食品EC業界で圧倒的な存在感を誇るオイシックスは、2025年6月には創業25周年を迎え、累計2億食を突破したKit Oisixを武器に、会員数35万人超、売上高2,500億円超(グループ全体)を達成しています。
2025年10月には「超ラクKit」を大幅リニューアルし、同プロダクトの売上が最大3倍となる好調ぶりを見せているオイシックス。さらに同年7月には満を持してリテールメディア事業「Oisix ra daichi ADs」を正式ローンチするなど、さらなる進化から目を離せません。
本記事では、オイシックスが実践する7つのマーケティング戦略について、最新データとともに徹底解説します。
今、オイシックスのマーケティングを学ぶべき理由
2025年現在、食品ECは「利便性」から「信頼性」への転換期を迎えています。サブスク疲れ・広告依存から脱却し、顧客との継続的な関係設計が競争優位の鍵となる中、オイシックスの戦略はその理想形とも言われているのです。
創業から25年、オイシックスが築き上げてきたのは単なる「便利な食材宅配サービス」ではありません。週次での商品改善サイクル、AIを活用したパーソナライズ提案、自社メディア化による新たな収益源の創出など、さまざまな工夫により、現在の地位を築いてきました。いずれもLTVを最大化するデジタル顧客戦略として、あらゆる業界に通じる普遍性を持つ施策だといえるでしょう。
本記事では、IR資料・決算説明会資料・プレスリリースなどの一次情報をもとに、オイシックスの最新マーケティング戦略を徹底分析します。
オイシックスとは?25周年を迎えた食品ECのパイオニア
オイシックス・ラ・大地株式会社は、2000年に創業された「オイシックス株式会社」が母体となる企業であり、同社の核となるサービス「オイシックス」は、有機・特別栽培食材を中心とした食品宅配サービスです。
創業者の高島宏平氏が「これからの食卓、これからの畑」をミッションに掲げ、食の安全と利便性を両立させたビジネスモデルを確立しました。2025年6月22日には創業25周年を迎え、四半世紀にわたり食品ECの最前線を走り続けています。
2025年における主要指標は以下のとおりです。
◆オイシックス・ラ・大地株式会社主要指標(2025年)
| 指標 | 数値 |
| 会員数 | 約35.4万人(2025年3月末) |
| Kit Oisix累計販売数 | 2億食突破(2024年8月時点) |
| グループ売上高 | 約2,560億円(2025年3月期) |
| アプリダウンロード数 | 100万突破 |
| アプリ経由売上比率 | 約60% |
同領域の競合として挙げられるのは、ミールキット最大手のヨシケイ(グループ年商約870億円)、冷凍宅配食のnosh(累計1.4億食突破)、高齢者向けのワタミの宅食(累計8億食)などです。
その中でオイシックスは、「有機食材×定期宅配×デジタル化」という三軸を掛け合わせた独自モデルにより、グループ売上2,500億円規模・累計2億食という圧倒的な規模に成長。単なる宅配事業ではなく、「食品ECのプラットフォーム企業」として業界内でも突出した存在となっています。
3つのブランド展開で異なる顧客層をカバー
オイシックス・ラ・大地は、M&Aによる戦略的なブランドポートフォリオ構築を進めてきました。現在は3つの主要ブランドを展開し、それぞれ異なる顧客層のニーズに応えています。
◆オイシックス・ラ・大地が提供する3つのブランド展開
| ブランド | ターゲット | 会員数(2025年3月末) | 特徴 |
| Oisix | 30~40代共働き世帯 | 約35.4万人 | 時短・利便性重視、Kit Oisixが主力 |
| らでぃっしゅぼーや | 40~50代・料理好き層 | 約7.5万人 | 有機野菜セット、料理を楽しむ層向け |
| 大地を守る会 | シニア世帯 | 約3.6万人 | 健康志向、老舗の信頼性 |
グループの中核を担うOisixは、30~40代の共働き世帯を主要顧客としています。「忙しいけれど、家族には安全でおいしい食事を提供したい」というニーズに応え、時短と品質を両立させた商品設計が支持を集めているのです。
一方、らでぃっしゅぼーやは料理そのものを楽しむ層に向けて有機野菜セットを中心に展開し、大地を守る会はシニア世帯の健康志向に応える老舗ブランドとして機能しています。
本記事では、グループの中核である「Oisix」を中心に解説します。
