
美容・コスメ業界のEC担当者にとって、@cosme(アットコスメ)は避けて通れない巨大なマーケティングプラットフォームです。レビューサイト、ECプラットフォーム、リアル店舗を横断的に連携させる独自の仕組みにより、商品検索から購買、再口コミ投稿までを一つの循環に乗せることができます。
本記事では、@cosmeを活用した認知拡大施策、EC売上向上のための4大戦略、効果測定のためのKPI設計まで、EC担当者が今すぐ使える手法を体系的に解説します。急成長する@cosmeの最新データと合わせて、成功するマーケティング戦略の全体像を紹介しますので、ぜひ最後までお読みください。
@cosmeの最新市場データ:EC売上182億円が示すマーケティングポテンシャル
@cosmeを運営する株式会社アイスタイルの2025年6月期連結決算は、@cosmeプラットフォームの圧倒的な成長力を数字で証明しています。
◆株式会社アイスタイル2025年度6月期連結決算の概要
連結売上高全体では前期比22.6%増の687億6800万円を記録し、EC売上高は前年同期比27.6%増の約182億4千万円、店舗を含むリテール事業全体では約534億円、前期比26.9%増の大幅な伸びとなりました。
この成長を支えているのが、@cosmeの巨大なユーザーベースです。月間利用者数約1,670万人(2025年6月末現在)から、EC月間購入者19万人、実店舗購入者51万人という高い購入率を実現しており、美容に特化したプラットフォームならではの購買意欲の高さを示しています。
◆@cosmeの月間ユニークユーザー数の推移
EC担当者にとって、この規模とユーザー属性データの蓄積は無視できないチャンスとなるでしょう。MAU約1,670万人という巨大な母集団から、購買意欲の高いターゲットユーザーに効率的にアプローチできる環境が整っているのです。
@cosmeマーケティングの全体像:5つの独自メリット
@cosmeを活用したマーケティングには、他のプラットフォームでは得られない独自のメリットがあります。これらの特徴を理解することで、自社ECの成長戦略により効果的に組み込むことができます。
@cosmeマーケティングの5つの独自メリットは以下の通りです。
- メリット①レビューとECを連携させる循環型エコシステム
- メリット②美容特化による高い購買意欲とユーザー品質
- メリット③32万件の商品データベースによる豊富な分析基盤
- メリット④年間を通じた大型イベントによる購買促進機会
- メリット⑤中小ブランドでも参入しやすい柔軟なメニュー体系
これらのメリットを活用することで、単発的な広告効果を超えた、長期的なブランド価値向上と顧客関係構築が可能になります。
メリット①レビューとECを連携させる循環型エコシステム
@cosmeの最大の特徴は、口コミサイトとECプラットフォーム(@cosme SHOPPING)、リアル店舗やイベントを一つのエコシステムとして機能させていることです。ユーザーはレビューを参考に商品を選び、@cosme SHOPPINGで購入し、その使用体験を再び口コミとして投稿します。
◆@cosmeの循環型エコシステム
この循環により、商品の口コミが資産として蓄積され続け、長期的なブランド価値の向上につながります。一般的なECモールやSNS広告とは異なり、購買後もユーザーとの関係が継続するため、リピート購入やファン化を促進しやすい構造になっている点も見逃せません。
商品検索から購買、レビュー投稿、再購入まで、一連の顧客体験が@cosme内で完結する設計により、他社ECサイトへの流出を防ぎながら、継続的な関係性を構築できます。
メリット②美容特化による高い購買意欲とユーザー品質
@cosmeユーザーは美容・コスメに特化した関心を持つため、一般的なEC利用者と比較して購買意欲と単価が高い傾向にあります。月間購入者19万人という数字は、1,670万MAUから見ると約1.1%の購入率を示しており、これは美容領域での高いコンバージョン率を表しています。
また、レビュー投稿文化が根付いているため、商品への関与度が高く、購入後の満足度やリピート率も一般的なECユーザーより高くなる傾向があります。この特性により、獲得したユーザーの長期価値(LTV)を最大化しやすい環境が整っているのです。
