ECプラットフォームの選択肢は無数にあります。固定費が無料のBASEやSTORES、あるいは話題のShopifyやECフォースもありますし、サポート体制が万全なEストアーという選択肢もあります。国内約40社もあるECプラットフォームの中から何を選ぶべきか悩んでおりませんか?
ECプラットフォームの選び方は、以下のたった7社から検討すべきと考えております。
・ECに力を入れる中小事業者は「Shopify」
・サポートが欲しいITが苦手な会社は「Eストアー」
・独自のカスタマイズECサイトを作る場合は「ebisumart」か「ecbeing」
・単品ECサイトを作る場合は「ECフォース」
・BtoBサイトを作る場合はまずは「Bカート」
これらのプラットフォームをおすすめするのには、実際にEC業界にいるプロにしかわからない理由や根拠があります。
例えば、個人のECプラットフォームとしては「BASE」と「STORES」が有力ですが、ここでBASEを挙げなかった理由は決済手数料が高いことです。個人のネットショップは最初はほとんど稼げません。そのため、少しでも長く続けるために運営費用を抑えられるプラットフォームを選ぶべきだからです。
このように、目的や状況によって選ぶべきプラットフォームが変わってくるのです。
本日は、forUSERS株式会社でECのコンサルをしている筆者が、ECプラットフォームの選び方を解説するので、ECプラットフォームを探しているという方は、この長い記事を最後まで読んでいただければ、必ずあなたに合うECプラットフォームを見つけることができるでしょう。
目次(ご自身の状況にあわせて記事をご覧ください。)
・ネットショップを作りたい個人は「STORES」
・ECに力を入れる中小事業者は「Shopify」
・サポートが欲しいITが苦手な企業は「Eストアー」
・独自のカスタマイズECサイトを作る場合は「ecbeingかebisumart」
・単品ECサイトを作る場合は「ecforce」
・BtoBサイトを作る場合はまずは「Bカート」
ネットショップを作りたい個人は「STORES」
まず、例えば「韓国から仕入れた服を販売したい!」「自分で作っている革製品を販売したい」という個人の方が、なるべく費用も労力をかけないで作ることができるのが、BASEとSTORESとなります。どちらも機能の大きな差はなく、個人の集客で最も大切な、Instagram連携などはBASEとSTORESのどちらも対応しています。
筆者は、以下の2つの点が最大の差と考えます。
◆BASEの最大の特徴
PAY IDショッピングとの連携による集客
◆STORESの最大の特徴
無料プランではBASEよりも決済手数料が安い
ネットショップを始めた個人が最も困難なことは集客です。BASEやSTORESでネットショップを作っただけではサイトには誰も訪れません。そのため、個人が手軽にできる集客方法はInstagramを使った集客です。
しかし、BASEにはそれ以外に「PAY IDショッピング」との連携があります。これは以下のような、BASE独自のショッピングモールのことで、連携することでPAY IDショッピングに自動出店することができるのです。
◆PAYIDショッピングの画面
私の知り合いが、BASEで女性向けアパレルのショッピングモールを立ち上げて5年が経過しましたが、ここからの流入により月間7万円の売上を得られたと言っておりました。しかし、それは毎日しっかりPAY IDショッピングに新製品や季節の商品を出品して、顧客からの問い合わせやフォロワーのコメント返しなどをやった結果です。
今はInstagramがあるので、そこで世界観に共鳴するフォロワーを見つけてファンになってもらう方が、同じ労力をかけるならInstagramの集客(フォロワーを増やす)だけ集中した方が良いでしょう。PAY IDショッピングモールによる集客は微々たるものです。
それよりも、ネットショップを個人が開設するなら、無料プランで長く運営できるように運営費を抑える体制が大切です。なぜなら、ノウハウのない個人がネットショップで月間数万円の売上を得られるようになるのは、早くても1年はかかるからです。下記は決済手数料を比較したものです。
◆フリープランの手数料を比較
BASE(スタンダードプラン) | STORES(フリープラン) | |
月額費用 | 0円 | 0円 |
