ドン・キホーテのEC戦略7選|「売らない」デジタル活用とOMOの正体
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「EC化率をどう引き上げるか」

多くのEC担当者が日々頭を悩ませる、最大の命題です。

ところが、この常識に真っ向から逆らい、物販ECから事実上撤退しながら36期連続増収・営業増益を達成している企業があります。それが総合ディスカウントストア、ドン・キホーテ(PPIH)です。

多くの小売企業がAmazonや楽天への対抗策としてEC強化を急ぐ中、なぜドンキは「ECをやらない」選択をしたのでしょうか。そこには、自社の強みを最大化し、店舗を最強にするための極めて合理的な計算がありました。

本記事では、ドン・キホーテが実践する7つのECマーケティング戦略について解説します。

ドン・キホーテのEC戦略とデジタル施策の現在地

ドン・キホーテ(PPIH)の業績は、小売業界の中でも極めて好調です。多くの小売企業がAmazonや楽天との競争で苦戦し、実店舗の売上減少に悩む中、ドン・キホーテは独自の道を歩んできました

まずは直近の決算推移を見てみましょう。

◆PPIH(ドン・キホーテ)の売上高・営業利益の推移

PPIH(ドン・キホーテ)の売上高・営業利益の推移

参照:株式会社パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス「連結業績(財務グラフ)」より

2025年6月期の決算によると、売上高は2兆2,468億円、営業利益は1,623億円で、これはいずれも過去最高水準です。

ドン・キホーテが、このデジタル時代において実店舗だけで成長できるのには明確な理由があります。それは「ECをやらない」のではなく、デジタルを「売らないための道具」として使っているからです。この成長を支えているのが、単なる安売りではない、緻密に計算されたデジタル戦略です。

36期連続増収を支える「利益構造」への徹底したこだわり

ドン・キホーテの戦略の根底にあるのは、「利益(儲け)」への徹底したこだわりです。

同社はかつて自社ECサイトを運営していましたが、2018年に一般向け物販ECから事実上撤退しました

ただしこれは「ECで失敗した」わけではありません。「低単価商品をECで売ると、物流コストで利益が残らない」という構造的欠陥を見切り、利益が出ない事業を捨てるという経営判断を下した結果なのです。

ドン・キホーテは利益を最大化させるため、売上規模(EC化率)を追うのではなく、確実に利益が残る「実店舗」へリソースを集中させる判断をしました。この「やらない勇気」の結果が36期連続増収・営業増益という数字に表れていることを考えれば、これはまさに英断だったと言えるでしょう。

会員数約1,800万人アプリ「majica」を核にしたOMO戦略

ECから撤退した一方で、ドン・キホーテが猛烈な投資を行ったのが公式アプリ「majica(マジカ)」です。2025年6月期時点で、majicaアプリの会員数は約1,700万人に達しています。これは国内の小売アプリとしてはトップクラスの規模です。

◆2024年9月時点での「majica」のDL数推移(Sensor Tower調べ)

2024年9月時点での「majica」のDL数推移(Sensor Tower調べ)

参照:2024年6月に売上高2兆円超えを記録したPPIH、同社アプリmajicaはコミュニティ機能で差別化

majicaの特徴は、「商品を売るためのツール」ではなく、「顧客とつながり続けるためのメディア」として機能している点です。クーポン配信、在庫検索、店舗への来店誘導、電子マネー決済、ポイント管理など、店舗体験を最大化するための機能に特化しています。

ECサイトのように「オンラインで購入を完結させる」ことが目的ではありません。このアプリは「オンラインで情報を得て、オフラインで購入する」という行動を促すOMO(Online Merges with Offline)の中核として設計されているのです

ドン・キホーテのECマーケティング戦略7選

ドン・キホーテのデジタル活用は、一般的な「商品をカートに入れる」ECサイトとは全く異なります。その独自のアプローチを、7つのポイントに整理しました。

◆ドン・キホーテ公式が取り組む7つのECマーケティング施策

①ドン・キホーテのデジタル面は「DOC」へと再定義

②店舗送客に特化したmajicaのOMO戦略

③「個店主義」を支える現場主導のプッシュ通知

④「時間消費」型の体験を提供するCV+D+A理論

⑤顧客の「ダメ出し」を即座に商品開発へ活かす仕組み

⑥majicaのチャージ機能が作り出す再来店のループ

⑦「意図的ダブルスタンダード」による越境EC戦略

ここからは、ドン・キホーテが重視してきた7つの要素について、それぞれ詳しく説明します。

戦略①ドン・キホーテのデジタル面は「DOC」へと再定義

ドン・キホーテは、デジタルの役割を「通販(EC)」から「顧客接点(DOC)」へ再定義しました。

ドン・キホーテが扱う食品や日用雑貨は単価が安く、EC配送にかかる物流費を吸収できません。そこで彼らは「EC(Electronic Commerce)」という言葉を捨て、「DOC(Digital Online Communication)」という独自の概念を打ち出しました。

