リピート購入を促す「ECサイトの名前を付け方」を徹底解説

ECサイトの名前をどのようにすべきか悩んでいるのではないでしょうか?

もし、こだわりのある名前をすでに考えているのなら良いのですが、ECサイトの名前が読みにくいものや英語ばかりのものは避けるべきです。なぜなら、新規ユーザーがECサイトの名前を覚えてくれないと、後日Google検索されにくくなり、リピート購入されにくいECサイトとなってしまうからです。

本日はforUSERS株式会社でコンサルティングを実施している筆者が、ECサイトの名前の付け方について詳しく解説いたします。

ECサイトで重要なのはリピート購入!だから「思い出しやすい名前」にすべき!

ECサイトの売上を安定させるのは新規ユーザーではなく「リピーター」です。パレートの法則によれば、ビジネスにおいては2割の優良顧客が8割の売上を作ると言われており、ECサイト運営が安定している企業は多くのリピーターを抱えております。

参考:パレートの法則(2:8の法則)

リピーターを増やすための第一歩となるのが、まずはユーザーにショップを覚えてもらうことです。ECサイトの名前が覚えにくいものでは、リピート購入が難しくなるため、あとで思い出しやすいショップ名にするべきなのです。

例えば、以下の名前をご覧ください。

◆覚えにくいECサイトの名前の例

Organico

これは、スペイン語で「勇気」という意味です。“オルガニコ”と発音しますが、日本人で正しい読み方ができる方がどれだけいるでしょうか。そして、このスペイン語を見て、後で思い出せるでしょうか。おそらくこの記事を読み終えた時点で、覚えている方はほとんどいないでしょう。いくらこだわりがあるからといって、このような覚えにくい名前をECサイトのショップ名にしてはいけません

ここで、「それならカタカナで“オルガニコ”というショップ名にすればいいのではないか?」と考える方もいるかもしれませんが、それもおススメしません。なぜなら「オルガニコ」という言葉自体が日本人にとって馴染みが薄いため、言葉と意味が結びつきづらく、結局は覚えにくいショップ名となってしまうからです。

では、逆にこのような名前はいかがでしょうか?

◆覚えやすいショップ名

USB扇風機の専門店のユウキ

日本人なら「ユウキ」は覚えやすい名前でもありますし、また「USB扇風機専門店」と掛け合わせになっているので、後で、ユーザーがGoogleで「扇風機 ユウキ」などで検索してECサイトをカンタンに見つけることができます。

このように、ECサイトの名前はターゲットユーザーが何度も訪れることを想定して覚えやすいものを意識すべきなのです。

小規模事業者ならSEOを意識した名前にすること!

ECサイトの特徴は商品単価が安いことです。下記のグラフをご覧ください。購入金額の平均は3,000~5,000円が最も多い割合となります。売上から原価、ECのシステム利用料、決済手数料、人件費など引くと、利益はあまり多くはありません。つまりECサイトの多くは薄利多売のビジネスモデルと言えます。

◆ECサイトでの1回あたりの平均購入金額

オンラインショッピングの平均購入金額

出典:購入最多は「日用品」、購入金額は7割が5000円未満。男女別の利用傾向や利用頻度などをまとめたEC利用調査(ネットショップ担当者フォーラム)

そのため、Google広告などのプロモーションにコストをかけてしまうと赤字になってしまいますので、広告費を使わないで露出を高めるために、SEOは絶対に意識しなければいけないのです。ですから、ECサイトの名前でGoogle検索したときに、ショップ名がSEO1位に来るような独自の名前を考えなくてはならないのです。

それでは、ECサイトに付けてはいけないNGのECサイト名を解説します。

ECサイトの名前のNG3選

NGとなるサイト名に考え方には様々なものがありますが、特に念頭に置いておきたい3つを紹介いたします。まずサイト名を決めるとき、特別なこだわりがない限りは、下記3つに当てはまるようなサイト名はできるだけ避けるようにしてください。

① ショップ名が長い

先ほど解説したとおり、ショップ名が長いと覚えにくくなります。例えば、下記のようなECサイトの名前です。

◆長すぎるECサイトの名前

Mediterranean(地中海の意味)

もし、このような長いショップ名を考えているのであれば、省略してみるのはいかがでしょうか?例えば、以下ような名前です。

◆上記を省略する

The Med(地中海は英語でこのように略称で使います)

このように省力したり、頭文字をとって略称にする方法もあります。

② ショップ名がわかりにくい外国語(ショップ名が読めない)

英語や外国語は、例えばアパレルやジュエリーであれば世界観の醸成にもつながるので雰囲気にはぴったりだと思いますが、できれば一見客にも覚えてもらいやすい名前にすべきです。

◆日本人にはなじみのない言葉

Ropa elegante(優雅な服 スペイン語)

例えば、上記のような名前はなんとなくカッコ良いですが、ユーザーがショップ名を覚えやすいとは言えませんし、何より日本人では読める人もほとんどいないような名前です。

また、①で例に出した「The Med」ですが、「The」が余計なのでシンプルに「Med」にしたいところですが、「Med」だけだと意味合いが変わってくる(医学やmedicalの略)になってしまいます。

このように、日本においては名前を付ける上で扱いづらさもあるため、覚えやすさやSEOの検索結果を意識するのであれば、英語などの外国語は避けたほうが良いでしょう。

③ ショップ名が有名な固有名詞と重複している

例えば、以下のようなショップ名はどうでしょうか?

