Google広告やMeta広告の獲得単価(CPA)が高騰する中、TikTok広告を検討する事業者が増えています。しかし「種類が多くて選べない」と手が止まったり、とりあえず出してみたものの認知獲得で止まり売上につながらないケースが少なくありません。
結論から言えば、やるべきことはシンプルです。TikTok広告では、おすすめフィードに自然に表示される「運用型広告」と、すでに投稿した動画をそのまま広告に転用できる「Spark Ads」の2つを軸に、月10万円前後のテスト配信からスタートすることをおすすめします。
本記事ではこの前提のもと、種類・費用の整理から「認知→購買」の導線設計まで、TikTok公式の一次情報に基づいて解説します。
EC事業者が押さえるべきTikTok広告の費用・成果感・選び方
TikTok広告とは、TikTokのおすすめフィードやアプリ内に動画広告を配信できる広告サービスです。通常の投稿と同じ形式で表示されるため、ユーザーに広告として意識されにくいのが最大の特徴になっています。
「TikTok広告」で最初に知りたいのは「いくらかかるのか」「本当に効果があるのか」「自分でもできるのか」の3点ではないでしょうか。まずはこの3つに回答します。
◆費用・課金・成果で押さえるべき3つのポイント
それぞれ順に解説します。
ポイント① 運用型とSpark Adsの2択に絞る
月10〜30万円の予算で始めるなら、TikTok広告は運用型一択です。
TikTok広告には「予約型」と「運用型」の2系統があります。予約型は広告枠をあらかじめ買い切る方式で、TopView(500万円〜)やハッシュタグチャレンジ(1,000万円〜)など、数百万円規模の予算を前提としたブランディング向けメニューです。一方の運用型は、予算や配信期間を自由に設定できるオークション形式の広告で、数万円から始められます。
本記事では運用型に絞って解説します。運用型の中で選択肢となるメニューは、以下の3つです。
◆TikTok広告 運用型メニューの費用と特徴
| メニュー | 費用感 | 特徴 | おすすめ度 |
| 運用型インフィード広告 | 月数万円〜(推奨10〜30万円) | AIが購入見込みの高いユーザーに自動配信 | ◎ |
| Spark Ads | 最低日予算2,000円〜 | 既存投稿をそのまま広告化。広告で得たいいね等がアカウントに残る | ◎ |
| TikTokプロモート | 数百円〜 | アプリ内で簡単にブースト。ターゲティングは限定的 | ○(テスト用) |
表:TikTok Business Help Center|Spark Ads 等の情報をもとに筆者作成
このうち本命は「運用型インフィード広告」と「Spark Ads」の2つです。まずは運用型でCVを取りにいき、反応の良い投稿をSpark Adsで横展開するという流れになります。
◆TikTok広告の基本フロー

図解:TikTok Business Help Center|Spark Ads をもとに筆者作成
Spark Adsの最大の利点は、広告で得た視聴・いいね・コメント・フォローがオーガニック投稿側に帰属する点です。広告配信を停止した後もエンゲージメントがアカウントの資産として残るため、広告費が「使い捨て」にならない構造になっています。
ポイント② oCPMが標準。課金方式は迷わなくていい
TikTok広告の課金方式はCPM・CPC・CPV・oCPMの4種類あります。聞き慣れない用語が多いかもしれませんが、EC事業者が覚えるべきはoCPMだけです。
oCPMとは「optimized CPM」の略で、TikTokのAIが「この人は購入しそうだ」と判断したユーザーに優先的に広告を配信する仕組みです。購入完了をCV(コンバージョン=成果)地点に設定すれば、AIが自動で最適化をかけてくれます。
◆TikTok広告の課金方式と推奨度
| 課金方式 | 何に課金されるか | EC事業者への推奨度 |
| CPM | 1,000回表示ごとに課金 | △ |
| CPC | クリックごとに課金 | △ |
| CPV | 6秒以上視聴されたら課金 | △ |
| oCPM | AIが購入見込みの高い人に自動配信 | ◎ |
表:TikTok Business Help Center|入札方法 をもとに筆者作成
oCPMを選んだら、CV地点は「購入完了」に設定するのがおすすめです。
CPCを選んだ場合、「クリックはされるがCVしない」ユーザーにも予算が消化されるため、CPAが乱高下しやすくなります。一方、oCPMであればAIが最初からCV見込みユーザーに絞って配信するため、学習が進むほどCPAが安定します。