これはデジタル上でのゴールを「決済」に置くのではなく、「店舗に来てもらうためのコミュニケーション」に置くという宣言です。「通販はやらない」と割り切ることで、アプリのUI/UXを「いかに店舗に行きたくなるか」という一点に集中させることが可能になりました。

戦略②店舗送客に特化したmajicaのOMO戦略

ドン・キホーテの公式アプリ「majica」の最大の特徴は、「購入ボタン」が存在しないことです(※一部直送便などを除く)。

一般的な小売アプリでは、店舗在庫がない場合にEC購入へ誘導しますが、majicaは逆です。アプリ内でできるのは「店舗で使えるクーポン情報」と「キャンペーン情報」のみ。あえて「アプリで買えない」状態を作ることで、顧客の足を店舗へ向けさせています

◆majicaアプリの「店舗送客」に特化した画面設計

majicaアプリの「店舗送客」に特化した画面設計

出典:ドン・キホーテ公式アプリmajicaのスクリーンショットを筆者撮影

majicaが提供するお得情報は「アプリ会員であれば店舗でお得に商品を買える」というもの。あくまで実店舗へ向かう動線がメインになっています。これは「アプリで調べてリアルで買う」という行動を意図的に作り出す、極めて強力なOMO施策です。

戦略③「個店主義」を支える現場主導のプッシュ通知

ドン・キホーテの最強の武器は、店舗ごとに価格も品揃えも異なる「個店主義」です。しかし、これはデジタル化において「情報の統一ができない」というデメリットになりがちです。

そこでドン・キホーテは、アプリの運用権限を本部のマーケティング部ではなく、「現場の店舗スタッフ」に委譲しました。ユーザーがアプリで「マイ店舗」を登録すると、本部からの一律のメルマガではなく、その店の担当者が作成した「限定クーポン」や「タイムセール情報」がプッシュ通知で届きます。

結果、「全国一律の情報」ではなく、「今、近くの店で何が起きているか」というライブ感のある情報が届くため、アプリの開封率と来店コンバージョンが劇的に向上しました。デジタルを使って中央集権化するのではなく、デジタルを使って現場の個性を加速させるのがドンキ流のDXです。

戦略④「時間消費」型の体験を提供するCV+D+A理論

ドン・キホーテが「アナログな店舗」にこだわる理由は、PPIHが公式に掲げる「CV+D+A」という勝ち筋の理論にあります。

CV+D+Aの概念
  • CV(Convenience=便利さ):24時間営業、豊富な品揃え
  • D(Discount=安さ):激安価格での提供
  • A(Amusement=楽しさ・興奮): 宝探し感覚の店舗体験

CV(Convenience=便利さ)とD(Discount=安さ)は、AmazonなどのECでも提供可能な価値です。しかし、A(Amusement=楽しさ・興奮)だけは、整然としたデジタルの画面上では再現が困難とされています。そしてドン・キホーテは、この「A」こそが自社の最大の競争優位性であると定義しているのです

彼らのデジタル戦略(アプリ)は、アプリの中で「A」を完結させることではありません。「店舗に行けば何か面白いことがある(Aがある)」という予感を感じさせ、リアル店舗へ誘導するための「呼び水」として機能させることに徹しています。

戦略⑤顧客の「ダメ出し」を即座に商品開発へ活かす仕組み

ドン・キホーテのプライベートブランド(PB)「情熱価格」は、単なる安売り商品ではありません。パッケージに大きく「ド」と書かれたこのシリーズは、「ピープルブランド(顧客と一緒に創るブランド)」を掲げています。