キプロス

キプロスというのは地中海にある島のことです。ショップ名を覚えたユーザーがGoogle検索で「キプロス」と検索したら表示されるのはキプロス島です。そうなるとユーザーはECサイトに再訪問しづらくなります。このように、実際に存在する固有名詞の場合、検索結果では圧倒的に元の固有名詞が強いため、同じ名前は避けるべきです。

ただし、掛け合わせでしたら検索されやすくなります。

ハーブ専門店のキプロス
チーズ専門店のThe Med

ですから、地中海やキプロスなど、実在する固有名詞を使う場合は、掛け合わせで検索されることを意識してください。

ECサイトのショップ名が決まったらドメインを決定する

ショップ名が決まったら次にドメイン(ECサイトのURL)を決めますが、ドメインを考える際も大事なポイントがあります。ショップ名もそうですが、ドメインも簡単に変更するものではありません。下記3つのポイントを押さえた上で、ECサイトのドメインを熟考してください。

① ドメインは短めに

ショップ名を忠実に再現しようとして、ドメインを長くするのは得策ではありません。なぜならECサイトのURLを直打ちするユーザーが入力しづらいですし、URLをチラシなどに印刷する際も、あまりに長いとユーザーは入力する気が無くなります。この点はQRコードを用意すれば解決できますが、長く運営するECサイトのURLは、なるべく短くまとめるべきです。

② ドメインとショップ名は同じか近いモノにする

ドメインとショップ名は同じものがベストです。例えばユニクロなどは

サイト名:UNIQLO(ユニクロ)
URL:uniqlo.com

このようにサイト名=ドメインとなっています。ただし、ドメイン取得は早い者勝ちなので、ECサイト名のドメインがすでに他の方に取られて空いていない場合があります。その時は、ドメインを少し工夫して、なるべくECサイト名に近いURLにしましょう。

余談ですが、中古車販売買取の大手のガリバーは、全く商標と関係のないURLにしており、非常に利用しにくいと感じます。

◆中古車のガリバーのURLはわかりづらい

https://221616.com/

この「221616」は、実は「ぶーぶ・いろいろ」と発音するそうで、ガリバーなりの意味があって決められたドメインではあるようですが、このURLを見た時に「あ、これは詐欺サイトだ!」と勘違いするユーザーもいるかもしれません。

③ 日本語ドメインは避ける

日本語のドメインにすることも可能ですが、日本のドメインは、そのままメールやLINEに貼り付けると下記のように「ピュニコード(Punycode)」という文字化けのような文字列に変換されてしまうため、ECサイトのドメインとしては日本語は避けておくべきです。

◆日本語ドメインは文字化けのように変換されてしまう

https://イーシーアクション.jp => http://xn--cckd8a4ac20a0c0cb.jp

仮に使う場合は、下記のようにリダイレクト設定をしておくべきです。総務省などは、リダイレクト設定をしているためアドレスバーに日本語を入れても、サイトに辿り着くことができます。このような設定は、インターネットリテラシーが低い、お年寄りなどに優しい設定と言えます。

◆日本語URLの例

アドレスバーに入力するURL 転送(リダイレクト)先のURL
http://総務省.jp/ http://www.soumu.go.jp/
http://電波利用.jp/ http://www.tele.soumu.go.jp/
http://電波申請.jp/ http://www.denpa.soumu.go.jp/public/
http://アマチュア無線申請.jp/ http://www.denpa.soumu.go.jp/public2/
http://インターネット申請.jp/ http://www.denpa.soumu.go.jp/public/link-s/index.html

引用:日本語JP活用事例

また、日本語ドメインはメールアドレスにも使用できず、ピュニコードに変換されてしまいます。メールを受け取ったユーザーにしてみれば、一見するとスパムメールにしか見えないでしょう。

このように日本語のドメインはデメリットが多いため、使用は避けるべきなのです。

まとめ

ECサイトのショップ名の基本は、リピート購入されやすいように「覚えやすく」するべきです。そうしなければ、新規ユーザーが来てもリピート購入が少ないECサイトになってしまいます。

また、どうしても思い入れのある名前が「外国語」で日本人には馴染みが少ないケースでは、ECサイト上にカタカナを表記して、読みやすくしたりする工夫もしっかり行ってください。しかし、先の述べたように、カタカナにして読めるようになったからといって、覚えてもらいやすくなるわけではないことも念頭に置いてください。

ECサイトの名前を決める際は、単にECサイトに表示される名前として考えるだけでなく、名刺やショップカード、チラシ、メールアドレスなど様々なシーンで使われることをイメージして熟考することが重要です。

あなたのECサイトが上手く立ち上がることをお祈りいたします。