入札方式は「最小単価」「目標成果単価上限」「コスト上限」の3種類がありますが、データが少ない初期段階ではまず「最小単価」で配信を開始し、学習データが溜まった段階で「目標成果単価上限」に切り替えるのが定石です。迷ったらまずは「oCPM×最小単価」で始めてみましょう。
ポイント③ TikTok広告が向いている根拠をデータで確認する
TikTok広告はEC事業者と相性の良いチャネルです。TikTokには「若者向け」という印象を抱いている人も多いですが、実際にはかなり幅広い年代のユーザーが利用しているのです。
博報堂「コンテンツファン消費行動調査2025」によれば、TikTokユーザーの平均年齢は39.2歳まで上昇し、男性比率も約55%と女性を上回りました。総務省「令和7年度 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書」でも、TikTokの全年代利用率は33.2%に達しています。
◆主なSNSの年代別利用率

加えて、TikTok for Businessの調査では広告好感度が他プラットフォーム比で1.91倍と報告されています。これは、おすすめフィードに通常投稿と同じ形式で表示されるため、ユーザーが広告を「コンテンツ」として自然に受け取りやすい構造になっていることに起因します。
つまり、TikTokは30〜40代の購買層にリーチでき、月10万円から始められ、広告嫌悪が起きにくいプラットフォームだということです。Google広告やMeta広告のCPAが上がり続けている現状を踏まえれば、EC事業者がテストチャネルとして検討する価値は十分にあると言えるでしょう。
TikTok広告の出し方5ステップ|アカウント開設から初回配信まで
TikTok広告の出稿は、大まかに言うと以下の5ステップで完了します。
◆TikTok広告 出稿の5ステップ
- アカウント開設
- 計測基盤の構築(Pixel)
- キャンペーン作成
- クリエイティブ入稿
- 審査通過 → 学習期間
この中で最も重要なのがステップ2の「計測基盤」です。ここを外すと、広告の効果測定も改善もすべて不可能になってしまいます。他のステップは後からやり直せますが、Pixelなしで配信した期間のデータは二度と取り戻せません。
◆アカウント開設から初回配信までの流れ
特に重要なのがPixel設置と学習期間の2点です。ここを押さえておけば、初回配信で大きくつまずくことはありません。
出稿① アカウントを開設しPixelを設置する
TikTok広告を始めるには、まず「広告アカウント」と「Pixel(ピクセル)」の2つを準備します。
広告アカウントは広告を管理するための専用アカウント、Pixelは自社サイトに設置する計測タグのことです。Pixelを入れておくと「広告を見た人がサイトで商品を買ったかどうか」をTikTok側で自動的に記録できるようになります。
広告アカウントの開設自体は難しくありません。TikTok for Businessのサイトでメールアドレス・ビジネス情報・請求先を入力すれば、通常1営業日で審査が完了します。
アカウントが開設できたら、次にTikTok Pixelを自社サイトに設置しましょう。公式ではPixelとEvents API(サーバー経由で計測データを送る仕組み)の併用を推奨していますが、最初はPixelだけでも問題ありません。
Shopify・futureshop・makeshop等の主要カートでは、アプリやプラグインで設置が完了します。
Pixelを設置したら、次に「どのユーザー行動を計測するか」を設定します。これをCVイベント(コンバージョンイベント)と呼びます。以下の4つを入れておけば、ユーザーがサイト内のどこまで進んで離脱したかを把握できます。
◆設定すべき4つの標準イベント
- ViewContent(商品閲覧)
- AddToCart(カート追加)
- InitiateCheckout(決済開始)
- Purchase(購入完了)
Pixelは広告配信の「前」に必ず設置を完了させてください。これをやらずに広告を出す意味はありません。後から入れた場合、配信初期のデータが欠損し、AIの学習効率が大きく落ちてしまいます。
出稿② キャンペーンを作りクリエイティブを入稿する
次に、キャンペーンの設定とクリエイティブの入稿を行います。この工程でつまずきやすいのが、キャンペーン目的(広告で何を達成したいか)の選択と、ターゲティング(誰に届けるか)の絞り込みすぎです。
