Amazonで商品を販売するにあたって、機会損失を防いだり顧客満足度を向上させたりするには、在庫管理は欠かせない要素のひとつです。しかし、在庫管理を実際にどのように行えばよいか迷っていませんか？
本記事では、Amazonの在庫管理において重要なポイントを解説します。
- Amazonにおける在庫管理とは？2つの管理方法
- Amazonで在庫管理が必要な4つの理由
- セラーセントラルで在庫管理を行う4つのメリット・デメリット
- FBAで在庫管理を行う6つのメリット・デメリット
- Amazonで在庫管理を最適化するための5つのポイント
- マルチチャネルの在庫管理にはシステム導入も検討
- Amazonを含む在庫一元管理におすすめのシステム3選
ショップの売上拡大を目指す場合、Amazonで適切な在庫管理を行うことが重要です。おすすめの管理システムも紹介するので、在庫管理の手法にお悩みの方はぜひ参考にしてください。
Amazonにおける在庫管理とは？2つの管理方法
在庫管理とは、在庫の数量や状態を把握して管理することを指します。適切な数量に保ったり、現状把握を行ったりすることで利益の最大化や業務効率の向上につなげることが可能です。
Amazonで商品を販売する場合も在庫管理は重要なポイントとなります。Amazonにおいては、主に以下2通りの在庫管理の方法があります。
◆Amazonにおける2つの在庫管理方法
2025年の米国Amazon市場における予測値データでは、FBAを利用するセラーが82％、自社発送など他のフルフィルメント方式を利用するセラーが18％となっています。
◆米国Amazon市場におけるフルフィルメント利用割合（2025年）
データ出典：https://redstagfulfillment.com/how-many-amazon-sellers-use-fba/?utmより筆者作成
自社で管理するのか、FBA側で一部管理するのかの2つに分かれます。どちらを利用するかは、販売手法や商品、コストなどを総合的に比較して判断するのがよいでしょう。
方法①：自社（セラーセントラル）で管理
一つ目は、自社で在庫を管理することです。Amazonの管理画面である「セラーセントラル」では、商品の在庫登録や在庫パフォーマンスの確認などができます。
商品を自社の倉庫などで保管しつつ、Amazonの出品商品に在庫数を登録しましょう。在庫登録はCSVファイルで一括アップロードしたり、在庫管理システムなどとAPI連携で在庫連携したりといったことも可能です。
特にマルチチャネルで商品を展開しているようなショップは、実在庫とAmazon上の在庫に差異が無いよう管理することが重要となります。
方法②：FBA入庫してAmazon側で管理
もう一つの在庫管理手法は、FBA倉庫に入庫することです。商品の保管から発送までAmazon側で行ってくれるため、自社に置き場所が無い事業者でも利用しやすいのがメリット。
在庫もFBA倉庫への入庫数と連動されるので、実在庫とのズレが発生しないのが利点となっています。在庫の数量などはセラーセントラル上から確認できるため、在庫保管の手間が削減可能です。
FBA倉庫への入庫の手間や手数料が必要ですが、Primeマークがつくなど売上拡大に貢献できるため、積極的に活用しましょう。
Amazonで在庫管理が必要な4つの理由
Amazonで在庫管理が必要な理由は以下の4つです。
◆Amazonで在庫管理が必要な4つの理由
事業者の利益を最大化するためには、在庫管理は避けては通れません。
以下で解説する在庫管理が必要となる4つの理由をひと通り押さえたうえで、どのように在庫管理を行うのかを検討してください。
理由①：機会損失の削減
在庫管理を適切に行う必要がある大きな理由として、機会損失を削減することが挙げられます。在庫が正しくAmazon上に登録されていないと、ユーザーがせっかく購入しようとしているのに買えなかったり、購入したのに発送できなかったりといった事態が発生します。
特に、購入したのに発送できない場合はショップの評価にも関わってくるため注意が必要です。在庫数量はただしく登録し、適切な商品量を提供できるようにしましょう。
理由②：業務の効率化
在庫管理は業務の効率化の観点からも重要です。どの商品がどこにあるのかなど、出荷業務をスムーズに行ううえでも在庫管理は行ってください。
また、適切な在庫数を維持できるよう日ごろから管理しておけば、商品の入庫や移動などもスムーズに行えます。業務効率が上がればその分売上拡大の施策などにリソースを割けるので、きっちり在庫管理を行ってください。
理由③：コストの削減