もっとも特徴的なのは、購入者が特設サイトやアプリから商品に対する容赦ない不満(ダメ出し)を投稿し、開発担当者がそれを元に即座に商品をリニューアルする仕組みです。

◆ドン・キホーテのプライベートブランド「情熱価格」シリーズ

ドン・キホーテのプライベートブランド「情熱価格」シリーズ

参照:ドン・キホーテ公式サイト内「情熱価格とは」より

たとえば、スナック菓子「しいたけスナック」は、「しいたけ嫌いの人にも美味しいと言わせたい」というコンセプトの下、顧客の声を元に改良を重ね、想定を大きく上回る大ヒット商品になりました。また、2024年に限定販売された「にんにく炸裂18倍ペペロンチーノ」は、「もっとパンチが欲しい」という要望に対し、常識外れのニンニク量で応えたことで話題を呼びました。

さらに生活必需品においても、「強炭酸水」「安いだけでなく炭酸が強いものが欲しい」という声を反映して改良を続け、PB売上トップクラスの定番商品へ成長しています。

このようにドン・キホーテは、「ECで売る」ことこそしませんが、「ECのような双方向のコミュニケーション」を商品開発に取り入れているのです。

戦略⑥majicaのチャージ機能が作り出す再来店のループ

自社電子マネー「majica」による金融経済圏の確立も、ドン・キホーテの強力な武器のひとつです。

majicaアプリは、現金をチャージして支払うことで、ランク特典やクレジット(majica donpen card)併用時に「最大5%」ものポイント還元が発生します。一度チャージされたお金はグループ企業内でしか使えないため、必然的に「次もドンキに来る理由(ロックイン効果)」が生まれます。

◆自社電子マネーmajicaの特徴

自社電子マネーmajicaの特徴

参照:majica公式サイト「初めての方へ」より

実際、majica会員は非会員と比較して来店頻度が高く、1回あたりの購買金額も大きいことが決算資料で示されています。前受金(チャージ残高等)は1,000億円規模に達しており、この潤沢なキャッシュフローこそが財務基盤を盤石にしていると言えるでしょう

通常の小売業であれば、売上が立って初めてキャッシュが入りますが、majicaであればチャージの時点で先にキャッシュを得ている形となります。

この潤沢なキャッシュフローが、ドン・キホーテの財務基盤を盤石にしています。また同時に、顧客の財布の中に「ドンキ専用のお金」を作り出し、他店への流出を防いでいるとも言えるのです。

戦略⑦「意図的ダブルスタンダード」による越境EC戦略

ドン・キホーテは、中国や東南アジアといった海外市場(越境EC)においては、例外的にEC販売を積極展開しています

これは、海外において「ドン・キホーテ(Don Don Donki)」が、高品質な日本製品を買える「ブランド指名買い」の対象だからです。中国のEC市場規模は日本の約4倍とも言われており、国内とは桁違いの市場ポテンシャルがあります。

「宝探し(何があるか分からない)」を楽しむ国内とは異なり、「日本のあの商品が欲しい」という明確な目的買い需要がある海外市場。このケースにおいては、ECが有効に機能すると判断された結果です。

◆ドン・キホーテの海外向けオンラインストアの展開

ドン・キホーテの海外向けオンラインストアの展開

参照:海外向けドン・キホーテ公式サイト「Don Quijote」トップページより

この取り組みからは、同社の「絶対にECをやらない」という頑固さではなく、「勝てる市場ではやる、負ける市場(国内物販)ではやらない」という、冷徹なまでの合理性が表れています

多くの企業が「グローバルで統一されたブランド体験」を目指す中、ドン・キホーテは「国内と海外で真逆の戦略を取る」というダブルスタンダードを恐れません。それは一貫性のなさではなく、市場ごとに最適解を追求した結果です。この徹底した合理主義こそが、36期連続増収という数字の裏側にある思想であると言えるでしょう。

なぜドンキは「標準化」を拒むのか? ユニクロ・ニトリとの比較分析

ドン・キホーテの「個店主義×EC撤退」という戦略は、EC成功企業の定石とは真逆です。

一般的に、小売業界では「EC化率を上げる=正義」という暗黙の前提があるとされています。実際、ユニクロやニトリといった成功企業は、実店舗とECをシームレスに統合するオムニチャネル戦略で成長を遂げてきました。

では、なぜ同じ小売業でありながら、ドン・キホーテだけが全く異なる道を選んだのでしょうか。

その答えは「何を売るか」「どう買われるか」という商材特性と購買行動の違いにあります。

ここからは、日本を代表する小売ECの成功事例である「ユニクロ」「ニトリ」と比較し、なぜドンキには「標準化しない戦略」が最適なのか、その構造的な違いを明確にします

効率化を追求する「標準化」と、非効率を愛する「個店主義」

EC化率を上げるための王道は、業務と商品の「標準化」です。ユニクロの国内EC化率は約15%(2025年8月期)と言われていますが、ドン・キホーテの国内物販EC化率はほぼ0%です。