サービス利用料 | 3% | 0% |
決済手数料 | 3.6%+40円~4.6%+40円 | 5% |
振込手数料 | 250円 | 275円 |
事務手数料 | 振込申請額2万円未満:500円 振込申請額2万円以上:0円 |
入金金額1万円未満:275円 入金金額1万円以上:0円 |
この表を見ると、一目してSTORESの方が安いことがわかります。つまり、個人がネットショップを作る場合は、まずは運営費用を抑えることが長くネットショップを行うために重要であり、その結果STORESを選ぶべきなのです。
もちろん、個別の機能でBASEとSTORESは異なりますが、特に特別な機能が必要ない個人の場合は、STORESとInstagramを連携してネットショップを運営すべきだと筆者は考えます。
ECに力を入れる中小事業者は「Shopify」
ASP(アプリケーションサービスプロバイダー)と呼ばれるSaaSのECシステムは、多くの会社から提供されております。大手だけでも以下のようなSaaSが存在します。
◆ASPの大手
・MakeShop
・フューチャーショップ
・Eストアー
・カラーミーショップ
しかし、中小企業で「ECサイトで絶対に成功したい!」とECサイトに力を入れる企業であれば、Shopifyにすべきです。なぜなら、Shopifyは「欲しい機能」「トレンドの機能」「法規制への対応」などを実現するための機能追加やカスタマイズが可能であり、IT技術者の力を借りなくてもEC担当者が独自にカンタンに、すぐに機能を実装できるからです。
Shopifyの最大の魅力は無数にあるアプリです。必要な機能をアプリ導入によってすぐに実装することができます。
◆Shopifyのアプリ導入画面(筆者のShopify管理画面より)
このように、目的に応じた様々なアプリが展開されており、欲しい機能がカンタンにすぐ実装できるため、ECサイトの運用負荷を下げるだけでなく、ECの集客や接客にも役に立ちます。例えば、ECの集客アプリとしても以下のようなものがあげられます。
アプリ① Google & YouTube
このアプリはGoogleショッピング及びYouTubeに自社商品を露出できるアプリです。Google Merchant Centerと商品をカンタンに同期ができます。
アプリ② Facebook & Instagram
FacebookとInstagramからの流入を増やすことができるアプリです。商品にタグを付けることができるので、FacebookやInstagramを見て購入したいと思ったユーザーがすぐに商品を購入できるようになります。
アプリ③ Buy Button channel
ECサイト以外の自社サイトやブログから流入を増やすことができるアプリです。Shopifyの購入ボタン(カート機能)を追加できるようになります。既存のサイトのデザインを変えることなくカート機能やボタンを実装できるので、新たにECサイトを構築することなく販路を増やすことが可能になります。
このように、ECサイト運営に必要なアプリがすぐに手に入るのです。また、API連携もできるため、外部の在庫連携ツールやCRMツールともシステム連携が可能であり、拡張性や機能性に優れているプラットフォームなのです。
Shopifyの3つの注意点
ただし、Shopifyを導入する際は、以下の3つの注意点があります。
・情報源の多くが英語表記
・アプリは無料と有料がある
・人によるサポートが欲しい人には向いていない
月間33ドルであり、低コストであるため個人の方でも利用できますが、筆者もShopifyを利用してますが、最初の設定はBASEやSTORESほどカンタンではなく、最初に設定すべき項目も多く、管理画面のUIもよくありません。また、何かを調べるときも情報源が英語であることもあります。
この点が問題ないという方であれば、Shopifyを使うべきでしょう。英語といってもそれを解説する日本語のブログ記事は無数にありますし、Google翻訳を使えば全く苦にはならないはずです。ECサイト運営に予算もリソースも使う覚悟がある企業はShopifyを使いましょう。
サポートが欲しいITが苦手な企業は「Eストアー」
ITが苦手という企業であれば「Eストアー」が良いでしょう。私の知る限りECプラットフォームのASPにおいては最もサポートが厚い企業だからです。