キャンペーン目的は「ウェブサイトのコンバージョン」を選択するのがおすすめです。ターゲティングは最初の段階では「広め」に設定し、AIの学習に任せておきましょう。絞りすぎると学習データが不足し、最適化が進みにくくなります。
広告に使用するクリエイティブは、1セットあたり3〜5本を用意することが公式で推奨されています。EC事業者であれば、以下の3種類のクリエイティブがおすすめです。
◆EC向けクリエイティブ3つの型
- ①商品デモンストレーション型。商品を手に取り、使い方や質感を見せる
- ②ビフォーアフター型。使用前後の変化を見せる。薬機法の表現制限に注意(後述)
- ③UGC風レビュー型。購入者の声風に自然なトーンで紹介する。ステマ規制に注意(後述)
いずれの型でも共通して意識すべきなのが「冒頭2秒のフック」です。TikTokユーザーは興味がなければ即座にスワイプするため、最初の2秒で「おっ」と思わせる要素が欠かせません。そこから商品のベネフィットを提示し、CTA(「詳しくはプロフィールから」などの行動を促す一言)で締める構成にしてください。
なお、Spark Adsを活用すれば既存の反応が良い投稿をそのまま広告化できるため、新規の動画制作が不要になることも覚えておきましょう。
出稿③ 審査を通し、学習期間を守る
TikTok広告を配信するには、広告審査への通過と、配信直後の「学習期間」を正しく乗り越える必要があります。この2つでつまずくケースが非常に多いため、事前に押さえておいてください。
審査に落ちやすいパターンは主に以下の4つです。該当してしまっている項目がないか、審査に出す前にあらかじめチェックしておきましょう。
◆TikTok広告の審査落ち4パターン
- 誇大表現
- 薬機法に抵触する効能表現
- 音楽著作権の未クリアランス
- そしてLP(ランディングページ=広告をクリックした先のページ)の不備(企業情報・返品条件の欠如)
審査を通過したら、次に意識すべきは「学習期間」です。
TikTokのAIは配信開始直後からユーザーの反応データを学習しており、公式ヘルプによれば約25件のCV達成あるいは7日経過でパフォーマンスが安定し始めるとされています。
この期間中は設定を変更しないことが鉄則です。学習期間中に設定を頻繁に変えてしまうと、AIの学習がリセットされてしまいます。予算の増額は学習中40%、学習完了後30%を上限にするよう公式ガイダンスで示されているため、参考にしてください。
月10万円で「認知→購買」の導線を設計する
ここからが本記事の核心です。TikTok広告を「出して終わり」にするのではなく、EC売上に直結させるための運用設計を4つの切り口で解説します。
◆TikTok広告における認知から購入までの流れ

図解:筆者作成
TikTokは「発見→興味→行動→購入」までの距離が短く、スムーズにコンバージョンにつながりやすいプラットフォームです。この特性を活かした運用設計を解説します。
◆月10万円から始める運用設計の全体像
- 運用設計① 月10万円を4週間で配分する
- 運用設計② 数値が悪いとき、どこを触るか。指標と改善の対応表
- 運用設計③ Spark Ads × TikTok Shopで購入完了までアプリ内で完結させる
- 運用設計④ オーガニック投稿と広告を使い分ける
広告を「出して終わり」にしない運用の考え方を、具体的な数値基準とともに整理しましたので、ぜひ目を通しておいてください。
運用設計① 月10万円を4週間で配分する
TikTok広告の初月は「学習データの確保→勝ちクリエイティブへの集中→Spark Adsでの資産化」の3段階で予算を配分するのが効果的です。月10万円を想定した4週間の配分モデルを紹介します。
◆月10万円の4週間配分モデル
| 期間 | 予算 | やること | 見る指標 |
| 第1週 | 3万円 | クリエイティブ3〜5本をoCPMで同時配信。設定は触らない | インプレッション数・2秒視聴率 |
| 第2〜3週 | 5万円 | CTR・CVRの高いクリエイティブに予算を寄せる。増額は30%以内 | CTR・CVR・CPA |
| 第4週 | 2万円 | 反応の良いオーガニック投稿をSpark Ads化してテスト | エンゲージメント率・ROAS |
初週に3万円を使うのは学習データの確保が目的であり、中盤の5万円は勝ちクリエイティブへの集中投下、最終週の2万円はSpark Adsによる資産化検証に回すためです。