余計なコストを削減するうえでも、在庫管理は重要です。在庫管理が正しく行われていないと、無駄に商品を持ち過ぎていたり、煩雑な管理で人件費が余分にかかっていたりとコスト面で業務を圧迫します。
商品を仕入れ過ぎないよう在庫回転率を把握したり、返品商品の比率を確認するなど細かな管理がポイントです。商品の販売数が多いのに利益が残らないという場合は、在庫状況も重要な指標なのでぜひ一度確認してみてください。
理由④：顧客満足度の向上
適切な在庫管理は顧客満足度の向上にもつながります。欲しい時に欲しい商品が買えるのは、顧客にとって大きなメリットです。
商品の供給を適切に行うためにも、在庫管理を行ってください。また、商品の数だけでなく状態の把握も重要です。消費期限や箱潰れの状態など、届いたときにユーザーが使用できる物を送るのは大前提です。
クレームにつながるとショップの評価の低下も招くので、品質チェックも在庫管理では必須のポイントのひとつとなっています。
セラーセントラルで在庫管理を行う4つのメリット・デメリット
セラーセントラルで在庫管理を行うメリット・デメリットを、解説します。
◆セラーセントラルで在庫管理を行うメリット・デメリット
| メリット | ・複数人で管理できる
・商品登録から分析まで管理全般を行える |
| デメリット | ・管理に手間がかかる
・実在庫の棚卸が必要 |
それぞれ解説しますが、基本的にはWeb上で管理できるのが大きな利点です。実在庫と数を合わせるのが必須となるので、倉庫内のオペレーションと連携して管理していくことがポイントです。
メリット①：複数人で管理できる
AmazonセラーセントラルはWebブラウザ上でログインできるため、管理画面は複数のPCから確認できます。複数人で管理できるため、業務の属人化を防ぎやすく、リスクヘッジにもつながるでしょう。
注意すべきなのは、情報を適切に共有し、関係者が連携して作業を行うことです。在庫の数量変更などをそれぞれの担当者が個別に行ってしまうと、かえって在庫数が合わなくなる可能性もあります。
複数人で管理する場合は、ルールを決めて取り組むのがおすすめです。
メリット②：商品登録から分析まで管理全般を行える
セラーセントラルでは、Amazonへ出品する商品登録から、その後の分析まで一気通貫で行えます。どの在庫がいつ販売されたのか、どの程度売れているのかは各種レポートから確認可能です。
在庫の減少速度に合わせて商品を手配することで、売切を防いで機械損失の削減につなげられます。セラーセントラルは商品の在庫管理を管理画面上から行えるのが大きな利点です。
デメリット①：管理に手間がかかる
商品在庫は自社管理なので、管理自体に手間がかかるのは難点です。在庫数に合わせて保管スペースも必要になるため、商品数が増えるほど家賃なども高くなりがちです。
また商品の使用期限や、外装の日焼け・破損防止などのチェックも欠かせません。FBAを利用するとこうした手間やスペースの問題は解決されるので、必要に応じて利用を検討してください。
その際は、保管スペースの家賃や管理にかかる人件費なども合わせて比較することが重要です。
デメリット②：実在庫の棚卸が必要
自社管理の場合、Amazon上の数量と実在庫の数を合わせる棚卸作業が必要です。FBAの場合は、Amazon倉庫とセラーセントラルの画面が連携されているので、システム不具合が無ければ「販売されている数＝実在庫」の数となります。
一方で、自社管理の場合マルチチャネルで商品を取り扱っているケースも多く、「Amazonの登録数量＝実在庫の数」とは限りません。数量がズレていると、機会損失や顧客のクレームにつながる可能性もあるため、こまめに数量の確認を行ってください。
FBAで在庫管理を行う6つのメリット・デメリット
FBAで在庫管理を行うメリット・デメリットを解説します。
◆FBAで在庫管理を行うメリット・デメリット
| メリット | ・プライムマークがつく
・手間や人件費の削減 ・顧客満足度の向上 |
| デメリット | ・手数料がかかる
・実際の物の確認・加工ができない ・FBAに対応していない商品もある |
FBAに入庫できるものであれば、プライムマークがつくなど売上拡大の観点からメリットが大きいのが特徴です。一方で手数料がかかるため、自社で管理するのとどちらが利点があるかを比較して選択してください。
メリット①：プライムマークがつく
FBA入庫すれば、プライムマークが付くため、ユーザーが購入する可能性が上がります。各商品ページのカート獲得率にも影響を与えるため、Amazonで売上を拡大するにはプライムマークは重要です。
FBAを利用しなくても、マケプレプライムを使うことでプライムマークは付けられますが、Amazonの求める配送品質を担保するのは難しいでしょう。在庫管理だけでなく売上を向上させたい事業者は、FBA入庫を検討してください。