オイシックスが実践する7つのデジタル×CRM戦略
2025年現在も成長を続けるオイシックスのマーケティングは、相互に連関する7つの戦略で構成されています。
◆オイシックスが実践する7つのデジタル×CRM戦略
- 戦略① 週次改善サイクルによる顧客体験の徹底最適化
- 戦略② トライアル商品による新規獲得戦略の最適化
- 戦略③ アプリとCRMの融合によるデジタルマーケティング高度化
- 戦略④ 52週連続特集によるコンテンツマーケティング戦略
- 戦略⑤ インフルエンサーとUGCを活用したSNSマーケティング
- 戦略⑥ キャラクターIPを活用したコラボレーション戦略
- 戦略⑦ 自社メディア化によるリテールメディア事業展開
いずれも単独でも強力な施策ばかりですが、オイシックスではこれらを統合的に機能することで、LTVの最大化に成功してきました。
ここからは、それぞれの戦略について、最新データと具体的な成果を交えながら詳しく解説します。
戦略① 週次改善サイクルによる顧客体験の徹底最適化
オイシックスの最大の強みは、顧客の声を徹底的に商品開発に反映する仕組みです。2025年10月にリニューアルした「超ラクKit」は、その象徴的な事例といえます。
◆リニューアルで大幅に利便性を高めたオイシックス「超ラクKit」

参照:オイシックスオンラインストア内「超ラクプラン新登場」より
オイシックスが2025年10月に実施した自社会員アンケート(2,067名回答)では、平日の晩ごはん準備に対する時短ニーズがさらに強まっていることが判明しました。
リモートワークから出社への回帰現象が進む中、データにも「調理時間を減らしたい」「疲労により調理や片付けの労力を減らしたい」というニーズが表れていたのです。この定量データに基づき、同社は超ラクKitの大幅リニューアルを決断しました。
◆超ラクKitリニューアルにおける変更内容
| 項目 | 従来 | リニューアル後 |
| 調理時間 | 20分 | 10分 |
| 包丁・まな板 | 一部必要 | 不要メニューを大幅拡充 |
| 価格 | 比較的高め | 4人前で1人あたり594円のメニューも登場(11月~) |
| 売上 | – | リニューアル後1週間で最大約3倍に※ |
このリニューアルを支えたのは、顧客の声を「週次」で収集し、レシピ改善チームが迅速に商品に反映するという運営体制です。
実際の購入者からも「疲れて帰った日でも5分で完成する上に美味しいから助かる」「仕事から帰ってクタクタなときは、超ラクメニューがあると助かる」という声が寄せられており、リニューアルの方向性が顧客ニーズを的確に捉えていたことがわかります。
この事例から読み取れる成功要因は複数あります。まず、顧客アンケートを週次で実施し商品改善サイクルを高速化していること。次に、専任の改善チームを設置することで組織的に継続できる体制を構築していること。そして、調理時間10分といった明確な数値目標が顧客への訴求力を高めていることです。
顧客の声を商品に反映させるという理念を、週次という高頻度で実践し続ける体制。これこそが、オイシックスの持続的な競争優位性の源泉となっているのです。
戦略② トライアル商品による新規獲得戦略の最適化
オイシックスの新規会員獲得の要となっているのが、「おためしセット」です。通常8,000円相当の商品を約1,980円(70~76%OFF)で提供し、初回購入のハードルを大きく下げる戦略を展開しています。
◆オイシックスの「おためしセット」

参照:オイシックス「おためしセット」紹介ページより
たとえば2025年11月時点のおためしセットは、1,980円(税込・送料無料)という価格設定で、ミールキット、旬のフルーツ、加工品など全15品前後が含まれています。
割引率は時期により変動しますが70~76%OFFで、全額返金保証付き(未開封品が半数以上残っていれば1週間以内に対応)という手厚い保証が用意されている点も大きな特徴です。
2025年4月以降、オイシックスは新規会員獲得施策を強化し、転換率最適化に向けた取り組みを実施しています。注目すべきは、大幅割引のトライアル商品で初回購入のハードルを下げつつ、購入後のレシピカードなどフォローアップ施策により定期転換率を高めている点でしょう。
