EC業界を新卒で目指す方に!現役ECコンサルが業界を解説

新卒の方が、EC業界を就職先考える時、

「そもそもEC業界ってどんな業界だろう?」
「EC業界ってどんな仕事があるのだろうか?」

と疑問に思うこともあると思います。筆者も2014年に、初めてEC業界から声がかかった時に「ECって、、何をするのだろう?」と考えたものです。それから8年、EC業界に身を置いた立場から言わせてもらえば、

「EC業界は面白い!」
「EC業界は新しい!」
「EC業界は右肩上がりの業界!」

といったことを身をもって体験しました。しかも、コロナ禍を経て、オンラインビジネスの重要性は非常に高まっており、これからEC業界を目指す人がいれば、自信を持って進むべき業界だと言い切れます。

しかし、一方で「ITに苦手意識がある」人には向いていない業界です。なぜならECサイト運営担当者ともなると、あらゆるツールを使い、それを直観的に操作したり、仕事の中でIT用語が飛び交う業界でもあるからです。

本日は、新卒の方のためにEC業界がどんな業界なのかを、EC業界に8年在籍し、ECの書籍も出版しているforUSERS株式会社でコンサルティングをしている筆者が、EC業界のことについて詳しく解説いたします。

EC業界は右肩上がりの市場

まず、EC業界ですが「右肩上がり」の業界です。下記は経済産業省が毎年更新しているレポートですが、ECの市場が常に伸び続けていることがわかります。さらに2020年以降は、コロナ禍の影響で実店舗よりも、ネットでモノを買う人が増えた影響もあり、ECの市場はさらに伸び続けていることがわかります。

◆2022年の物販系分野のEC化率とEC市場規模

2022年の物販系分野のEC化率とEC市場規模

データ引用先:令和4年度電子商取引に関する市場調査報告書(経済産業省)

もし、EC業界の面接を受けるのなら、グラフにもある下記の言葉と最新の数字を覚えておきましょう。過去にEC業界の将来性についても記事にしたので、過去記事をあわせてご覧ください。

過去記事:14兆円市場の「EC業界の将来性」をコンサルタントが解説

EC化率

EC化率とは、その産業でEC(ネット)で購入される割合のことです。日本国内のBtoCの物販のEC化率は9.13%です。この数字が高いのかと言えば、そうでもありません。なぜなら経済産業省のレポートによると世界のEC化率は19.3%とされており、日本はまだまだECサイトの利用が遅れているのが現状だからです。

覚えておくべき数字==>日本のEC化率は9.13%、世界は19.3%(いずれも2022年の数値)

EC市場規模

ECの市場規模は2022年実績で約14兆円です。14兆円という数字だけでは、市場規模が大きいのか小さいのかわからない方も多いと思いますが、例えば国内の代表的な業界や産業の、近年の市場規模は以下のとおりです。

◆国内の代表的業界の市場規模感

・自動車業界の市場規模は約60兆円(2019年)※1
・食品産業の市場規模は約109兆円(2020年)※2
・アパレル業界の市場規模は約7.5兆円(2021年)※3

※1参考資料 – 経済産業省
※2令和2年農業・食料関連産業の経済計算(概算) – 農林水産省
※3国内アパレル市場に関する調査を実施(2021年) – 矢野経済研究所

つまりEC業界はアパレル業界の市場規模より大きいのですが、自動車業界や食品産業よりは、まだまだ小さいことになります。ただし、アパレル業界や食品業界などの市場規模の中にはECで販売されているもの含んでいるので、純粋な比較は難しいのですが、ここでは市場規模感をつかむ程度で良いでしょう。

覚えておくべき数字==>日本の市場規模は約14兆円

EC業界に存在する5つの業態

EC業界といっても、事業者の業態は様々あります。ここでは代表的な5つの業態を紹介するので、EC事業者を把握してみましょう。

業態① EC専門事業者

EC専門事業者とは、その名の通りECサイト(ネットショップとも言います)で商品やサービスを販売している会社のことです。例としては、LOWYA、オイシックス・ラ・大地などのEC専門業者があります。このような専門事業者には店舗は存在せず、ネット販売でのみ提供しております。ネット販売専業する最大のメリットは