美容に特化したコミュニティであるため、ユーザー同士の情報交換も活発で、口コミの質と量の両面から他のプラットフォームを上回る価値を提供しています。
メリット③32万件の商品データベースによる豊富な分析基盤
@cosmeには32万件にも及ぶ商品データベースと、レビューデータ、閲覧履歴、購入履歴、お気に入り登録情報など、美容に関する多様なユーザー行動データが蓄積されています。ブランドオフィシャルサービスやデータ活用メニューを利用することで、自社ブランドに関わるユーザーの詳細な行動分析が可能です。
これらのデータを活用することで、ターゲットユーザーの嗜好や購買パターンを把握し、より精度の高いマーケティング施策の設計と効果測定を実現できます。競合他社の動向分析や市場トレンドの把握にも活用できるため、戦略的な意思決定を支援する貴重な情報源となります。
メリット④年間を通じた大型イベントによる購買促進機会
@cosmeでは毎年12月の「BEAUTY DAY」と6月の「SPECIAL WEEK」という2つの大型販促イベントが開催されており、これらのタイミングでは通常期を大幅に上回る売上を期待できます。SPECIAL WEEKの流通総額が5年間で9倍に成長しているという実績が、効果の高さを物語っているといえるでしょう。
◆@cosme SPECIAL WEEKの流通総額
これらのイベントは、単発的なセールではなく、@cosmeユーザーの購買サイクルに組み込まれた年間行事として定着しています。EC担当者にとっては、計画的な在庫確保、特設ページの準備、ベストコスメロゴの活用など、戦略的な準備により大きな成果を得られる絶好の機会となるでしょう。
メリット⑤中小ブランドでも参入しやすい柔軟なメニュー体系
@cosmeの広告・販促メニューは幅広く、少額から始められるメニューも多数用意されています。月額制のブランドオフィシャルサービスから大型イベントでの特集枠まで、予算や目的に合わせてメニューを組み合わせることで、中小の美容系EC担当者でも効果的に活用できる設計になっています。
特に、アフィリエイト機能による成果報酬型の送客メニューは、リスクを最小限に抑えながら効果を試すことができるため、@cosme活用の入り口として最適です。段階的にメニューを拡大していくことで、投資対効果を確認しながら施策を発展させることができます。
認知拡大に効果的な広告メニュー5選
@cosmeが提供する認知拡大メニューは多岐にわたり、目的やターゲット、予算に応じて戦略的に選択できます。ここでは特に効果的な5つのメニューを、最新の機能や実績データと併せて詳しく解説します。
効果的な認知拡大を実現する5つの広告メニューは以下の通りです。
- メニュー①@cosmeサイト内ディスプレイ広告+LINE友だち250万人へのメッセージ配信
- メニュー②@cosme編集部制作によるリスティング広告
- メニュー③Amazon DSP @cosmeオーディエンスパッケージ
- メニュー④@cosme運用型オーディエンス
- メニュー⑤著名人COVERモデル×編集部タイアップのPicks @cosme COVER BEAUTY
これらのメニューを適切に組み合わせることで、@cosmeの巨大なユーザーベース(MAU約1,670万人)に対して多角的なアプローチが可能となります。特に、編集部による第三者視点の制作や、クッキーレス配信への対応など、他のプラットフォームでは提供困難な独自性の高いサービスが揃っている点が特徴です。
メニュー①@cosmeサイト内ディスプレイ広告+LINE友だち250万人へのメッセージ配信
@cosmeサイト内のトップページやカテゴリページにバナーや動画を掲載できるディスプレイ広告と、登録友だち数250万人を超えるLINEの@cosme公式アカウントからのメッセージ配信を組み合わせた施策です。特にLINE配信では、プッシュ通知機能により高い開封率とクリック率を実現できます。
◆@cosme公式LINEとのコラボ広告
メッセージはテキスト、画像、動画を組み合わせて配信でき、リンク先への誘導やクーポン配布による店頭送客が効率的に行えます。新商品の告知や限定キャンペーンの告知に特に効果的で、プッシュ通知の即時性を活かした施策展開が可能です。