第1週のポイントは「設定に触らず、データを溜める」ことに尽きます。学習期間中に設定を変えるとAIの学習がリセットされてしまうため、最低7日間は我慢が必要です。第2〜3週で勝ちクリエイティブが見えてきたら予算を集中させ、第4週でSpark Adsの検証に入ります。
なお、EC商材のTikTok広告ではCPAが初期に3,000〜10,000円程度でばらつき、学習完了後に安定する傾向があります。単価3,000円前後の衝動買い系商材ほどCPAは低く出やすく、単価1万円超の検討型商材ではCPAが高めに推移します。初週のCPAが高くても、学習期間中の想定内のブレとして捉え、設定変更せずにデータを溜めることが重要です。
運用設計② 数値が悪いとき、どこを触るか。指標と改善の対応表
TikTok広告の運用で見るべき指標はCTR・CVR・ROASの3つだけです。それぞれ「どの数値が悪ければ、どこを直すか」が明確に対応しています。この関係を把握しておけば、改善の方向を間違えずに済みます。
◆TikTok広告の改善指標と判断基準
| 指標 | 目安 | 判断と行動 |
| CTR(クリック率) | 1%以上で合格。0.5%未満はクリエイティブが機能していない | 0.5%未満→クリエイティブを総入替え。広告設定やLPは触らない |
| CVR(コンバージョン率) | EC商材で1〜3%が標準 | 1%未満→LPに原因あり。広告は触らずLP改善に集中する |
| ROAS(広告費用対効果) | 最低200%(広告費の2倍の売上)を初期目標に | 200%未満→商品単価・LTV・ターゲティングを再検討。クリエイティブとLPの問題ではない |
テーブルのとおり、指標ごとに「触る場所」は明確に分かれています。よくある失敗は、CTRが低いのにLPを直したり、CVRが低いのにクリエイティブを増やしたりするケースです。まずは原因となっている数値を見極めてから、正しい箇所を改善しましょう。
◆数値が悪いときの判断フロー

図解:筆者作成
また、動画指標の活用も有効です。TikTok広告マネージャーでは「2秒視聴率」「6秒視聴率」「視聴完了率」を確認でき、冒頭のフックがどこまで機能しているかを定量的に検証できます。
正しい検証を行い、自社の商材とマッチする形を見つけていきましょう。
運用設計③ Spark Ads × TikTok Shopで購入完了までアプリ内で完結させる
TikTok Shopを活用すれば、広告から購入完了までをTikTokアプリ内で完結させることができます。外部サイトへの遷移が不要になるため、離脱率が大幅に下がります。
具体的には、Spark Adsで商品タグ付き投稿を広告配信し、ユーザーがタグをタップするとTikTok Shop内の商品ページに遷移してそのまま購入が完了するという流れです。
TikTok Shopを運用する場合、2025年7月以降はGMV Max(TikTokのAIが広告配信を自動最適化する仕組み)がデフォルトのキャンペーンタイプに移行されています。
ただしGMV MaxのROASは他媒体のラストクリックROASと同列に比較できない点には注意が必要です。広告エンゲージメントの有無に関わらず注文がGMV Maxに帰属されるため、効果を過大に評価してしまうリスクがあることは把握しておきましょう。
TikTok Shopの出店方法やアフィリエイト機能の詳細については、以下の記事で解説しています。
運用設計④ オーガニック投稿と広告を使い分ける
TikTok広告のメリットは、フォロワー0の状態でも配信できることです。おすすめフィードに配信される仕組みのため、アカウントのフォロワー数は広告のリーチに影響しません。
ただしSpark Adsを活用するには、広告化する元投稿のストックが必要になります。おすすめの進め方は以下のフローです。
◆フォロワー0からの推奨フロー
- まず5〜10本のオーガニック投稿を蓄積する
- 反応の良い投稿をSpark Ads化する
- 並行して運用型インフィード広告でCV獲得を狙う
- 両輪が回り始めたらSpark Adsの比率を高める
オーガニック投稿の効果を最大化するための投稿時間の設計については、以下の記事で詳しく解説しています。
TikTok広告の「役割」|他SNS広告との使い分け
TikTok広告だけが正解ではありません。重要なのは「比較してどれが優れているか」ではなく、それぞれの広告チャネルにどの役割を持たせるかを明確にすることです。
◆3チャネルの役割分担とフェーズ別の組み合わせ
TikTok広告だけで完結させようとせず、他の広告チャネルとの組み合わせまで設計しておくと、成果の安定感が変わります。まずはTikTok・Meta・Googleの3チャネルを「役割」で整理するところから始めましょう。
