小売店の「店舗アプリ」で売上を伸ばす5つの施策と4つの失敗パターン
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小売店が店舗アプリを導入したものの、「ダウンロード数は増えているのに売上につながらない」「アクティブユーザーが激減している」という課題を抱えるケースが後を絶ちません。

筆者がこれまで店舗アプリ開発・運用に携わってきた経験から言えるのは、小売店のアプリは導入がゴールではなく、運用次第で顧客離れを招く「諸刃の剣」になるということです。

特に小売業では、購買データの活用や在庫連携など、飲食店とは異なる独自の運用ノウハウが求められます。

本記事では、小売業の店舗アプリ運用に携わってきた筆者が、プロならではの視点で以下の内容を解説します。

  • ① 小売店アプリ運用における2つの現実的課題
  • ② 避けるべき4つの失敗パターンと回避策
  • ③ 売上を伸ばす5つの具体的運用施策
  • ④ 運用効果を測定する5つの重要指標

購買データとアプリの連携を起点に、小売店ならではの成功パターンを詳しく解説していきます。

1. 小売店アプリ運用における2つの現実的課題

小売店がアプリ運用を始める前に、まず把握しておくべき2つの厳しい現実があります。これらを理解せずに運用を進めると、期待した効果が得られないまま予算と時間を浪費することになります。

課題①:アプリ継続率の厳しい現実

AppsFlyerの2024年レポートによると、モバイルアプリの30日後継続率は平均5.7%となっています。

これは100人がアプリをダウンロードしても、1ヶ月後に使い続けているのはわずか6人程度という計算です。

◆モバイルアプリの30日後継続率

 

出典:Business of Apps「Mobile App Retention」

MMD研究所の調査では、ユーザーがメイン利用している店舗公式アプリの数は平均5.0個となっています。つまり、ユーザーのスマートフォンの「一等地」に残れる店舗アプリは、わずか5つ程度しかありません。

この競争環境を勝ち抜くためには、単なるポイントカード機能だけでなく、本記事で解説する付加価値を提供し、ユーザーの生活習慣の一部に組み込まれる必要があります。

現実②:運用放置による効果喪失

もう一つの深刻な課題は、アプリを導入しただけで満足し、運用が放置されるケースが非常に多いことです。

筆者が関わった案件でも、リリース後3ヶ月間ほとんど更新がなかったアプリでは、アクティブ率が半減していました。

新着情報もなく、クーポンも更新されず、プッシュ通知も送られない状態では、ユーザーがアプリを開く理由がなくなるのは当然です。

小売店アプリの失敗パターンとしてよく見られるのが、「会員証をアプリ化して紙のコストを削減しただけ」というケースです。

運用担当者と責任範囲を明確にし、週次・月次の更新スケジュールを事前に決めておくことが重要です。

2. 小売店アプリが避けるべき4つの失敗パターン

小売店の現場で発生する失敗パターンを整理しました。これらのパターンを避けることで、ユーザーに「不便」「不快」と感じさせず、ブランド毀損を防ぐことができます。

失敗①:WebView化による利便性の欠如

多くの小売企業が開発コスト削減のために陥る初期の失敗が、既存のECサイトをそのままアプリの枠の中に表示させるだけの「WebViewアプリ」です。

アプリを開くたびにID・パスワードを求められることが多く、利便性が極めて低い状態になります。ページ遷移のたびに読み込みが発生し、ネイティブアプリ特有のサクサク感がありません。

ユーザーは「これならブラウザでブックマークして見るのと変わらない」と判断し、ストレージ容量確保のために真っ先に削除対象とします。

WebView化を避けるためには、初期投資は増えますが、ネイティブアプリとして開発する必要があります。少なくとも会員証表示やクーポン機能など、頻繁に使われる機能はネイティブで実装することが重要です。

失敗②:在庫情報の不一致・欠如

アプリで『在庫あり』と確認して来店したのに、棚になかった」という事象は、小売業において最も顧客の信頼を損なう体験です。

在庫データの更新が1日1回のバッチ処理などに依存しており、日中の販売分が反映されていないケースがあります。万引きや伝票処理の遅れにより、システム上の数字と実際の棚卸資産が合わないこともあります。

わざわざ足を運んだ顧客の怒りは深く、SNSでのネガティブな拡散や、二度とその店を利用しないという決断につながります。対処法としては、リアルタイム在庫連携(API連携)への投資を行うことが理想的です。