このメニューは、@cosmeサイト内での認知度向上とLINEでの直接的なアプローチを同時に実現できるため、リーチ拡大と深いエンゲージメントの両方を狙える施策として位置付けられます。
メニュー②@cosme編集部制作によるリスティング広告
@cosmeのリスティング広告は、@cosme公式としての出稿と@cosmeのクチコミやデータを活用した商品訴求により、特定の商品やブランドを定めずにコスメの情報収集を行うユーザーにも効果的にアプローチできるサービスです。このサービス最大の特徴は、@cosme編集部が第三者視点でランディングページを制作することです。
◆@cosme公式としてのリスティング広告システム
ブランド発信とは異なる客観的な表現により、ユーザーの信頼感を損なわずに商品の魅力を訴求できます。リンク先が@cosmeドメインとなるため、自社運用のリスティング広告との併用も可能で、SEOとの親和性も高いのがメリットです。
信頼性を重視した商品訴求に適したメニューで、特に新商品の市場導入時や競合との差別化が困難な商品カテゴリーでの活用効果が高いとされています。
メニュー③Amazon DSP @cosmeオーディエンスパッケージ
AmazonDSPを通じて@cosmeの会員データや訪問履歴を活用した広告配信ができるサービスも提供されています。@cosme独自のターゲティングにより、美容・コスメに興味関心があるユーザーへの精密な広告配信が可能です。
◆Amazon DSPを利用した広告配信
Amazonという巨大なプラットフォーム上で、@cosmeユーザーの行動データを活用できるため、美容に関心の高いユーザーに効率的にリーチできます。特にAmazonでの購買行動データと@cosmeでの美容関心データを組み合わせることで、購買意欲の高いユーザーセグメントを特定できる点が大きな強みです。
これはEC売上に直結する施策を展開したい場合に特に有効なメニューで、Amazon内での商品露出拡大と@cosmeでのブランド認知向上を同時に実現できます。
メニュー④@cosme運用型オーディエンス
@cosmeデータを活用したDSP広告は、クッキーレス配信に対応し、かつ多様な配信面に広告掲載が可能なサービスです。2025年にはTikTokやTVerなどの配信面も新たに追加され、若年層やCTV(Connected TV)での大画面訴求も実現できるようになりました。
◆クッキーレス配信に対応したDSP広告
AudienceOneID(DAC社)を活用することで、ポストクッキー時代においても持続的にターゲティング配信が可能となり、Safariユーザーなどクッキー制限のあるブラウザ利用者へのリーチも拡大しています。
従来のクッキーベース配信では到達困難だったユーザー層にもアプローチできるため、幅広いリーチと精密なターゲティングを両立したい場合に最適です。
メニュー⑤COVER BEAUTY企画(著名人×編集部コラボ)
@cosme編集部が客観的な視点で制作するタイアップ記事と、新サービス「Picks @cosme」のCOVER BEAUTY企画を組み合わせた施策も実施されています。
毎月変わる著名人のCOVERモデルが商品を紹介し、オンラインの記事だけでなく、全国の@cosme STORE各店舗のデジタルサイネージにも同じモデルが登場して、@cosmeの顔として全方位的に機能します。
◆Picks @cosme × COVER BEAUTY企画の実施例
著名人の影響力と@cosme編集部の信頼性を組み合わせることで、ブランド認知向上とファン獲得に特に効果的なメニューです。
編集部による客観的なタイアップ記事の信頼性と、インフルエンサーマーケティングの拡散力を両立できる点で、他媒体では実現困難な独自性の高い施策であるといえます。
EC売上につなげる4大戦略
認知拡大施策で興味を持ったユーザーを実際の購入につなげるには、@cosmeならではの購買促進機能を戦略的に活用する必要があります。ここではEC売上に直結する4つの戦略を、具体的な活用方法と効果データとともに詳しく解説します。
EC売上向上を実現する4つの戦略は以下の通りです。
- 戦略①@cosme SHOPPING販促メニューによるプラットフォーム内購買促進
- 戦略②ベストコスメ・ランキングロゴ権利の自社EC活用
