「食品メーカーのEC戦略」日清食品D2C事業の革新
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先日公開した記事「『食品メーカーのEC戦略』メリット・デメリットとカゴメの取り組み」では、食品メーカーが自社ECに取り組むメリット・デメリットを整理し、国内大手食品メーカー・カゴメのEC戦略を紹介しました。同社の「健康直送便」は、自社ECならではの「商品を十分に訴求できる」という強みを最大限に生かした好例といえます。

本稿では、食品メーカーのEC戦略事例として、日清食品が自社ECサイトを通じて推進するD2C(Direct to Consumer)事業を取り上げます。まず、同社が自社ECサイトを刷新し、直面していた課題を克服した経緯を確認します。その上で、D2Cならではの特徴を確認し、ナショナルブランドを持つ食品メーカーが、D2Cに取り組む意義について整理します。

なお、本稿では、「EC」を販売チャネル、「D2C」を事業モデルとして用いています。

「日清e-めんShop」から「日清食品グループ オンラインストア」へ

日清食品は、2000年4月にオンラインストア「日清e-めんShop」を開設しており、比較的早い段階から自社ECサイトを持っていました。

◆「日清e-めんShop」(2000年当時)

画像出所:日清食品株式会社ニュースリリース「日清食品のインターネットバーチャルショップ」(公開日:2000年4月20日、閲覧日:2025年11月20日)

しかし、当時のサイトは、販売品目が限られ、購入はケース単位が基本で、1個だけを購入したいというニーズには対応していませんでした。また、注文から商品到着までに1週間ほどかかるなど、使い勝手の良いものではありませんでした。

大きな転機が訪れたのは2016年です。この年、同社のECサイト運営がマーケティング部に移管されました。当時の責任者であった佐藤真有美氏(現・日清食品ダイレクトマーケティング社長)は、この移管を、マーケティングによってECサイトを立て直すという経営層からの強いメッセージだと受け取りました。

情報出所:DIGIDAY「カップ麺1食からの販売にこだわった 日清食品グループ オンラインストア。EC事業総責任者に聞く、D2Cだからこそできること」(公開日:2024年5月15日、閲覧日:2025年10月10日)、日本食糧新聞「〈デジタル活用のヒント〉日清食品 D2Cを加速 “顧客視点”のマーケティングでヒット連発 ~マーケティング部・佐藤真有美氏に聞く~【PR】」(閲覧日:2025年10月20日)

2016年9月30日、同社のECサイトは「日清食品グループ オンラインストア」として全面リニューアルオープンしました。このリニューアルにより、サイトのデザインやレイアウトが見やすくなり、使い勝手は大幅に改善されました。ECサイトは、「自社商品なら何でも揃い、最も便利に買える場所」と位置付けられたのです。

情報出所:日清食品株式会社ニュースリリース「日清食品の直営オンラインストアを2016年9月30日(金)にリニューアルオープン」(公開日:2016年9月1日、閲覧日:2025年10月9日)

◆日清食品グループオンラインストのトップページ(PC版)

画像出所:日清食品グループオンラインストア公式サイト(PC版トップページを2025年11月17日に閲覧)

以前のECサイトと、リニューアル後の日清食品グループ オンラインストアの最大の違いは、「1食単位でカップ麺を購入できる」ことです。

日清食品の商品は多くの場合、全国の食品スーパーなどで1食単位で購入できます。それに対して、以前のECサイトでは、10個や20個といったケース単位での大量購入が前提でした。

ECは利便性の高さから顧客に支持されますが、日清食品の場合、ECでの購入のほうが店舗での購入より不便という矛盾が生じていたのです。

前出の佐藤氏は、顧客の買いやすさと倉庫での作業効率を考慮し、カップ麺の3食セット販売を検討しました。しかし、これに対し、安藤徳隆社長は「本当に便利な買い方なのか」と疑問を呈しました。佐藤氏は、この指摘を受け、D2Cに対する考え方を店頭と同様に、顧客が望む買い方を実現する方向へとシフトさせたのです。

情報出所:DIGIDAY「カップ麺1食からの販売にこだわった 日清食品グループ オンラインストア。EC事業総責任者に聞く、D2Cだからこそできること」(公開日:2024年5月15日、閲覧日:2025年10月10日)