◆EC事業者のメリット

・店舗家賃
・人件費

これらを最低限に抑えることができるため、利益を上げやすい傾向があります。しかし、デメリットとしては、

◆EC事業者のデメリット

・ユーザーがすぐ商品を手に入れられない
・配送費用がかかる
・返品リスクがある
・キャッシュが入ってくるのに時間がかかる

という点があります。「ECサイトだから全てが良い!」というわけではなく、強みと弱みがあります。

例えば、ECの利用率が低い食品業界は、実店舗が全国各地にスーパー、コンビニがあり新鮮なまますぐに入手できて、実店舗の利便性が非常に高いのです。それに対して、ECサイトは手で食品の鮮度を直接確かめられなかったり、ECで注文してから手に入るまで時間がかかったりと、食品との相性はよくありません。

このような強みと弱みを抑えて、EC専門事業者はECの強みを最大限に活かせたり、あるいはECの弱みを工夫をこらして補完してビジネスを展開しているのです。大手のEC専門事業者は分業が進んでいますが、中小規模のEC専門事業者は、ECサイトの運営は少人数、もしくは一人で担当しなくてはいけないので、仕事は大変ですが短期間でスキルを身につけることができます。

キャリアや経験を積み上げたい新卒の方には、中小のEC事業者が向いているでしょう。

業態② ECプラットフォーム事業者

ECプラットフォーム事業者とは、ECのシステムを開発・販売している会社のことです。もっと平たく言えば「ECのシステム屋」のことです。多くの会社がECサイトを運営していますが、その多くがECプラットフォーム事業者からシステムを提供されているものを使っています。

ECプラットフォームでECサイトを作ることを、Amazonや楽天市場のショッピングモールに出店することと比較して自社ECサイトと言います。

昨今は、ECプラットフォーム事業者が増え、下記のような会社があります。

◆ECプラットフォーム事業者

・STORES
・BASE
・カラーミーショップ
・Makeshop
・フューチャーショップ
・ショップサーブ
・ecbeing
・ebisumart

また、ナイキなどの大規模事業者となると、これらのプラットフォームではカスタマイズ領域が大きすぎて既存のプラットフォームでは手に余るので、スクラッチ(ゼロから)によるECサイトの独自開発を行うことになります。ただ、昨今ECのプラットフォームの機能性、拡張性など機能拡大しており、スクラッチのメリットが少なくなりつつあります。

もし、ECのプラットフォーム事業者に入社を考えているエンジニアの方がいれば、少し注意したい点があります、それがプログラム言語です。

例えば、ECプラットフォームのサービスが10年以上経過しているのであれば、最新のプログラム言語のPythonを使っていません。Javaや.netという少し前のプログラム言語で開発しているので、最新のプログラム言語にこだわるエンジニアは事前にこの点を入社前に確かめておきましょう。

業態③ ショッピングモール

ショッピングモール(モールとも呼ばれます)とは、Amazon、楽天市場、Yahoo!ショッピング、ZOZOTOWNなどのことを指します。

新卒の皆様にとって、もっとも馴染みのあるECの会社ということになります。これらの会社は自社では商品を販売せず(Amazonが自主販売するケースはありますが、ここでは無視します)モール内で商品を販売する事業者を募集して、場所を事業者に提供するイメージです。

モールには強力な集客力があるので、事業者はその集客力を利用して商品を販売して利益を得るのです。その代わりモールは自社ECサイトに比べて、手数料※が高いのが特徴となります。ただし、自社ECサイトであっても、ECプラットフォーム事業者にシステム利用料を支払うので、どちらもコストは発生します。

※Yahoo!ショッピングは手数料が発生しません。

Amazon、楽天、Yahoo!は、いずれも大企業です。これらの会社に就職を狙っている新卒の方は、大企業であるため多くの領域に仕事があるため、ECの仕事に配属されるとは限りません。

例えば、楽天は楽天市場以外にも楽天トラベル、楽天銀行など多くのEC以外の事業がありますし、Amazonにおいても広告販売している部署など様々です。そのため新卒の場合は、ECがやりたいという理由ではなく、会社のビジョンや社風にあこがれて目指す方がほとんどでしょう。

業態④ ECツール事業者

ECサイトでは、売上を高めるため、あるいは業務効率化を行うために様々なECツール事業者が存在します。

◆ECツール事業者の例

・KARTE
・CROSS MALL
・転送コム
・Sprocket
・Flipdesk

ECサイトの弱点と言われれば、実店舗のようにスタッフが接客できないことですが、WEB接客ツールと呼ばれるツールを使うことで、チャットで対応したり、あるいはユーザー行動を分析し、ユーザー一人ひとりに興味ありそうな商品写真を表示するなど接客できるツールが存在します。