- 戦略③アフィリエイト機能による自社EC送客とレビュー起点の訴求
- 戦略④年間イベント活用(BEAUTY DAY・SPECIAL WEEK)による売上最大化
これらの戦略を組み合わせることで、@cosmeプラットフォーム内での購買と自社ECでの購買の両方を促進し、総合的なEC売上向上を実現できます。特に、@cosme内での高評価が自社ECでの信頼性向上につながる好循環を構築できる点が、他のプラットフォームにはない@cosme活用の大きな価値といえます。
戦略①@cosme SHOPPING販促メニューによるプラットフォーム内購買促進
@cosme SHOPPINGは月間購入者約19万人を誇る化粧品特化ECプラットフォームとして成長を続けており、約48,000アイテムを取り扱っています。美容への関心が高く購買意欲の強いユーザーに直接アプローチできるため、高いコンバージョン率を期待できます。
主要な販促メニューには、特集枠への掲載、10%ポイントバック期間中のバナー広告、お買い物ユーザーへの同梱サンプリング、@cosme美容部員によるライブショッピング協賛枠があります。
特にライブショッピングでは、@cosme美容部員が売れ筋商品やおすすめ商品を毎週配信しており、TikTokアカウントからの配信も可能です。
◆@cosme SHOPPINGとLIVE配信・TikTok広告の連動
商品ページのレビューやランキングと連動した訴求が可能で、@cosmeユーザーの購買意欲を効果的に高められます。プラットフォーム内での購買導線が整備されているため、認知から購入までスムーズな体験を提供できるのが最大の強みです。
戦略②ベストコスメ・ランキングロゴ権利の自社EC活用
@cosmeのベストコスメアワード受賞ロゴやランキングロゴを自社ECサイトや広告で利用できる権利は、商品の信頼性を大幅に向上させる効果があります。
◆@cosmeランキングロゴ利用サービスのメリット
美容業界での@cosmeランキングの権威性は非常に高いものです。32万件にも及ぶ商品データベースから選出されるため、特に中小ブランドにとっては大手との差別化要因となるでしょう。
ロゴの活用により、ECサイトでの商品ページCVRが向上するだけでなく、リスティング広告やSNS広告でのクリック率向上も期待できます。権利取得後は一定期間内であれば様々な媒体で利用可能なため、統合マーケティング施策の核として活用できます。
戦略③アフィリエイト機能による自社EC送客とレビュー起点の訴求
@cosmeの商品ページや口コミページに設置された購入ボタンから、成果報酬型で自社ECへ送客できるアフィリエイト機能は、質の高いユーザーを効率的に獲得できる施策です。
レビューを閲覧したユーザーは既に商品への関心が高く、購買意欲が高い状態で自社ECに流入するため、一般的な広告経由のユーザーと比較して購入率が上がりやすいという特徴があります。
◆成果報酬型のアフィリエイト機能
@cosmeアフィリエイト機能では、送客数、成果報酬額、CV率などを継続的に測定し、効果を可視化できます。申し込みから利用開始まで一定期間が必要ですが、成果報酬型のため初期リスクを抑えたプロモーションが可能となります。
口コミという第三者評価を起点とした送客のため、ユーザーの購入後満足度も高く、リピート購入につながりやすいのも利点です。アフィリエイト経由の送客数やCV率を可視化して改善を行えるため、継続的な最適化も実施できます。
戦略④年間イベント活用(BEAUTY DAY・SPECIAL WEEK)による売上最大化
@cosmeの年間イベントは、EC担当者にとって売上を大幅に伸ばす絶好のチャンスです。特に12月の「BEAUTY DAY」と6月の「SPECIAL WEEK」は、それぞれ異なる特徴と効果を持っており、戦略的な活用により大きな成果を期待できます。
EC担当者は、これらのイベント期間中の効果を最大化するために、専用ランディングページの作成、ポイント施策の設計、ベストコスメロゴの戦略的活用、在庫管理体制の強化などを事前に計画する必要があります。
特に、@cosmeユーザーの購買パターンを分析し、過去のイベント実績を参考にした売上予測と在庫計画が重要となるでしょう。
BEAUTY DAYの特徴と活用法