メリット②：手間や人件費の削減
FBA入庫すれば、商品の梱包から発送、顧客対応まですべてAmazon側で行ってもらえます。そのため、発送に関わる手間や人件費の削減につながるのです。
Amazonの倉庫内に商品があるため、在庫管理の手間もかかりません。商品発送のために多くの人を雇っているという事業者は、FBAに切り替えることで人件費や資材代の削減につなげられる可能性があります。
メリット③：顧客満足度の向上
FBAの利用は、顧客満足度の向上にも有効です。倉庫内にある数量がそのまま商品の販売可能数量となり、機会損失を防ぎやすいという利点があります。
ほかにも、プライムマークが付くことによって商品を素早くユーザーに届けられます。返品作業などもAmazon側で行ってもらえるので、ユーザーはスムーズに取引ができてリピートしてくれる可能性が高まるでしょう。
デメリット①：手数料がかかる
FBAの利用には手数料がかかります。保管料もかかるため、手数料全般を自社発送の場合と比較して検討する必要があります。
自社で在庫管理する場合もテナント料などがかかってくるため、FBAの手数料が高いとは一概には言い切れません。FBAなら作業工賃もすべて含まれているので総合的に考えましょう。
デメリット②：実際の物の確認・加工ができない
FBA倉庫に商品を入庫してしまうと、実物の確認や加工などができなくなります。商品がどんな状態なのかをチェックできなくなるため、細かな管理が必要なものは向きません。
また、商品を組み立てたり、セットにしてから発送するようなものは、FBAに入庫する前に行っておく必要があります。ラベルの貼り付けなど別途手間がかかるため注意してください。
なお、ラベルの貼り付けについても1枚20円でAmazon側に依頼することが可能です。
デメリット③：FBAに対応していない商品もある
商品によっては、FBAに対応していないものもあります。たとえば、火薬などの危険物、医療機器などです。こうした商品はそもそもFBAを利用できません。
必然的に自社での在庫管理が必要となる点は押さえておきましょう。
Amazonで在庫管理を最適化するための5つのポイント
Amazonで在庫管理を最適化するためのポイントは、以下の5点です。
◆Amazonで在庫管理を最適化するための5つのポイント
上記を意識することで、適切な在庫数量を維持しながら売上の拡大を目指しやすくなります。在庫はただ抱えるだけでなく、数量や管理が適切であることが重要です。
ポイント①：棚卸による実在庫の見直し
定期的な棚卸により、実在庫の数量が理論在庫と一致しているかを確認しましょう。販売中の数量と実在庫が異なると機会損失やトラブルの元になります。
また、倉庫内で日焼けやカビ、破損などの確認にもつながります。一度入庫した在庫はそのまま放置するのではなく、こまめにチェックすることが重要です。
棚卸をしたうえで在庫金額を把握できれば、売上に対して余分な在庫を抱え過ぎていないかも確認できます。
ポイント②：顧客ニーズや在庫回転率の分析
顧客のニーズや在庫回転率を分析し、適切な商品数を維持することが重要です。在庫回転率とは、一定期間内に在庫が何回入れ替わったかを示す指標です。たとえば、30個在庫を持っている商品が、1ヶ月に1個しか売れない場合、在庫回転率は0.1です。
このまま放置し続けると、消費期限切れを起こす可能性もあり、場所も圧迫し続けるので在庫数量を減らす必要があります。このように、在庫の変動を確認して最適な数量に保ち続けるのがおすすめです。
ポイント③：販売の促進
在庫はただ入荷させるだけでなく、減らす取り組みをしましょう。販売を促進し、絶えず商品の入荷と出荷が繰り返されている状況が健全です。
欠品を防ぐためにある程度多めに持つのは一般的ですが、在庫は多すぎても少なすぎても問題です。販売数量を予測して、適切な入荷量を確保できるように努めましょう。Amazonの場合は、さまざまな条件によってカートが獲得できる場合があります。
カート獲得によって一気に販売数が伸びるケースもあるため、販売数量のチェックも必須です。
ポイント④：複数在庫の一元管理
マルチチャネルで販売している場合や、複数の倉庫に在庫がある場合はできるだけ一元管理をしましょう。在庫管理システムなどを活用すれば、複数チャネルの在庫をAPI連携などで一元管理できるものもあります。
各ショップの販売在庫数と、実在庫の総数が一致していなければ、欠品などを起こすことにつながるため注意が必要です。どのようなシステムがあるのかは、本記事の後半で紹介しています。
ポイント⑤：返品商品の管理