その結果、ECサイトには1食販売が導入され、顧客はケース単位では難しかった「新商品を気軽に試すこと」や「複数商品を自由に組み合わせること」を、店頭と同じようにおこなえるようになりました。ECでもリアル店舗と同様に、顧客はお気に入りの商品やユニークな新商品に躊躇なく手を伸ばせる環境が整ったのです。

自社ECサイトを「実験場」として活用する日清食品

日清食品は、自社ECを「販売の場」であると同時に、購買データを直接収集できる「実験環境」として活用しています。ECでは、新商品のテスト販売やセット商品の検証など、店頭では実施が難しい施策を柔軟に試すことができ、どのような商品設計や訴求が支持されるのかをリアルタイムで把握できます。

こうして得られたデータは、商品開発、販促戦略、広告施策などに幅広く還元されています。「テスト → 改善 → 再検証」の循環が高速で回ることで、消費者ニーズを反映しやすい体制が整い、結果として店舗チャネル向けの提案にも説得力が増していきます。

情報出所:DIGIDAY「カップ麺1食からの販売にこだわった 日清食品グループ オンラインストア。EC事業総責任者に聞く、D2Cだからこそできること」(公開日:2024年5月15日、閲覧日:2025年10月10日)

自社ECを核にしたこうした取り組みは、単なるチャネル運用にとどまらず、D2Cという「事業モデル」を育てる基盤にもなっています。

顧客との直接的な接点を通じて、商品企画やサービス改善に顧客の声を素早く反映できる構造が生まれ、メーカーの事業全体をより柔軟で顧客志向な方向へと押し広げています。

D2Cならではの具体的な取り組み事例

日清食品のEC活用は、先に述べた1食単位での購入のように、店頭と同様の買いやすさを提供することにとどまりません。同社は、店頭では難しい施策をECならではの形で数多く展開しています。

新商品のオンライン先行販売

同社では、新商品を店頭展開の前にECサイトで先行販売する取り組みを行っています。先行販売によって得られた顧客の反応や評価がインターネット上で広がることで、その後の店頭展開時に高い支持を得るケースもあるといいます。

情報出所:DIGIDAY「カップ麺1食からの販売にこだわった 日清食品グループ オンラインストア。EC事業総責任者に聞く、D2Cだからこそできること」(公開日:2024年5月15日、閲覧日:2025年10月10日)

また、前出の佐藤氏は、最終的に食品スーパーやコンビニエンスストアで販売される商品でも、まずECサイトでテスト販売を行い、顧客の反応を確認する取り組みや、ECで得た反応をもとに商品を改良してから店舗チャネルで販売する方法が増えそうだと語っています。

情報出所:日本食糧新聞「〈デジタル活用のヒント〉日清食品 D2Cを加速 “顧客視点”のマーケティングでヒット連発 ~マーケティング部・佐藤真有美氏に聞く~【PR】」(閲覧日:2025年10月11日)

同社では、新商品を店舗チャネルで販売する前にECサイトで先行販売する取り組みを「FLYING GET(フライングゲット)」と名付けており、好評を博しています。

◆自社ECサイトでの特別先行販売「フライングゲット」の例

画像出所:日清食品グループオンラインストア「カップヌードル冬の濃厚ミルクシーフードヌードル」(閲覧日:2025年11月27日)

現在では店頭でも存在感を高めている「完全メシ」シリーズですが、ブランド立ち上げ当初はEC限定で販売され、その後に店舗チャネルに展開されました。「完全メシ」は、日清食品が現代の健康課題に応えるために開発したブランドであり、単なる新商品の域を超えた取り組みです。この点については、後段であらためて詳しく触れます。

限定商品・コラボ商品・高額セットの販売

限定グッズ、数量限定コラボ、ファン向けセットなど、店頭では扱いづらい高単価・少量アイテムを販売し、短時間で完売した事例もあります。

情報出所:DIGIDAY「カップ麺1食からの販売にこだわった 日清食品グループ オンラインストア。EC事業総責任者に聞く、D2Cだからこそできること」(公開日:2024年5月15日、閲覧日:2025年10月10日)

数量限定商品を店舗で販売する場合、どうしても取引先小売業の一部の店舗でしか取り扱えず、小売業各社との関係に影響が出る可能性があります。また、近隣に取り扱い店舗がない顧客にとっては、入手できないことが不満の原因になることも考えられます。