それが困難な場合は、「在庫は変動するため、確実な確保には取り置きサービスをご利用ください」というUI上の誘導を行います。

BOPIS(Buy Online Pick-up In Store)を導入し、オンラインで注文・決済した商品を店舗で受け取る仕組みを構築することで、在庫確保の問題を根本的に解決できます。

失敗③:過剰・無関係なプッシュ通知

MMD研究所の調査によれば、アプリをインストールしない、あるいは削除する理由の上位に「通知が煩わしそう」が常にランクインしています。

毎日複数回、同じような内容のセール通知を送ってしまうケースが多く見られます。全ユーザーに一律の内容を送る配信方法では、男性ユーザーに女性用下着のセール情報を送るなど、的外れな配信が発生します。

OneSignalの2024年ベンチマークによると、リテール・EC系アプリでのプッシュ通知許諾率はiOSで33.2%、Androidで36%となっています。一度通知をOFFにされると、再度ONにしてもらうことは極めて困難です。

配信頻度は月4回以内に制限し、購買履歴や年齢層に基づくセグメント別配信に切り替えることが不可欠です。

出典:OneSignal 2024 Mobile App Benchmarks

失敗④:レジ前でのUI/UX問題

アプリは「レジ前」という最も緊張感のある場面で利用されることが多く、この瞬間のUI/UX設計の不備は致命的です。レジで並んでいる間にアプリが立ち上がらない、ロードが終わらないという状況が発生します。

会員バーコードを表示するために、トップページから何回もタップが必要な設計になっているケースもあります。店舗内の電波状況が悪い場所で通信エラーとなり、バーコードが表示されないこともあります。

後ろに並んでいる他の客からのプレッシャーを感じた顧客は、「もういいです」とポイント付与を諦めるか、アプリの利用自体をストレスと感じて利用をやめてしまいます。

対処法としては、以下が有効です。

  • アプリ起動から会員バーコード表示までを2タップ以内に設計する
  • オフライン環境でもバーコード表示できる仕様にする
  • 自動ログアウトの時間を長めに設定(例:30日間)する

3. 小売店の売上を伸ばす5つの運用施策

ここからは、小売店の売上向上に直結する具体的な運用施策を解説します。いずれも筆者が実際の運用現場で効果を確認してきた手法です。

施策①:購買データ活用によるパーソナライズ配信

従来のマスマーケティングでは、「F1層(20〜34歳女性)」といった粗いデモグラフィック属性に基づいた一斉配信が主流でした。しかし、個人の趣味嗜好が細分化した現代において、この手法は多くのユーザーにとって「自分に関係のないノイズ」と判定されます。

成功するアプリ運用では、ID-POSデータ(誰が、いつ、何を、どれだけ買ったか)を活用した「One to Oneマーケティング」への転換が必須です。

このデータを活用することで、顧客一人ひとりの趣味嗜好、家族構成などを予測できます。例えば、化粧品を頻繁に購入するユーザーには、新作コスメの限定サンプルクーポンを配信します。ベビー用品の購入履歴がある顧客には、子育て関連商品の情報を配信します。

関連性の高い情報は、顧客にとって「広告」ではなく「有益な通知」として受け入れられます。

マツモトキヨシなどがID-POSデータを活用し、特定の商品カテゴリーを頻繁に購入するユーザーを精緻にセグメント化しています。メーカーとタイアップした限定サンプルクーポンを対象者のみに配布することで、無駄な販促コストを抑えつつ、確実な来店動機を創出しています。

パーソナライズ配信は、一律配信と比較してクーポン開封率が約1.5倍に向上することが確認されています。

◆パーソナライズ配信による開封率への効果

施策②:OMO・BOPISによる来店促進と客単価向上

EC(電子商取引)の利便性が向上し、翌日配送が当たり前となる中で、顧客があえて実店舗に行く理由は「即時性」と「体験」に集約されつつあります。

OMO(Online Merges with Offline)の文脈において、リアルタイム在庫検索により、来店前に「行けばあるか」を確定させる機能を提供します。BOPIS(Buy Online Pick-up In Store)では、アプリで確保し、店舗で受け取る仕組みを構築します。送料負担がなく、店舗での「ついで買い」も誘発できます。

「店に行ったのに在庫がなかった」という経験は、顧客満足度を著しく低下させるだけでなく、その後のブランド離反を招く最大のリスクです。

アプリで在庫を可視化・確保することで、「空振り」のリスクを排除し、確実な来店につなげることができます。BOPISには物流コストの削減という企業側のメリットに加え、店舗受け取り時にスタッフが関連商品を提案することで、クロスセルによる客単価アップが見込めます。