返品された商品の管理も重要です。商品の状態を確認し、再度販売に回せるのか、廃棄しなければならないのかをチェックしてください。
また、外装などに多少の汚損・破損などがある場合はアウトレット品として少し安く販売することで廃棄を減らすことが可能です。どのように販売するかは各ショップの方針にもよるので、検討しましょう。
FBAを利用している場合はAmazon側が返品を受け付け、FBA倉庫に商品が戻されます。状態がよければ再販売に自動的に回りますが、そうでない場合は返送か廃棄かを指示する必要があるため、定期的に管理画面を確認してください。
マルチチャネルの在庫管理にはシステム導入も検討
Amazonだけでなく楽天市場やYahoo!ショッピングモールなど、複数のショップを運営している事業者の方も多いでしょう。こうしたマルチチャネルでの在庫管理は、各モールの管理画面ではなく在庫管理用のシステム導入も検討してみてください。
各モールごとに処理をするのは効率が悪いので、在庫管理システムを活用して一括で管理するのがおすすめです。在庫管理だけでなく受注管理も連動していることが多く、注文から発送まで一気通貫で処理できる利点があります。
注意点は、それなりの費用がかかる点です。多くの場合は処理件数などで料金が加算され、件数が多いほど割安になる傾向です。在庫管理システムで一元管理できれば、人件費の削減にもつながります。
Amazonを含む在庫一元管理におすすめのシステム3選
Amazonを含む在庫一元管理におすすめのシステムを3つ紹介します。
◆在庫一元管理におすすめのシステム3選
Amazonと連携して在庫管理ができるだけでなく、他のモールも合わせて受発注管理まで可能なのが特徴です。
いずれも業界では有名なシステムばかりですが、どのシステムが良いかは各ショップの販売手法によって異なります。料金も開発の有無などによって細かく変わってくるため、気になるシステムがあればまずは問い合わせて見積もりを取ってみてください。
おすすめ①：ネクストエンジン
ネクストエンジンは、導入実績業界No.1の受注管理システムで、在庫管理の機能も搭載されています。各モールの管理画面だけでなくWMS、送り状発行システムなどとの連携も可能で、商品登録も他モールと一括して連携できます。
セラーセントラル上とAPI連携できるため、出荷処理完了後は自動で処理済にできるなど業務効率の向上にも貢献できるでしょう。カスタマイズ性も高く、初期費用が無料というのも大きな利点です。
多くの大手企業で使用されているシステムなので、まずはネクストエンジンから検討してみてはいかがでしょうか。
おすすめ②：TEMPOSTAR
TEMPOSTARも、ECサイトを一元管理できるシステムです。柔軟なカスタマイズ性と安定したサポートが特徴で、Amazonも受注から在庫管理まで一気通貫で行えます。
ECカートやモールの頻繁な仕様変更への対応も速く、常に最新の状態で利用しやすいのがメリットです。Amazon以外にも独自サイトなどで他のモールでは無い売り方をしているような場合でも、カスタマイズで対応できる可能性があります。
そのため、他の受注管理システムでは対応できない部分があったときに検討してみてください。こちらも初期費用は0円です。
おすすめ③：ロジレス
ロジレスは、受注管理システムと在庫管理システムが一体となったEC一元管理システムです。最大の特徴はユーザー側でもカスタマイズを行えるという点で、たとえばある注文にだけおまけをつけたり、一定金額以上の購入者に特典をつけたりといった細かな変更が可能です。
初期費用0円で、開発費用も抑えられるため、費用を抑えつつ特殊な販売手法に対応したい事業者の方におすすめです。Amazonだけでなく他モールや決済システムなどとの連携も行えます。
他のシステムだと膨大なカスタマイズ費用がかかって困っているという方は、ロジレスを検討してみましょう。
Amazonでの在庫管理は自社に合った方法を選択しましょう
Amazonでの在庫管理は、セラーセントラルを活用した自社管理か、FBA入庫によるAmazon側での管理の2種類があります。
FBAでの在庫管理はプライムマークが付けられるので売上拡大の観点でメリットが大きい一方で、手数料がかかる難点もあります。どちらの方法が優れているかは一概には言えないため、自社にあった管理手法を選択しましょう。
また、マルチチャネルへの対応には在庫管理システムの利用がおすすめです。複数モールでの在庫を一括管理したり、受注処理などもまとめて行えるため、Amazon以外のショップにも出店している事業者の方は利用を検討してください。
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