千台 7,617億円

データ引用:パーソナルコンピュータ国内出荷実績(JEITA)

2013年以降の出荷台数の減少は、スマートフォン・タブレットの普及により、一般消費者層のニーズが減少したことが原因ではないかと推測します。そして、2020年で大きく出荷台数が増えているのは2つの要因が考えられます。

一つは、新型コロナウイルスの流行による企業のテレワーク推進によりビジネスユースの需要が高まったこと、そしてもう一つの要因は、文部科学省が2019年12月に打ち出したGIGAスクール構想(※1)により、教育現場で生徒1人1台のパソコン環境を整備するための需要によるものと考えられます。

テレワークによる需要は、ごく短期的な需要であったことと、GIGAスクール構想についても、2021年3月までに小中学生のついては環境整備がほぼ完了したため、反動として出荷台数は再び大きく減少しました。

(※1)参考:GIGAスクール構想の目的とは?予算や環境整備、指導者に求められるポイントを解説(日本教育新聞)

パソコン業界のEC化率は?

経済産業省の調査したデータ(※2)によると、パソコンを含む家電業界の2022年度のEC化率は42.01%と非常に高い数値です。そしてパソコン業界に絞ったEC化率は、家電のEC化率より高いと筆者は推測します。その主な根拠は以下の通りです。

・業界のユーザーの多くはITリテラシーが高い
・端末の仕様をカスタムする際はECの方が利便性が高い
・自作PCなどはパーツが多岐にわたりメーカーも異なることが多いためECの方が効率が良い
・2000年代の早期からパソコンのECサイトは利用されていた
・販売店でもECサイトによる接客が行われている

このように、もともとパソコンユーザーの多くはECサイトを利用することに慣れており、またそのほうが都合が良い面もあるため、パソコン業界のEC業界はかなり高い水準であると考えられます。

(※2)参考:電子商取引に関する市場調査の結果を取りまとめました

パソコンメーカー5社のECサイトの特徴

パソコン業界のECサイトは、商品をカートインしてから購入手続きを完了するまでに、仕様の決定から保証や付帯サービスの有無、また付属品等の選択など、多くのステップを踏まなければいけません。また価格も基本的に高額なため、他の物販系ECサイトと比べると、やや購入のハードルが高いです。

もともとリテラシーの高い方であれば問題はありませんが、現在ではパソコンは家庭や高齢者などにとっても一般的なものとなり、それほどリテラシーの高くない方のEC利用も少なくはありません

そのため業界各社のECサイトでも、そのような購買層に向けて、機能面や価格面でできるだけ購入しやすいサイト作りに取り組んでおります。以下において、代表的なメーカー5社のECサイトを見ながらその特徴を解説してまいります。

1社目:Lenovo

レノボ・ジャパンは国内のパソコン市場でトップシェアのメーカーです。ECサイトは、スタイリッシュなデザインでIT感に溢れていますが、非常にユーザーフレンドリーな作りになっております。

トップページはシンプルなナビゲーションでまとめられており、また、幅広い層のユーザーがアクセスするであろう「パソコン」や「ノートブック」のカテゴリーページでは、下記のように端末タイプや価格や用途から商品を絞り込んで選べるようになっております。

◆「デスクトップ」カテゴリーページ

レノボカテゴリーページ

また、ECサイトでの買い物は、レビューが非常に重要な判断要素になりますが、パソコンは種類が非常に多岐にわたるため、実際の使用レビューが特に重要な役割をもっております。逆に言えば、レビューがない場合は、離脱される可能性が高くなることも考えられます。

したがって、レビューは1件でも多く掲載したほうが良いのですが、ここで留意することは、下記レノボ・ジャパンのレビューのように、たとえ否定的なレビューだとしても必ず載せるべきでしょう。

◆商品レビューの一部

レノボ商品レビュー

最近ではECサイトや比較サイトの不自然なレビューや高評価に対して、ユーザーも懐疑的な目を持つようになっているため、否定的なレビュー、率直な意見こそがユーザーの為でもあり、サイトの信頼性を高めることにつながりますし、何より開発側としては、品質の改善・向上のための貴重なフィードバックになるのです。

引用:レノボ・ジャパン

2社目:富士通

富士通は国内での認知度も高く、ファミリーからビジネスユースまで幅広い層に支持されているメーカーです。特にファミリー、高齢者などのライトな層の顧客向けに、ECサイトもセールやアウトレットなどの割引訴求を強めに打ち出したビジュアルになっております。

◆トップページ

富士通トップ

また、大学生向け、小学生向け、高齢者向け、さらにはテレワークに適したパソコンなど、年齢層や用途ごとに特集ページを作り、その中でセグメントに適した訴求を行っております。富士通は、このように全年齢向けに購入の敷居を下げて、ECサイトの利用率を上げております。下記をご覧ください。

◆特集・キャンペーン

富士通バナー一覧

そして、ある程度の知識や目的を持ったユーザー層向けには、下記のサイドメニューのように様々な条件から商品を絞り込んで、迅速に目的の商品ページにたどり着ける「ファセットナビゲーション」を採用しております。

◆ラインナップ一覧

富士通ラインナップ一覧

引用:富士通 WEB MART

3社目:DELL

デル・テクノロジーズのパソコンは比較的ビジネスユースでのニーズが高い傾向があります。そのためECサイト上でも、即納モデルのバナーを目立つ配置にしたり、ソリューションサービスをサイト上でかなり詳しく説明しているなどの特徴があります。

他社サイトと比べると、下記のように一覧サイトの見せ方もかなり詳細なスペックまで記載しており、量販店で扱っていないブランドなだけに、非常に丁寧にサイトが構築されている印象があります。