また、複数のECサイトを運営している場合、在庫の連携を行ったり、外国人ユーザーが来た時に、外国語のポップアップを表示して、越境EC(例えば、中国人が日本のサイトで買い物すること)機能を提供するなど、様々なECツールがサービス提供しております。

これらの業界の特徴は比較的ベンチャー気質のある企業が多いことと、また企業買収による統廃合が良くありますので、安定志向が強い新卒の方にはあまり向いていない業界かもしれません。

業態⑤ 卸売業者

卸売業者とは、販売業者が商品を仕入れる際に利用する業者のことです。最近では個人事業主もECサイトを持つようになったことから、ECサイト向けに力をいれている卸売業者も存在します。

卸売業者を利用する場合は、仕入れ値と販売額の差額が純利益となります。そのためEC事業者はまとめて仕入れて、仕入れ値を下げたり、より安い卸売り業者を探して利益を出そうとします。卸売業者は、実店舗にも商品卸がメインではありますが、EC事業を語る上では欠かせない業界ですので、覚えておきましょう。

新卒が卸売業者を目指す場合は、将来独立を考えている場合、商品の仕入れの流れや相場、業界感などを覚えておけば非常に役に立ちます。

また多数の取引先と付き合うので人脈を作りやすい業界とも言えます。デメリットは卸売業者には全体的にITの導入が遅れている会社が多く、いまだに紙やFAXがメインの情報伝達方法として使われている企業があります。新卒でそのような業界に入ってしまうと、古い慣習が身についてしまい転職する時に非常に苦労するので気を付けましょう。

EC業界に向いていない方!それはITそのものが苦手な人

EC業界の良いところだけを解説しましたが、冒頭でも述べた通り「ITが苦手だ!」と苦手意識を強く持っている方は向いておりません。例えば、EC業界に限らず、IT業界では下記のようなツールを使います。

◆EC業界で使うツールの例

・エクセル、ワード、パワポ
・Googleドライブ
・Slack、チャットワーク
・Zoom、GoogleMeet
・ECシステム、配送システム
・顧客管理システム
・各WEBマーケティングツール

また、EC業界では特に横文字が、上司との会話やミーティングの中で頻出します。

◆EC業界で頻出の横文字の一例

・ASP
・API
・CVR
・CTR
・EFO
・MA
・SKU
・UI
・UX
・WMS

どの業界でも、横文字や新しいツールを使うことになりますが、EC業界ではこのあたりのリテラシーが高かったり、新しい知識やツールに足してい貪欲でないければ難しい面があります。

新卒で、Amazonや楽天は競争率が高い!しかし、EC事業者やECプラットフォーム事業者は入社しやすい!

新卒で、EC業界を目指すと考える方の多くは、Amazonや楽天を考えていると思いますが、一流企業でもありますので、誰もが入社したいと考える会社です。そのため倍率は非常に高くなり、よほどの高学歴であったり、自己アピールが得意でなければ入社は困難です。

しかし、あきらめる必要はありません。EC事業者やECプラットフォーム事業者であれば、Amazonや楽天に比べて知名度が高くないたまそこまで倍率は高くありません。

また、EC業界は常に人手不足です。これらの会社に入社し3~5年程度で実力をつければ、Amazonや楽天に転職することも難しくはありません。ただし、Amazonも楽天も英語を日常的に使う会社でもあり、特に楽天はTOEICの点数が求められるので、英語は仕事とは別で学んでおく必要があります。

EC業界は新卒が目指すには非常に良い業界

EC業界は、他の産業と比べても非常に有望です。なぜなら、コロナ禍を経て、あらゆる産業がオンラインでの販売を視野に入れており、その中でECというのは、国内のほとんどの産業に関わってきます。また、ECのノウハウや知識はあらゆる業界で必要とされるので、EC業界を目指すのは、非常に良い選択です。

是非、EC業界にチャレンジしてみてください。また、これからEC業界を受けるという方は、筆者の書いた下記の記事もあわせてみると、エントリーシートや面接での志望動機や考え方がわかるのであわせてご覧ください。

参考記事:ECサイトの経験がない方向けの志望動機テンプレート7選