ユニクロの場合、全国どこでも同じ商品を、同じ品質・価格で提供できる体制を整えています。この体制こそが、ECと実店舗をシームレスに繋ぐ(オムニチャネル)ための土台になるものです。

※ユニクロがいかにしてこの「標準化」と「デジタル」を融合させ、世界一の座を狙っているのかについては、以下の記事で詳しく解説しています。

プロが考察するユニクロの7つのオムニチャネル戦略

一方、ドン・キホーテはこの成功法則を拒否し、「標準化できない面白さ」を選びました。店舗ごとに違う施策を採用するドンキを無理やりEC化すれば、その魅力は半減し、単なる「使いにくい通販サイト」になってしまうからです。

目的買いの「製造小売(SPA)」と、衝動買いの「仕入れ型」

小売業においては「商材」と「購買行動」の相性も無視できません。

たとえばニトリのような家具・インテリアは、サイズや仕様をじっくり比較検討する「目的買い」の商品です。持ち帰りが困難であることも含め、ECや物流網の整備が顧客満足度に直結します。

ニトリがどのようにして「お、ねだん以上。」をECでも実現しているのか、その物流戦略の秘密は以下の記事をご覧ください。

購入体験の向上を実現する「ニトリ」のマーケティング7施策

対してドンキの主力は、食品や雑貨の「衝動買い」です。ニトリが「物流と効率」で勝つなら、ドンキは「演出と熱量」で勝ちます。つまり両社は戦う土俵が全く異なるため、取るべきデジタル戦略も全くの別物になるのです。

アルゴリズムによる「最適解」と、カオスによる「セレンディピティ」

ドン・キホーテと他社の決定的な違いとして「レコメンドの方向性の違い」も挙げられます

AmazonなどのECサイトは、過去の購買履歴に基づくアルゴリズムで「あなたが欲しがりそうなもの(最適解)」を提案します。そこにあるのは「効率の良さ」であり、意外な商品との出会いはほとんどありません。

一方、ドン・キホーテの店舗は「圧縮陳列」によるカオスそのものです。そこには論理的なレコメンドはなく、「偶然の出会い(セレンディピティ)」があります。

◆セレンディピティを重んじるドン・キホーテの圧縮陳列

セレンディピティを重んじるドン・キホーテの圧縮陳列

参照:ドン・キホーテ公式Facebookより

「面白いものが見つかるかも」というワクワク感や、「こんな商品、知らなかった!」という発見の喜びは、整理整頓されたECサイトのUIではなかなか体験できません。

ドンキは「非効率なカオス」こそが価値であると理解しているため、あえてアルゴリズムが支配するECの土俵には乗らないということです。

小売業の枠を超えた戦い。奪い合うのは「財布」ではなく「可処分時間」

ここまで見てきたように、ドン・キホーテの戦略は一貫して「実店舗への送客」に特化してきました。しかし、なぜそこまで店舗体験にこだわるのでしょうか。

実は「ドンキの競合はAmazonだ」と考えている限り、彼らの戦略の本質は見えてきません。なぜなら、ドン・キホーテが着目しているのは「消費者の財布」ではなく、「消費者の可処分時間」だからです。この視点で見ると、ドンキの真の競合相手が誰なのかが見えてきます。

EC事業者が「時短」を競う中、ドンキは「時間消費」で勝負する

現代において最も希少な資源は、お金ではなく「時間」であるという考え方があります。どんな人にとっても、1日は24時間。現代においてはその「時間」の使い道を巡る競争こそが、真の戦場になっていると言うのです。

多くのEC事業者は、この時間を「いかに節約するか」で競っています。サイトの表示速度を0.1秒縮め、1クリックで決済を完了させ、AIレコメンドで商品探しの時間すら省略するといった工夫はすべて「Time Saving(時間短縮)」という価値提供につながるものです。

しかしドン・キホーテは、真逆のアプローチを取ります。迷路のような店内で客を意図的に迷わせ、圧縮陳列で「探す楽しみ」を演出し、あえて「Time Consumption(時間消費)」をさせようとするのです。