役割① 新規獲得・刈り取り・顕在層を3チャネルで分担する
広告チャネルは「TikTok=新規獲得」「Meta=刈り取り」「Google=顕在層の受け皿」と、役割で使い分けるのが基本です。それぞれの特性を整理します。
◆広告チャネル別の役割とTikTokとの組み合わせ方
| チャネル | 役割 | TikTokとの組み合わせ方 |
| TikTok広告 | 新規獲得エンジン | 起点。潜在層にコンテンツとしてリーチ |
| Meta広告 | 刈り取り装置 | TikTokで認知した層をリターゲティング(一度サイトを訪れた人に再度広告を表示する手法)で刈り取る |
| Google広告 | 顕在層の受け皿 | TikTokでバズった商品の指名検索(商品名やブランド名での検索)を受け止める |
つまり、TikTokで認知を取り、Metaで刈り取り、Googleで指名検索を受け止めるという形が基本です。この3チャネルの役割分担を先に決めてから、予算配分を設計しましょう。
役割② フェーズに合わせてチャネルを組み合わせる
すべてのチャネルを同時に始める必要はありません。事業の成長フェーズに合わせて、優先するチャネルを段階的に増やすのが現実的です。
立ち上げ期(月商100万円未満)では、Google広告で指名検索の受け皿を確保しつつ、TikTokプロモートを数百円単位でテストするのが現実的な組み合わせです。この段階ではまず「売れる商品」を見極めることが最優先になります。
成長期(月商100万〜1,000万円)に入ったら、TikTok運用型広告で新規獲得を加速させ、Meta広告のリターゲティングで刈り取る2チャネル体制を構築します。
拡大期(月商1,000万円超)では、TikTok Shop × Spark Ads × GMV Maxを軸に、全チャネルを役割別に運用する段階です。この段階で初めて外注(運用代行)の検討が合理的になるでしょう。
TikTok広告で知っておくべき4つの法務・審査リスク
TikTok広告は審査基準が明確に定められており、知らずに出稿すると審査落ちや配信停止につながります。
◆TikTok広告における法務・審査リスク
それぞれ内容を詳しく解説します。EC事業者が特に注意すべき4つのリスクを整理しておきましょう。
リスク① ステマ規制に対応しPR表記を徹底する
インフルエンサー起用やUGC風の動画を広告として配信する場合、PR表記の明示が必須です。消費者庁はステルスマーケティングを景品表示法上の規制対象と明示しています。
具体的には、動画内のテロップやキャプション欄に「#PR」「#広告」等の表記を入れ、広告主との関与を明示しなければなりません。このルールはSpark Adsで他者の投稿を広告化する場合も同様です。
表記の位置が目立たない場所にあったり、大量のハッシュタグに埋もれて判別しにくい状態では不十分と判断されるリスクがあるため、PR表示は動画の冒頭やキャプションの先頭付近に配置しましょう。
UGC風の自然さはTikTok広告の強みですが、「自然に見える=広告と分からない」状態はステマ規制に抵触します。入稿前のチェック項目に「PR表記の確認」を組み込んでおくことをおすすめします。
リスク② 薬機法に抵触する表現を避ける
美容・健康商材のビフォーアフター表現や効能保証は、TikTok広告の審査で最も落ちやすいジャンルです。厚生労働省の「医薬品等適正広告基準」はSNS広告も対象に含んでいます。
たとえば「シミが消えた」「10kg痩せた」のような効果を断言する表現や、使用前後の写真で劇的な変化を演出する構成は審査却下の対象になります。「個人の感想です」と付記しても、表現全体が効能を保証する印象を与える場合は不十分と判断されるケースは後を絶ちません。
審査に通っても、後から配信停止になるケースもあります。美容・健康商材を扱う場合は、クリエイティブの制作段階で薬機法に詳しい専門家のチェックを入れることを前提にしておきましょう。
リスク③ Pixel設置時にプライバシーポリシーを整備する
TikTok Pixelを設置する際は、自社サイトのプライバシーポリシーの更新が必要になる場合があります。個人情報保護委員会は、SNSのタグ設置によりユーザーが操作しなくても情報が送信され得る点について注意喚起を行っています。
Pixelを設置すると、サイト訪問者のアクセス情報やCookie識別子がTikTok側に送信されます。この点をプライバシーポリシーに記載していない場合、個人情報保護法の観点で問題になる可能性があります。設置する際には「外部送信される情報の内容」「送信先」「利用目的」を明示し、必要に応じてCookie同意バナー等の同意導線を必ず整備してください。