◆製品一覧ページ

DELL一覧ページ

扱う製品も多岐にわたり、サーバーやモニターなどの周辺機器やアクセサリも豊富に揃えているため、端末購入時のカスタマイズも複雑にならないよう、カテゴリーに分けて、ユーザーが現在何のオプションを選択していて合計金額がいくらなのかわかりやすくするなど、細かい部分でもUIが工夫されております。下記をご覧ください。

◆オプション選択画面

DELL商品ページ

引用:Dell 公式サイト (Dell Japan)

4社目:マウスコンピューター

マウスコンピューターは国内生産のBTO(Build To Order=受注生産)のパソコンを提供するメーカーです。CPUやメモリといったコアの部分からカスタマイズして、購入する製品の構成を決めていく形になるため、どちらかと言うと中〜上級者向けのECサイトになります。

ただしBTOには、同スペックで比較した場合、完成品よりも価格が安いといった大きなメリットもあるので、ある程度の知識を付ければ、こういったフルカスタマイズできるメーカーのECサイトで購入する方が、無駄がなくコストパフォーマンスの高い買い物ができるようになります。

下記はマウスコンピューターの製品購入時のフルカスタマイズ画面ですが、これも一部で、さらにサポートサービスや、モニターやプリンターなどの周辺機器、ケーブルやPCチェアに至るまで、多くのオプションの選択購入ができるようになっております。

◆BTOによるフルカスタマイズ画面

マウスコンピュータ構成カスタマイズ

また、マウスコンピューターには、他業種ECサイトでもよく取り入れられている「リコメンド機能」も実装されております。リコメンド機能は、閲覧している商品と、スペック等いくつかの要素において類似の商品を、おすすめとして表示する機能です。

パソコンをはじめ、家電などは比較検討が必須なため、ECサイトには重要な機能となってきます。アパレルEC他、多くの業界のECサイトでCVRを高めるために実装されている機能のひとつです。マウスコンピューターでは「この製品と似ている製品」として類似品が表示されます。

◆リコメンド機能

マウスコンピューリコメンド機能

引用:マウスコンピューター

5社目:TSUKUMO

ツクモは、ヤマダ電機(現・ヤマダホールディングス)の子会社が運営するPC販売店ですが、店舗の統廃合を経て、現在はオンライン販売やBtoBビジネスに力を入れております。もともと店舗においてはパーツの販売で知られており、ECサイトもBTOパソコンやパーツの取り扱いが豊富で、古くからのPCファンに根強い人気のあるブランドです。

ツクモは、上に述べたようにBtoBに力を入れており、一環として2020年に法人顧客専用のオンライン見積もりサービスを開始しております。また、ECサイトでの販売においいても法人や団体の利用を想定して、オンライン上で見積書が発行できる機能が備えられております。下記をご覧ください。

◆TSUKUMOのECサイト上で発行される見積書

tsukumo_見積書

見積もり機能というと、一見すると特別な機能として捉えられない向きもあるかもしれませんが、上記のようにしっかりした見積書としての体裁で即時発行できるECサイトは、実はそれほど多くありません。オフィスで印刷してそのまま稟議に出せる体裁であることは、発注担当者としてはありがたい仕様です。

ツクモでは、他にも法人向けのメールマガジンやオンライン相談サービスを行なっていたり、また官公庁・教育機関向けに、教材や研究用の機材、各種ソフトウェアやライセンス製品を扱うなど、法人・団体向けの営業が強化されております。

引用:TSUKUMO

高スペック端末の低価格販売が求められている

パソコン業界の現状は、スマートフォンの普及により出荷台数が減少傾向にあります。スマートフォンは年々機能が向上しており、ほぼポータブルのパソコンと言えるスペックになっております。この流れは今後も進んでいき、デジタルネイティブ世代を中心に、一般家庭から従来のパソコン端末は少しずつ姿を消していくのではないかと筆者は予想しております。

そういった現状の中で各パソコンメーカーは、コアユーザー向けのゲーミングパソコンや、ビジネスユースのパソコンに注力しているようです。しかし、一般ユーザー向けの市場に関してはそれほどスペックの向上は見られず、新品のパソコンでも、デフォルトのスペックではアプリケーションの起動に時間がかかるような端末が多い印象です。

筆者としては、そのようなスペックの低いパソコンであってもメモリーを潤沢に搭載するなどして、スペックの低いパソコンでもある程度は動作するようにしてほしいと切に願います。

自社ECサイトを構築するなら「futureshop(フューチャーショップ)」が良い理由

もし、新規事業で「自社ECサイト」を構築するならfutureshop(フィーチャーショップ)にすべきでしょう。なぜなら、注文を増やすための多くの仕組みが基本機能として、多数実装されているからです。

◆futureshop(フィーチャーショップ)で注文を増やす機能の例

・カートインから決済までたった3ステップ!
・会員ログイン状態保持機能が延長可能!
・自由度の高い画面レイアウト!
・注文履歴から、思わず再注文したくなる画面デザイン

カートシステムの導入を考えているなら、間違いなく筆者はfuturshopをおススメします。私だけでなく、EC関係者からも最も評判の良いカートシステムであり、売上を増やすための細かい機能が数多く実装されており、EC業界で花形の一つの家電業界でも多く利用されているECプラットフォームです。PCや家電はもちろん、小売業のネットショップ全般にfutureshopは最適です。

futurshop(フィーチャーショップ)は、以下の公式ホームページから資料をダウンロードことができるので、ECサイトの構築を検討する方は、まずは資料を取り寄せてみましょう。