無印良品は、アプリで店舗在庫を高精度に検索でき、取り置きサービスと連携しています。顧客は来店前に確実に商品を確保でき、「せっかく行ったのに在庫がなかった」という失敗を防げます。

ヨドバシカメラは、オンライン注文後、最短30分で店舗受け取りが可能なBOPISを実現しています。送料無料で即日入手できる利便性が支持され、店舗受け取り時の関連商品購入も促進されています。しまむらも、アプリでの在庫確認と取り置きサービスを提供し、顧客の来店動機を高めています。

施策③:デジタルチラシ・スタッフ投稿の進化

スーパーマーケットやドラッグストアにおいて、新聞折込チラシのPDFデータをそのままアプリに掲載する手法は、スマートフォンの小さな画面では視認性が低く、若年層には響きません。

スーパー・ドラッグストアでは、自社アプリ内で「マイ店舗」登録に基づいた、スマホ最適化されたフィード形式での特売情報配信が必要です。単なる商品羅列ではなく、動画レシピや「今夜のおかず」提案など、商品を使用した解決策の提示が求められます。

アパレル・雑貨では、店舗スタッフが着用画像を投稿し、その画像から直接EC購入や店舗在庫確認ができる仕組み(Staff Start等のツール活用)が標準化しています。

◆スタッフの着用画像から購入できる画面のイメージ

「商品スペック」ではなく「使用イメージ」を伝えることで、購買意欲を喚起します。

特にスタッフ投稿は、顧客にとって「自分に近い体型・年代」の参考情報となり、親近感と信頼感を醸成します。これは、ECのコンバージョン率を高めるだけでなく、そのスタッフがいる店舗への来店動機にもつながります。

ベイクルーズは、接客DXツール「STAFF START」を積極的に活用し、店舗スタッフによるコーディネート投稿を強化しました。その結果、スタッフの投稿経由でのEC売上が月間46億円を達成し、EC全体の売上の約7割がスタッフコンテンツを経由しています。

施策④:スマホレジによるフリクションレス購買

実店舗における最大のストレス要因である「レジ待ち」を解消するために、アプリ自体を決済端末やスキャナーとして機能させる施策です。

スマホレジ(Scan & Go)では、顧客自身のスマホで商品バーコードをスキャンしながら買い回り、専用ゲートで決済を完了します。会員証の即時提示では、アプリ起動から会員バーコード表示までの時間を短縮します。

店内モードでは、GPSやビーコンで来店を検知し、自動的に会員証やクーポン、店内マップを表示するUIへの切り替えを行います。

レジ待ち時間の短縮は、顧客体験を劇的に向上させます。

興味深いことに、自分でスキャンするプロセスにおいて、現在のかごの中身の合計金額がリアルタイムで可視化されるため、「予算まであと少しあるからお菓子を追加しよう」という心理が働き、結果として客単価が向上する現象が確認されています。

イオンリテールが展開する「レジゴー」は、2024年6月時点で導入店舗は300店舗を突破しています。これは、買い物をしながら金額を確認できる安心感や、セルフスキャンという新しい体験自体が支持された結果であり、レジ待ちの解消と売上増を同時に実現した成功例です。

施策⑤:ランク制度・ゲーミフィケーションによる定着

アプリの定着率を高めるためには、買い物の予定がない日にもアプリを起動してもらう必要があります。単なるポイントカード機能だけでなく、エンターテインメント要素や承認欲求を満たすランク制度を導入します。

ランクアップ制度では、年間の購入金額や来店回数に応じて会員ランクが上がり、ポイント還元率アップや特別イベントへの招待などの特典が付与されます。ゲーミフィケーションでは、1日1回のログインボーナス、スクラッチ、ガチャ、歩数計連動など、毎日アクセスする理由を作ります。

「ランクを落としたくない」「あと少しで上のランクに行ける」という心理は、他店への浮気を防ぐ強力なロックイン効果を持ちます。

また、ゲームによる毎日のアプリ起動は、ブランドへの接触頻度を高め、ふとした瞬間の特売情報通知を目にする機会を増やします。

マツモトキヨシは、公式アプリ内で「ルーレット」を提供し、最大20%OFFクーポンなどが当たる仕組みを導入しています。このゲーム機能は、アプリのDAU(デイリーアクティブユーザー)維持に大きく貢献しており、2024年にはECアプリカテゴリーで最大のダウンロード数増加を記録しました。