一方、自社ECサイトでのみ販売すれば、こうした懸念を回避できます。全国どこからでもアクセスできるため、顧客満足度を維持しつつ、小売業との調整負担も軽減されます。

◆ECサイトで数量限定販売されたコラボ商品(ガールズ&パンツァー)

画像出所:日清食品株式会社ニュースリリース「『カップヌードル ガールズ&パンツァーパッケージ 砲弾型ストッカーセット』『カップヌードル ガールズ&パンツァーパッケージ』(11月14日発売)」(公開日:2016年11月11日、閲覧日:2025年11月28日)

ECサイトで数量限定で発売される商品には、同社グループのフードテクノロジーを駆使した、遊び心あふれるユニークなものもあります。

たとえば、2023年から2025年にかけて毎年数量限定で発売され、すぐに完売してしまう「謎うなぎ」があります。この商品は動物由来の原料を一切使わずに、うなぎの蒲焼に近い食感や見た目、味わいを再現したもので、竹中夏海氏が提唱する「擬態フード」に位置付けられます。

情報出所:TBSラジオ アフター6ジャンクション「特集:アイドルとしての擬態フード特集 by 竹中夏海」(公開日:2023年3月28日)

ECサイトで販売されることで、全国どこからでも購入でき、発売直後に短時間で完売するという希少性と話題性を同時に実現しています。

◆プラントベースうなぎ「謎うなぎ」

画像出所:日清食品株式会社ニュースリリース「『プラントベースうなぎ 謎うなぎ』(7月3日数量限定発売)」(公開日:2025年6月30日、閲覧日:2025年11月10日)

また、ECサイトでは、同社を代表する商品である「カップヌードル」でつくった花束の「ヌードルブーケ」というアイデア商品を販売しています。

◆ECサイトで販売されている「ヌードルブーケ」

画像出所:日清食品グループオンラインストア「ブーケショップ」(閲覧日:2025年11月28日)

ECサイト利用者には、日清食品ファンやカップヌードルファンが多いため、「ヌードルブーケ」のようなユニークで限定的な商品も受け入れられやすいと考えられます。

アウトレット販売による食品ロス削減

ECサイトでは、旧パッケージの商品や賞味期限が近い商品などを数量限定で値引き販売しています。品質には問題ないものの、店頭販売できない食品を、なるべく廃棄せず、必要とする顧客に届ける優れた取り組みです。

これは、D2Cならではの取り組みであり、日清食品にとっても、顧客にとってもメリットのある、Win-Winの関係を生む仕組みです。

オンライン先行販売で実現した「完全メシ」の拡大

日清食品の祖業であるインスタントラーメン「チキンラーメン」は、戦後の飢餓や栄養不足という当時の健康課題に応えるために誕生しました。

時代が流れ、現在では、飽食によるオーバーカロリー、特定の栄養素が不足する隠れ栄養失調、低栄養が要因となるシニアのフレイル(虚弱)など、健康課題の姿は大きく変化しています。

こうした現代的な課題に向き合うために開発されたのが「完全メシ」ブランドです。

同社は「Beyond Instant Foods」というスローガンを掲げ、インスタントラーメンに次ぐ新しい食文化の創造を目指しました。

その実践の場となったのが、2019年10月に立ち上げられた「Beyond Instant Foods Lab」プロジェクトです。ここで2021年8月に「完全メシ」の開発が本格的に始まり、2022年5月にブランドとして発売されました。

情報出所:日本ネット経済新聞「日清食品、通販事業を分社化 通販年商100億円を目指す」(公開日:2025年4月4日、閲覧日:2025年10月5日)

「完全メシ」は、カロリー、塩分、糖質、脂質、たんぱく質などをコントロールし、「日本人の食事摂取基準」で設定された33種類の栄養素をバランスよく摂取できると謳われています。

ブランド立ち上げ時の商品は以下の5品で、ECサイト限定で先行発売されました。

  • 完全メシ カレーメシ 欧風カレー
  • 完全メシ 豚辛ラ王 油そば
  • 完全メシ グリーンスムージー
  • 完全メシ バナナスムージー
  • 完全メシ 大豆グラノーラ(60g)

◆ECサイト限定で販売された「完全メシ」5品(2022年の発売開始時)