また、運用型広告への依存度を削減し、費用対効果の高い成果報酬型媒体へのシフトによって、顧客獲得コストの最適化も進めています。さらに、週替わりで内容を最適化し、季節限定フルーツやトレンド商品を組み込むことで、購買タイミングを逃さない設計になっている点も見逃せません。
トライアル商品を単なる集客施策として終わらせず、定期化までのプロセス全体を最適化することで、顧客獲得コストを抑えながらLTVを最大化する仕組みが構築されています。
戦略③ アプリとCRMの融合によるデジタルマーケティング高度化
オイシックスは2020年代に入ってから、デジタルシフトを本格化させています。2025年時点でアプリダウンロード数が100万を突破し、アプリ経由の売上比率は約60%に達しました。
◆オイシックスのアプリダウンロード数推移

その中核となるのが、AIを活用したパーソナライズ機能による「定期ボックス提案」です。毎週木曜10時、会員一人ひとりに最適化された商品セットが提案されます。提案内容は過去の購買履歴、世帯構成、アレルギー情報、季節トレンドといった多角的なデータに基づいており、会員は自由にカスタマイズできる仕組みです。不要な週はキャンセルも可能なこの「提案型サブスク」が、押し付けがましさを排除しながら顧客単価(ARPU)を向上させています。
サービスラインナップの拡充も進んでいます。2025年1月に開始した「デリOisix」は温めるだけの総菜コースで、3月末で1万人を突破する過去最速ペースを記録しました。また「Oisix CookBox」は料理教室サービスとして、今後5万人以上を目指す成長事業と位置付けられています。
プッシュ通知による直接接点の確保、AIによる提案品質の向上、そしてカスタマイズ自由度の担保。デジタル技術を「効率化」のためだけでなく、顧客一人ひとりとの関係性を深める手段として活用する姿勢こそが、同社のデジタルマーケティング成功の源となっているのです。
戦略④ 52週連続特集によるコンテンツマーケティング戦略
オイシックスは2024年度から、52週連続の週替わり特集を展開し、顧客単価の大幅向上に成功しています。この戦略の本質は、1年52週間、毎週異なる「購買理由」を提供し続けることです。
2025年に実施された特集企画は、大きく3つのカテゴリーに分けられます。
地域フェアでは、北海道フェア、イタリアフェア、ハワイフェアなど、各地域の食材や料理に焦点を当てた企画を展開しました。これにより、旅行気分を味わいながら食事を楽しめるという付加価値を提供しています。
人気キャラクターコラボでは、ポケモン、クレヨンしんちゃん、ディズニーといった幅広い年齢層に支持されるキャラクターとのコラボレーションを実施し、特にファミリー層の新規獲得に貢献しました。
◆ファンも新規顧客も喜ぶオイシックスの人気コラボ商品

参照:オイシックス公式Xより
そして第三のカテゴリーにあたる制覇シリーズでは、旬の果物や野菜をサブスクで食べ比べる企画を展開し、コレクション欲を刺激する設計が好評を博しています。
顧客エンゲージメント施策として特筆すべきは、2025年7月に実施した「Kit Oisix総選挙」です。会員アンケートで人気メニューをランキング化するこの企画では、以下のような多様なカテゴリーでのランキングを発表しました。
- コレ好きそう!お子さまが食べてくれそうなKitランキング
- 推したい!イチオシKitランキング
- 気になる!食べてみたい Plant Oisix
さらに、過去の人気メニューを会員の声に応じて復活させる「推しKit」復刻施策により、ロイヤルカスタマーのエンゲージメントを高めています。
会員参加型のランキング企画でエンゲージメントを向上させ、「制覇」「食べ比べ」といったコレクション欲を刺激することで、継続的な購買行動を促しているのです。
戦略⑤ インフルエンサーとUGCを活用したSNSマーケティング
オイシックスは2024~2025年にかけて、SNSマーケティングを大幅に強化しています。Instagram、X(旧Twitter)、YouTubeの3つの主要SNSを戦略的に活用し、それぞれのプラットフォームの特性に応じたコンテンツを展開中です。
Instagramでは料理写真・レシピ動画を中心に視覚的な訴求力を最大化し、X(旧Twitter)では新商品情報・キャンペーン告知など即時性を重視したコミュニケーションを図っています。YouTubeではKit Oisixの調理動画や会員インタビューを通じて、商品の魅力をより深く伝えています。