リスク④ LPの記載事項をチェックリストで確認する
広告のリンク先ページに必要な情報が揃っていない場合、審査において高確率で却下されます。TikTok広告ポリシーでは、EC広告のランディングページに企業情報・価格・返品条件等の正確な情報表示を求めています。
特定商取引法の表示義務ともあわせて、以下のチェックリストで自社LPの対応状況を確認しておきましょう。
◆LP必須記載項目チェックリスト
| 項目 | TikTokポリシー | 特商法 |
| 企業名・所在地 | 必要 | 必要 |
| 商品価格(税込) | 必要 | 必要 |
| 送料 | 必要 | 必要 |
| 返品・交換条件 | 必要 | 必要 |
| プライバシーポリシー | 必要 | ― |
| 支払方法 | ― | 必要 |
| 引渡し時期 | ― | 必要 |
表:TikTok Business Help Center|広告ポリシー・特定商取引法をもとに筆者作成
不備があると審査却下の対象になるため、入稿前に必ず確認しておいてください。
よくある質問
ここからは、TikTok広告にかんするよくある質問をまとめました。
Q1. TikTok広告の最低予算はいくらですか?
TikTok広告は広告セットあたり日額約3,000円(20米ドル)から出稿できます。キャンペーン単位では日額約7,500円(50米ドル)が最低しきい値です。ただしAIの学習に十分なデータを集めるには、月10万円以上の予算確保が推奨されています。
Q2. TikTok広告は個人事業主でも出せますか?
はい、TikTok広告は個人事業主でも出稿できます。TikTok for Businessで広告アカウントを開設すれば、法人・個人を問わず利用可能です。
Q3. TikTok広告は動画を作ったことがなくても出せますか?
はい、動画制作の経験がなくてもTikTok広告は出せます。広告マネージャーに動画テンプレートや自動生成ツールが内蔵されており、静止画数枚から動画を作成できます。Spark Adsを使えば既存の投稿をそのまま広告化できるため、新規制作自体が不要です。
Q4. TikTok広告の運用は外注すべきですか?
月10〜30万円の予算であれば、まず自社運用から始めるのがおすすめです。勝ちパターンが見えた段階で外注を検討すれば問題ありません。外注相場の目安は、運用代行が月30〜60万円、助言のみが月5〜20万円、全部委託が月20〜150万円程度とされています。
Q5. TikTok広告のSpark Adsとインフィード広告の違いは何ですか?
最大の違いは、Spark Adsで獲得したいいね・コメント・フォローが元の投稿に蓄積され、広告終了後もアカウント資産として残る点です。通常のインフィード広告は新規作成した動画を配信しますが、Spark Adsは既存のオーガニック投稿をそのまま広告として使えます。
Q6. TikTok広告の審査に落ちた場合はどうすればいいですか?
TikTok広告の審査に落ちても、該当箇所を修正すれば再申請できます。広告マネージャーで却下理由を確認してください。よくある原因は「誇大表現」「LP不備」「音楽著作権」「薬機法抵触」の4つです。
まとめ
TikTok広告は、月10万円から始められる有力な集客チャネルです。使うメニューは運用型インフィード広告とSpark Adsの2つ、課金方式はoCPMを基本とし、CV地点は「購入完了」に設定してください。予約型広告は費用面で現実的ではなく、まずはこの組み合わせからテストを始めるのが合理的です。
ただし、広告を「出す」だけでは売上にはつながりません。Pixelを広告配信前に設置し、クリエイティブ3〜5本を用意し、学習期間の7日間は設定を触らずにデータを溜め、CTR・CVR・ROASを見ながら週次で改善を回してください。このサイクルを設計してはじめて、TikTok広告はEC売上を押し上げる武器になります。
まずはTikTok for Businessでアカウントを開設し、テスト配信から始めてみましょう。
ECサイトの構築・移行を検討中の方へ
ここまで記事をお読みいただきありがとうございます。
EC運営をしていると、「販売手数料が重い」「プラットフォームのコストが利益を圧迫している」と感じる場面は少なくないはずです。
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まずは90日間、コストゼロで試してみてください。