ECプラットフォームとしての機能は、ライバルのMakeShopやフューチャーショップと大きく変わるようなものはありません。しかし、Eストアーは「サポート」をECプラットフォームの一つの特徴しており、ITが苦手であったり、ECプラットフォームの利用方法がわからないという場合は、頼りにすべきECプラットフォームです。
独自のカスタマイズECサイトを作る場合は「ebisumart」か「ecbeing」
中・大規模のECサイトを作る場合は、以下のような独自のカスタマイズが必要になるケースが多いです。
・顧客管理システムと連携する
・商品ページに独自の機能を実装させたい
このような独自カスタマイズやシステム連携を実現できるのが、ECパッケージと呼ばれる以下のようなシステムです。
◆ECパッケージ
ecbeing(イーシービーング)
ebisumart(エビスマート)
両社には大きな違いがあります。それはebisumartはSaaSベースのECプラットフォームであるということです。そのため、個別のカスタマイズにプラスして、SaaSであるためシステムが自動的にアップデートされるため、システムが陳腐化することがないのです。
一方でecbeingは、このパッケージ分野でもっとも実績のあるECプラットフォームであり、業界ではバグや障害が少ないと定評があります。クライアントもBEAMSやコーセー、JR東日本など、名だたる企業が導入していることからも、実績が圧倒的です。
そのため中・大規模のECプラットフォームを選ぶ際は、両社に声をかけてコンペをする形にすると良いでしょう。
単品ECサイトを作る場合は「ecforce」
D2C事業において、単品ECサイトを展開する企業が増えてきました。その理由はInstagramなどのSNSで世界観を演出することで、集客がしやすくなった面があるからです。単品ECサイト構築向けのECプラットフォームとして有名なものには、以下のようなプラットフォームがあります。
◆単品ECプラットフォーム
・たまごリピート
・侍カート
・ecforce
中でも、最も有名なECプラットフォームは「たまごリピート」です。ただ、筆者もかつて「たまごリピート」を使った経験がありますが、機能が限定されていたり、本格的なSEO対策ができないというデメリットがあります。例えば、ブログ機能がないので、オウンドメディアを作るには、手打ちのHTMLでページを増やさなくてはいけません。
しかし、後発のecforceはシステムが新しく様々な機能も実装されているため、売上を高めるための機能が豊富です。またAPI連携により外部ツールとの連携もしやすいというのもメリットです。
BtoBサイトを作る場合はまずは「Bカート」
BtoBサイトを作る場合は、BtoBに特化した以下のようなECプラットフォームを検討すべきでしょう。
◆BtoB専用のECプラットフォーム
・Bカート
・インフォマート
・楽楽BtoB
その中でもおススメするのがBカートです。業界的にはインフォマートが古くからあるのですが、Bカートは後発な分、管理画面も今風であり、多数のEC外部ツールや広告とも連動しやすいのが利点です。また月額9,800円~というのも導入しやすいメリットがあります。
筆者が聞いたところによると、実際に誰もが知る自動車会社にもBカートが採用されています。実は、この自動車会社のECプラットフォームのゴールは、数年後の社内システムのDX化です。まずは導入しやすいBカートを導入しして、課題を洗い出すのが目的です。つまり数年後に、専用のBtoB向けECサイトを数億円でパッケージ会社に発注する前段階として、Bカートを導入しているのです。
とはいえ、BカートもASPで外部連携が可能であり、また連携先もEC関連のツールが多く、BtoB向けでプラットフォームを探している場合は、筆者は最もおススメするプラットフォームなのです。
まとめ
ECプラットフォームはカンタンに選べて、ECサイトをオープンできる時代となりました。しかし、そのデメリットとして、ECプラットフォームは有名な会社だけでも40以上のプラットフォームがあり、選ぶのが難しい時代となりました。
本日紹介した7つのプラットフォームは自信を持って紹介できるものだけなので、是非、貴社のECプラットフォーム選びの参考にしてみてください。
◆筆者おススメのECプラットフォームの公式サイトはこちら