◆幅広い投稿が並ぶオイシックスのInstagramアカウント

参照:Instagram「Oisix(オイシックス)」公式アカウント より
オイシックスはインフルエンサー施策として、2024~2025年に著名人とのコラボレーションを積極的に展開してきました。女優・モデルの佐々木希さんが監修したミールキットや、グランメゾンなどの有名レストランとコラボした有名シェフ監修シリーズなど、ターゲット層に訴求力の高い起用が目立ちます。
一方、UGC(ユーザー生成コンテンツ)の活用にも力を入れています。会員が投稿するKit Oisixの完成写真をSNS上で積極的に拡散し、ハッシュタグ「#キットオイシックス」「#KitOisix」での投稿を促すことで、リアルな体験を可視化。完成写真を通して商品の魅力を訴求し、潜在顧客に対して「自分でも作れそう」という心理的ハードルを下げる効果を生んでいるのです。
これらの多層的なアプローチが、オイシックスのSNS戦略の特徴です。著名人による権威付けと一般ユーザーによる親近感の創出という、相反する要素を同時に実現する設計が、SNS時代の効果的なブランディング手法として機能しています。
戦略⑥ キャラクターIPを活用したコラボレーション戦略
オイシックスは、人気キャラクターやブランドとのコラボレーションを積極的に展開し、新規顧客層の開拓に成功しています。2024~2025年の主なコラボ事例を見ると、その戦略的な設計が浮かび上がります。
◆2024年~2025年の主なコラボ事例
| コラボ先 | 実施時期 | ターゲット | 内容 |
| クレヨンしんちゃん | 2024年 | 小さな子どもがいる家庭 | キャラクターパッケージのKit Oisix |
| ポケモン | 2025年 | 子育て世代 | ポケモンデザインのパッケージ・オリジナルグッズ |
| 地球の歩き方 | 2025年 | 旅行好き・グルメ好き層 | 各国の料理を再現したKit Oisix |
| ディズニー「リロ&スティッチ」 | 2025年 | ファミリー層 | キャラクターパッケージ |
これらのコラボレーション戦略は、3つの効果を生み出しています。
- 新規顧客層の開拓:キャラクター好きという従来と異なる顧客接点を創出
- SNSでの話題化:人気キャラクターとのコラボが自然な投稿を促し、UGCを増加
- 購買意欲の喚起:期間限定設計により「今買うべき理由」を明確化
特筆すべきは、パッケージデザインの変更という比較的低コストな施策で効果を上げている点です。商品の中身は従来のKit Oisixと変わらないものの、パッケージを変えるだけで新たな購買動機を創出しています。投資対効果の高さと再現性を両立させたこの手法は、マーケティング施策の理想形のひとつだといえるでしょう。
戦略⑦ 自社メディア化によるリテールメディア事業展開
2025年7月29日、オイシックス・ラ・大地はリテールメディア広告ソリューション「Oisix ra daichi ADs」を正式ローンチしました。
リテールメディアとは、小売企業が持つ顧客データを活用し、自社のECサイトや実店舗を広告媒体として提供するビジネスモデルです。日本国内市場は2028年に1兆円規模に達すると予測されています(CARTA HOLDINGS, 2025年1月発表)。
Oisix ra daichi ADsの特徴は、オンライン・オフライン両チャネルを活用できる点にあります。EC側ではOisix、らでぃっしゅぼーや、大地を守る会の3ブランド、実店舗側では旬八青果店、シダックスグループ(給食)、ノンピなどを展開しています。
◆各フェーズにおける広告ソリューションの内容
| フェーズ | 内容 |
| 企画 | コンセプト提案、商品コラボ(開発)、サンプリング |
| 流通 | ECサイトと実店舗での販売 |
| レポーティング | マーケティングデータの還元 |
約35万人の会員基盤と購買データを活用したファーストパーティデータの価値は、サードパーティクッキー規制強化の中で高まっています。導入企業からは「食べ方の提案を通じた商品価値の訴求」と「需要拡大」施策において、従来の広告手法では達成できなかった成果を実現しているとの評価を得ています。
オイシックスは2024年にシダックスグループ、ノンピ、アグリゲートを相次いで子会社化したことで、オフラインアセットが大幅に拡充されました。今後はBtoBの給食市場(約4.8兆円)も視野に入れた展開が期待されます。