これは店舗設計の失敗ではなく、極めて戦略的な仕掛けだと言えます。

なぜなら、消費者が求めているのは「早く買い物を終わらせること」だけではないからです。むしろ「楽しく時間を使うこと」そのものが、大きな価値につながっていると言えるでしょう。

深夜2時の「今すぐ欲しい」に応えるナイトエコノミー戦略

ドン・キホーテが実店舗で持つ圧倒的な優位性のひとつが、「深夜の即時性」です。

Amazonがどれだけ配送を効率化しても、深夜2時に注文した商品を「今すぐ」届けることはできません。しかし、24時間営業のドン・キホーテなら、店舗で手に取ったその瞬間に購入できます

「急にスマホの充電器が壊れた」「明日の朝までにパーティーグッズが必要になった」といった衝動的・緊急的なニーズに対し、ドンキは「ナイトエコノミーのインフラ」として機能しています。

そして、この深夜需要を最大化しているのがmajicaアプリです。「今開いている店はどこか」「欲しい商品の在庫はあるか」をリアルタイムで可視化することで、深夜の来店ハードルを極限まで下げているのです。

ECの最大の弱点は「配送ラグ(時間差)」です。ドン・キホーテは、この構造的な弱点を突き、深夜という時間帯の可処分時間を独占していると言えます。

真の競合はAmazonではなく、YouTubeやNetflixである

繰り返しになりますが、ドン・キホーテの戦略を理解する上で重要なのは、彼らが奪おうとしているのが「買い物の時間」ではなく「暇つぶしの時間」だという点です。

消費者が「今日の夜、何しようか」と考えたとき、選択肢として挙げられる行動はさまざまでしょう。

  • Netflixで映画を見る
  • YouTubeやTikTokを見る
  • ゲームアプリで遊ぶ
  • ドン・キホーテに行く

つまり、ドン・キホーテの真の競合はAmazonや楽天ではなく、YouTube、Netflix、TikTokといったエンターテインメント企業なのです

実際、ドン・キホーテの平均店舗滞在時間は約40分と言われており、これはYouTubeの動画数本分、Netflixのドラマ1話分に相当します。コンビニ(3〜5分)やスーパー(15〜20分)と比較すれば、ドン・キホーテが「買い物」ではなく「時間消費型エンターテインメント」として機能していることは明白です。

YouTubeが「おすすめ動画」で視聴を促すように、majicaは「限定クーポン」で来店を促します。可処分時間を獲得するための構造は、本質的に同じなのです。

ドン・キホーテのEC戦略に関するよくある質問(FAQ)

最後に、ドン・キホーテのEC戦略についてよく寄せられる質問をまとめました。

Q. なぜドン・キホーテは物販ECから撤退したのですか?

A.低単価商品を中心とするドン・キホーテのビジネスモデルでは、EC配送にかかる物流コストが利益を圧迫するためです。「利益が出ない事業はやらない」という徹底した合理性に基づき、同社は2018年にEC撤退を判断しました。

Q. majicaアプリは一般的なECアプリと何が違うのですか?

A.最大の違いは「購入ボタンがない」ことです。ドン・キホーテのmajicaは商品の販売(決済)ではなく、店舗の在庫検索やクーポン配信など「店舗への送客(来店動機作り)」に特化したOMOツールとして設計されています。

Q. ドン・キホーテのOMO戦略から自社が学ぶべきポイントは?

A.ドン・キホーテのOMO戦略最大の特徴は、「EC化率」を目的とせず、自社の強み(この場合は「体験」と「個店主義」)を最大化するためにデジタルを使うという視点です。無理にECで売るのではなく、デジタルを「実店舗への集客装置」と割り切る戦略も有効です。

まとめ

ドン・キホーテのEC戦略は、「ECをやらない」という一見時代錯誤なものでした。しかしその内実は、自社の強み(個店主義・時間消費)を深く理解し、それと相反するECを捨て、補完するデジタル(OMO)に特化するという、極めて高度な経営判断の結果です。

  • EC化率だけをKPIにしない
  • 「標準化」が正解とは限らない
  • デジタルは「売る」ためだけでなく、「呼ぶ」ためにも使える

EC事業者にとって重要なのは、他社の成功事例を盲目的に模倣することではありません。自社のコアコンピタンスがどちらにあるのかを見極め、自社の勝ち筋に合致したチャネル戦略を描くことが、デジタル時代における生存戦略なのです。

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