情報および画像出所:日清食品株式会社ニュースリリース「『完全メシ』シリーズ5品 (5月30日発売)」(公開日:2022年5月16日、閲覧日:2025年10月11日)

「完全メシ」は、当初、ECサイト限定販売だったにもかかわらず、発売1カ月で累計販売数100万食を突破する好調さを見せました。

その後、2022年9月には「完全メシ」の販路を全国のスーパーやコンビニに拡大し、同時に「冷凍 完全メシ」をEC限定で販売しました。「冷凍 完全メシ」は、2023年9月からは店舗チャネルでの販売もおこない、2023年12月には「冷凍 完全メシ DELI」としてリニューアルされています。

情報出所:IT media ビジネスonline「日清『完全メシ』累計5000万食を突破 担当者が明かす人気のヒミツ」(公開日:2025年9月28日、閲覧日:2025年10月20日)

◆2023年12月にリニューアルされた「冷凍 完全メシ DELI」シリーズ

画像出所:日清食品株式会社ニュースリリース「『冷凍 完全メシ DELI』シリーズ (12月11日発売)」(公開日:2023年12月11日、閲覧日:2025年11月29日)

現代の健康課題の解決を目指して誕生した「完全メシ」ブランドは、2022年5月の発売開始から約3年後の2025年4月時点で、シリーズ全体で約60カテゴリー・200以上のメニューを展開しており、シリーズ累計出荷数は5,000万食を突破、ブランド認知率は50%を超えています。

情報出所:IT media ビジネスonline「日清『完全メシ』累計5000万食を突破 担当者が明かす人気のヒミツ」(公開日:2025年9月28日、閲覧日:2025年10月20日)

「完全メシ」が短期間で多カテゴリー・多品目へと品ぞろえを広げられた背景には、主に自社ECサイトで販売されていることが挙げられます。ECを通じて顧客の購買データや評価情報を大量に取得し、それらを商品改良や新商品の開発に活用できる――まさにD2Cならではのメリットが最大限に生かされていると考えられます。

◆バラエティ豊かな「完全メシ」(2025年11月現在)

画像出所:日清食品株式会社「完全メシ ブランドサイト」(閲覧日:2025年11月29日)※キャプチャしたものを加工。

現在では、冷凍ショーケースから好きなメニューを手に取り、レンジで温めるだけで食べられるスタンド型社食「完全メシスタンド」を、企業や病院等に導入するなど、「完全メシ」は同社の事業領域の拡大にも寄与しています。

情報出所:Nissin Career Recruitment Site「即席めんに次ぐ新しい事業の柱へ!日清食品の新サービス『完全メシスタンド』で新たな食のアプローチに挑む!」(閲覧日:2025年11月29日)

D2Cを企業戦略に格上げへ:分社化の意味

日清食品は、2025年4月、通販事業を「日清食品ダイレクトマーケティング株式会社」として分社化しました。

報道によれば、数年以内に年商100億円を目指すということです。

情報出所:日本ネット経済新聞「日清食品、通販事業を分社化 通販年商100億円を目指す」(公開日:2025年4月4日、閲覧日:2025年10月20日)

日清食品ダイレクトマーケティング公式ウェブサイトの事業内容には「食品、健康食品、化粧品の企画・開発および販売」と書かれていますが、ページの上部には、「D2C専門会社」と明示されて、更に、「新しい食文化を生み出すために日清食品らしく失敗を恐れず可能性を広げスピーディーになんでもやってみる」「世界一面白いダイレクトマーケティングを貪欲に求める集団」とも記されています。

◆「日清食品ダイレクトマーケティング」公式ウェブサイト

情報および画像出所:日清食品ダイレクトマーケティング株式会社公式ウェブサイトをキャプチャ(閲覧日:2025年11月29日)。

通販事業を分社化し、D2C専門会社を立ち上げたことには、成長しているEC市場での事業を強化するという意味合いだけでなく、事業の柱としてD2Cを扱う姿勢が明確に表れています。

食品メーカーがEC事業を分社化することのメリット

食品メーカーがEC事業で、従来の大量生産・店舗流通とは異なる事業ロジックを確立したい場合、分社化は有効な手段です。

分社化により、親会社の組織構造や文化から独立できるため、EC市場の変化に迅速に対応できる柔軟で機動性の高い組織体制を整えられます。さらに、ECやダイレクトマーケティングに特化した専門人材を採用・配置・育成しやすくなり、事業の専門性と実行力を高めることも可能です。