顧客基盤を広告媒体として活用し、新たな収益源を創出するというこの戦略転換は、成熟した顧客基盤を持つ企業にとって、次の成長ステージを示す重要な事例となっています。
オイシックスの戦略分析から導く3つの成功法則
オイシックスの7つの戦略を横断的に分析すると、現代のサブスクリプションビジネスにおける3つの構造的成功要因が浮かび上がります。
◆オイシックスの3つの成功要因
それぞれの法則について、具体的な事例とともに解説します。
法則① 顧客の声を商品に反映する仕組みの高速化
オイシックスの週次改善サイクルは、商品開発における時間軸の競争で差別化要因となっています。多くの企業が商品のブラッシュアップに数ヶ月を費やす一方、オイシックスは週単位でこのサイクルを回しているのです。
具体的には、レシピ改善チームが週次で顧客の声を収集し、翌週には商品に反映します。2025年10月の超ラクKitリニューアルでは、会員アンケート(2,067名回答)を実施。そこで明らかになった時短ニーズに基づき、調理時間を20分から10分へ短縮した結果、リニューアル後1週間で売上が最大約3倍に達しました。
オイシックスは、この週単位での改善により、競合が真似しようとする頃には既に次の改善が施されている状態を作り出しています。この高速な改善サイクルこそが、他社が簡単に追いつけない強みであるといえるでしょう。
法則② 新規獲得から定期購入までの一貫した設計
新規顧客獲得において重要なのは、初回購入後にいかに定期購入へつなげるかです。オイシックスの事例は、トライアル施策を単独で考えるのではなく、定期購入までの流れ全体として設計することの重要性を示しています。
◆新規顧客獲得までの各段階における施策とその目的
| 段階 | 施策 | 目的 |
| 認知 | 週替わり内容変更 | 購買タイミングの最適化 |
| 初回購入 | 70~76%OFF(1,980円) | 購入ハードルの低減 |
| 体験後 | レシピカード配布 | 定期利用のイメージ喚起 |
| 定期化 | AIによる商品提案 | 継続的な価値提供 |
おためしセットの大幅割引は顧客獲得コストを上げるリスクがあります。しかし、購入後のフォローアップ施策による定期転換率向上、広告媒体の選定による獲得コスト管理とセットで設計することで、トータルでの収益性を確保しているのです。
各施策を個別に評価するのではなく、顧客生涯価値という長期的視点で全体を設計するという考え方が、持続的な成長を支えていると考えられます。
法則③ 顧客基盤を活用した新たな収益源の創出
2025年7月にローンチした「Oisix ra daichi ADs」は、既存の顧客基盤を新たな収益源に変える戦略です。オイシックスの約35万人の会員は、従来「商品を購入する顧客」でした。リテールメディア事業により、「食品メーカーが広告を届けたい対象」という新たな価値を持つようになったのです。
同じ顧客基盤から、商品販売と広告収入という2つの収益を生み出す仕組みとなっています。この戦略が機能する背景には、企業が直接収集した顧客データの価値が高まっているという環境変化があります。
EC側のOisix、らでぃっしゅぼーや、大地を守る会に加え、実店舗側の旬八青果店、給食事業などを活用することで、オンライン・オフライン両面での広告配信を実現しました。2024年の一連のM&Aにより実店舗網を拡充し、給食市場(約4.8兆円)も視野に入れた展開を進めています。
既にある資産を新たな視点で活用する発想こそが、大きな追加投資なしに収益源を多様化する道を開いているといえるでしょう。
まとめ|顧客との関係性を資産として捉える視点
オイシックスの戦略に一貫するのは、「顧客との関係性を多面的な資産として捉える」という視点です。週次で顧客の声を収集する仕組みは情報資産を蓄積し、初回購入から定期化までの一貫した設計は長期的な関係性を構築し、リテールメディア化はその関係性から新たな価値を生み出します。
これらの法則は、食品EC業界に限らず、サブスクリプションモデルを採用するあらゆる業界に応用可能です。顧客との接点を「取引」として捉えるのではなく、「継続的な関係性」として捉え直すこと。この発想の転換が、持続的な成長への道を開くのではないでしょうか。
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