BEAUTY DAYは、ベストコスメアワードの発表と連動した年末の大型販促イベントです。
◆@cosme BEAUTY DAYの実施例
1年間の集大成としてのアワード発表により、ユーザーの注目度と購買意欲が最高潮に達します。ベストコスメ受賞商品への注目が集まるため、受賞商品を中心とした商品展開や関連商品の効果的な訴求が可能です。
SPECIAL WEEKの成長実績と戦略的価値
SPECIAL WEEKは、初年度の約3億円から5年間で約27億円まで流通総額が拡大(9倍成長)という驚異的な成長を見せている@cosme独自の大型イベントです。
◆@cosmeのSPECIAL WEEK実施例
初夏のタイミングで実施されることから、夏に向けた美容商品への関心が高まる時期と重なり、ECと実店舗を横断したセールや特典が統合的に提供されます。
マーケティングで守るべき2大ルール
@cosmeを活用したマーケティング施策では、効果的な訴求を行うと同時に、法的リスクを回避するための適切な表現管理が不可欠です。
ここからは、美容・コスメ業界特有の規制と@cosmeプラットフォーム固有のガイドラインを理解し、コンプライアンスを確保しながら最大限の効果を得るための2つの重要なルールを詳しく解説します。
これらのルールを遵守することで、@cosmeマーケティングの効果を最大化しながら、法的リスクを最小限に抑えた持続可能な施策展開が可能になります。
ルール①薬機法・@cosme広告基準の遵守による適正な表現管理
化粧品や健康食品の広告表現には、薬機法と景品表示法が厳格に適用され、さらに@cosmeが定める独自の広告掲載基準も遵守する必要があります。「効果効能をうたう表現」や「No.1表記」などは違反となる場合があり、広告表現には必ず根拠となるエビデンスが必要です。
@cosmeでの広告出稿においても独自の広告審査が実施されており、これらの法規制に準拠していない表現は掲載が認められません。
たとえば、「シミが消える」「必ず痩せる」といった断定的な効果表現や、根拠のない最上級表現は審査で却下される対象となります。
◆薬機法により表現の規制がかかる例
表現カテゴリ | NG表現例 | OK表現例 | 根拠要件 |
効果効能 | 「シミが消える」 | 「メラニンの生成を抑制」 | 配合成分の機能根拠 |
最上級表現 | 「業界No.1」 | 「@cosmeランキング1位獲得」 | @cosme調べの明記 |
体験談 | 「3日で効果実感」 | 「個人の感想です」併記 | 個人差の明示 |
比較表現 | 「他社より優秀」 | 「従来品比○%向上」 | 比較試験データ |
EC担当者は広告出稿前に、商品の効果効能に関する表現、比較表現、体験談の使用方法について、法的観点からのチェックを必須とする体制を整備しなければなりません。審査期間は通常1〜2週間程度を要するため、キャンペーン開始日から逆算したスケジュール管理も重要になります。
ルール②@cosme広告掲載基準の遵守による審査落ち防止
ステルスマーケティングと見なされるレビュー誘導や、誤解を招く表現の回避は、@cosmeマーケティングにおいて最も重要なリスク管理項目です。
2023年10月に施行されたステルスマーケティング規制により、広告であることを明示しない宣伝行為は景品表示法違反となるため、特に注意が必要です。
アフィリエイトやレビュー促進施策では、ユーザーに対して正確な情報提供を心がけ、過度なインセンティブによる誘導を避ける必要があります。
以下のような施策を検討する際には、ルールに抵触しないか慎重に確認すべきです。
- レビュー投稿への報酬提供
- サンプル配布と引き換えの口コミ投稿依頼
- 影響力のあるユーザーへの優遇措置
@cosmeプラットフォーム上でのレビュー施策を実施する際は、広告表示の義務、報酬や便益の適切な開示、ユーザーの自主的な投稿を促す仕組み作りに重点を置きましょう。
成果最大化のためのKPI設計3選
@cosmeマーケティング施策の効果を正確に測定し、継続的な改善につなげるためには、適切なKPI設計が不可欠です。ここでは@cosme特有のデータを活用した3つのKPI設計手法を、具体的な指標と測定方法とともに詳しく解説します。
@cosme活用効果を最大化する3つのKPI設計手法は以下の通りです。