こうした組織設計により、D2Cは食品メーカーにとって戦略的に重要な事業として位置づけられると考えられます。

日清食品も、今回の分社化により、柔軟な組織運営や専門人材の活用を通じて、D2C戦略をより効果的に推進できるようになるでしょう。

食品メーカーがD2Cに踏み込む5つの意義

食品メーカーにとって、店舗チャネルは、今なお重要な販路です。しかし、日清食品のEC事業を巡る、大胆かつスピーディーな動きからは、店舗に依存しすぎない事業構造をつくることの意義が浮かび上がります。

食品メーカーがD2C事業に踏み込む意義は以下の5点に整理できます。

意義1.顧客を「個」として理解できる

D2Cでは、店舗チャネルでの販売においては取得が容易ではない、顧客別の購買データの取得が容易に収集できます。これにより、リピート率や併買する商品の組み合わせなどを深く分析することが可能になります。

顧客を、「マス(塊)」としてではなく、「個」として理解することで、商品開発・広告・販促の精度が飛躍的に向上する可能性があります。

意義2.店舗チャネルでは難しい販売方法を実践できる

コラボ商品、オリジナルグッズ、高単価商品、セット商品、アウトレット品など、小売業者の理解を得ることが難しく、店頭展開が容易ではない商品の販売や販促の実施も、自社ECサイトであれば可能です。

食品メーカーにとって、D2Cは、従来の店舗チャネルでは実現しにくかった商品企画や販売施策に挑戦できる、「新しい可能性を開く実験場」になりえます。

意義3.新商品テストを低リスクで実施できる

新商品のEC先行販売を行い、顧客の反応を店頭展開に反映させる日清食品のモデルは、他の多くの食品メーカーにとっても有効であり、比較的模倣しやすい方法です。

未知なる存在である新商品を、いきなり全国で販売することは大きなリスクを伴いますが、まず、ECサイトのみで販売し、必要に応じて商品を改良したり、ターゲット層や訴求メッセージを見直した後、店頭展開することで、失敗のリスクを低下させられます。

意義4.店舗以外の販路を持つことで新たな収益源を確保できる

食品メーカーにとって店舗チャネルは依然として重要ですが、商圏人口の減少に伴う客数の落ち込みや店舗閉鎖により、限られた売場を巡るメーカー間の競争は一段と激しくなっています。加えて、小売業者によるPB(プライベートブランド)商品の拡大により、メーカーが店頭で自社商品と消費者の接点を確保することは、ますます難しくなるでしょう。

このような小売店頭の状況を踏まえると、店舗に続く販路としてD2C事業を早期に立ち上げ、収益源を多角化しておくことは極めて重要だといえます。

さらに、日清食品が自社ECで健康食品や化粧品の販売を強化しているように、食品メーカーがD2Cと相性の良いカテゴリーに参入することで、事業領域を広げるチャンスも生まれます。

意義5D2Cで得た知見を店舗チャネルへの提案に活用できる

D2C事業を通じて、消費者がどのような商品・パッケージ・価格・訴求に反応するかを直接把握できることは大きなメリットです。

D2Cでの消費者理解は、ECサイトでの販売に活かすだけではなく、従来の店舗チャネル向け提案にも活用可能です。

まとめ ―D2Cは食品メーカーにとって欠かせない事業へ

本稿で取り上げた日清食品のD2C戦略は、

  • 顧客と直接つながる接点の設計
  • 実験場としてのEC活用
  • 完全メシに象徴される新規事業創出
  • 分社化によるD2Cの本格的な事業化

といった複数の要素が結びついた総合戦略です。

国内のEC市場拡大、健康志向の高まり、時間効率重視の傾向(タイパ志向)の浸透は、今後もさらに進むと考えられます。こうした変化は、食品メーカーがD2Cに取り組む意義を一層高め、新たな顧客接点や販売チャネルの開拓を後押しするでしょう。

また、企業が顧客のニーズを正確に把握し、柔軟に対応するには、自社ECサイトを通じた販売や顧客とのコミュニケーションが理にかなっています。

食品メーカーに限らず、他業種の企業にとっても、日清食品の取り組みから学べる示唆は多く、D2C戦略の可能性を考えるうえで参考になるはずです。

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