カインズは、「DIYポイント」や会員ランク制度を導入し、単なる購入だけでなく、ワークショップへの参加やDIY作品の投稿などの「活動」を評価対象としています。

4. 運用効果を測定する5つの指標

店舗アプリの運用効果を正しく把握するには、適切な指標を設定し、定期的に測定することが不可欠です。

ここでは、最低限押さえるべき5つの指標を解説します。

指標①:継続率(リテンション率)

継続率は、アプリをインストールしたユーザーが一定期間後も利用し続けている割合を示す指標です。

計算式は「継続利用ユーザー数÷新規インストール数×100」となります。一般的には、1日後、7日後、30日後の継続率を計測します。

業界平均と比較して自社アプリの継続率が低い場合は、オンボーディング(初回体験)やコンテンツの見直しが必要です。

指標②:アクティブ率(DAU/MAU)

DAU(Daily Active Users)は1日あたりのアクティブユーザー数、MAU(Monthly Active Users)は月間アクティブユーザー数を指します。

MAUに対するDAUの比率(DAU/MAU)は、ユーザーがどれだけ頻繁にアプリを利用しているかを示す「粘着率」として使われます。この比率が高いほど、ユーザーがアプリを習慣的に利用していることを意味します。

小売アプリの場合、業種によって目標値は異なりますが、DAU/MAU比率が20%以上であれば良好と言えます。

指標③:プッシュ通知開封率

プッシュ通知の開封率は、配信したプッシュ通知のうち、実際にユーザーが開封した割合です。

開封率の目安としては、1〜5%がボリュームゾーン、5〜10%が良好、10%以上が非常に良好とされています。開封率が低い場合は、配信タイミング、件名の内容、配信頻度などを見直す必要があります。

セグメント別配信に切り替えることで、開封率が大きく改善するケースも多くあります。

指標④:クーポン利用率

クーポン利用率は、配信したクーポンが実際に店舗で使用された割合です。

計算式は「クーポン利用数÷クーポン配信数×100」となります。

利用率が低い場合は、クーポンの内容(割引率、対象商品)、有効期限の設定、配信対象のセグメントなどを見直します。

10%未満の割引率では利用されにくい傾向があるため、最低10%以上を目安にすることをおすすめします。

指標⑤:アプリ経由売上

最終的に重要なのは、アプリが売上にどれだけ貢献しているかです。

アプリ経由売上の把握方法としては、アプリクーポン利用時の売上計測、アプリ会員証提示時の購買データ分析、アプリ経由のEC売上集計があります。

POSシステムとアプリの連携ができている場合は、アプリ会員の来店頻度や客単価を非会員と比較することで、アプリの効果をより正確に把握できます。

アプリ会員は、非会員と比較して年間平均で140%多く購入しているというデータもあります。

5. まとめ

小売店の店舗アプリ運用において最も重要なのは、「導入がゴールではなく、運用が本番」という認識を持つことです。

本記事で解説した重要ポイントは以下の通りです。

  • アプリの継続率は想像以上に低く、30日後には5〜6%まで落ち込むことを理解する必要があります。
  • WebView化や在庫不一致、過剰な通知、レジ前の使いにくさという4つの失敗パターンを避けます。
  • ID-POSデータを活用したパーソナライズ配信により、開封率を約1.5倍向上させます。
  • OMO・BOPISにより来店促進と客単価向上を実現し、レジゴー利用客の客単価は約1.3倍高いという結果が出ています。
  • スタッフ投稿やデジタルチラシでコンテンツを充実させ、ベイクルーズではEC売上の7割がスタッフコンテンツ経由となっています。
  • ランク制度・ゲーミフィケーションで毎日の起動理由を作ります。
  • 継続率、アクティブ率、開封率、利用率、アプリ経由売上の5つの指標を定期的に確認します。

調査データによると、アプリインストール後に「来店や購入頻度が増えた」と回答した人は40.4%に達しています。適切に運用すれば、店舗アプリは確実に売上向上に貢献するツールとなります。

まずは自社アプリの継続率とアクティブ率を確認し、現状を把握することから始めてください。そのうえで、購買データ連携やセグメント別配信の導入など、本記事で紹介した施策を一つずつ実践していくことをおすすめします。

小売店アプリの成功は「ダウンロード数」ではなく「継続利用と売上貢献」で決まることを、ぜひ参考にしてください。

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