これらのKPI設計を組み合わせることで、@cosme活用の効果を多角的に測定し、継続的な改善サイクルを回すことが可能になります。特に、@cosme独自のエンゲージメント指標とクロスチャネル評価を組み合わせることで、他のプラットフォームでは得られない詳細な顧客インサイトを獲得できます。
KPI①エンゲージメント分析による購買導線の可視化
@cosmeのブランドオフィシャルサービスでは、購入客を2段階、見込み客を4段階の合わせて6つの階層に分けてユーザーを可視化し、広告接触数→LP訪問数→お気に入り登録・口コミ投稿→購買というファネル分析が可能です。
◆エンゲージメントランクの分類とアクション例
参照:アイスタイル吉松徹郎氏が語るBaaS(Beauty as a Service)時代の化粧品マーケティング:20周年を迎えた「@cosme」
これにより「商品に興味を持ったが購入に至らなかった」ユーザーの具体的な人数と離脱ポイントを把握できます。
特に重要なのは、@cosme特有の中間指標である「お気に入り登録数」と「口コミ投稿数」です。これらの指標は購買意欲の高さを示すシグナルとして機能し、最終的な購入予測にも活用できます。
各階層の人数変化を継続的に追跡することで、無駄な販促を減らし、ROIの向上を実現できます。フォロー数、ファンクラブ会員数、クチコミ数、エンゲージメントランクを組み合わせたダッシュボードで、PDCAサイクルを効率的に回せるのが特徴です。
KPI②アフィリエイト成果の可視化とROAS最適化
@cosmeアフィリエイト機能では、送客数、成果報酬額、CV率などを継続的に測定し、クリエイティブやリンク位置の改善を行えます。レビューを参考にした購入経路であるため、ユーザーの満足度と継続購入率が高い傾向があります。
重要な測定指標としては、商品ページからの送客数と自社ECでのCV率、レビューページからの送客数(購買意欲の高いユーザー)、アフィリエイト経由ユーザーのLTV(リピート購入率)、成果報酬ROASと獲得コストが挙げられます。
◆アフィリエイト成果を改善するための指標の例
測定指標 | 改善施策例 | 効果測定方法 |
商品ページ送客CV率 | 商品説明の充実 | 月次でのCV率推移 |
レビューページ送客CV率 | レビュー連動LP作成 | レビュー評価別CV率 |
アフィリエイト経由LTV | リピート施策の強化 | 6ヶ月後購入率 |
成果報酬ROAS | 条件の最適化 | 月次収益性分析 |
@cosmeアフィリエイト経由のユーザーは、レビューを参考にして購入を決定するため満足度が高く、リピート購入率も一般的な広告経由より高い傾向があります。この特性を活かして、長期的な収益性を重視した設計が可能です。
KPI③クロスチャネル評価による横断効果の把握
@cosmeの最大の価値は、メディア・EC・店舗を横断したユーザー行動を統合的に分析できることです。ECと店舗、広告とレビューをまたいだ指標を設計することで、OMO施策の真の効果を把握できます。
代表的な横断評価指標には、「来店後EC購入率」「EC購入後の店舗リピート率」「レビュー投稿後の他商品購入率」などがあります。これらの指標により、単一チャネルでは見えない顧客価値を可視化できます。
一般的に、複数のタッチポイントを活用するユーザーは、ブランドとの接点が多いことで購買行動が活発化する傾向があります。そのため、各チャネル単体の効果だけでなく、チャネル間の相互作用を含めた総合的な評価が重要となるでしょう。
この横断評価により、認知拡大施策と売上施策の相乗効果を定量的に把握し、予算配分の最適化を実現できます。
まとめ
@cosmeを活用したECマーケティングは、単なる広告配信を超えた循環型のブランド構築手法です。レビューという第三者評価を起点とした信頼性の高い訴求により、ユーザーとの長期的な関係構築が可能になります。
認知拡大から購買促進、効果測定まで一貫したデータ活用ができる@cosmeの仕組みを理解し、法令遵守を前提とした適切な施策設計を行うことで、EC売上の持続的な成長を実現できます。
特に美容・コスメ業界では、商品体験の重要性が高いからこそ、口コミとECを連携させた@cosmeのエコシステムが強力な差別化要因となるでしょう。