ライフネットスーパーの成長の軌跡と将来展望
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日本のスーパーマーケットでトップクラスの売上を誇るライフコーポレーションは、店舗事業のみならず、ネットスーパー事業にも力を入れています。

同社がネットスーパー事業を開始したのは、スーパーマーケット業界の中では必ずしも先行組ではありません。しかし、地道な改善を重ね、サービス水準を着実に高めることで、売上を順調に伸ばしてきました。また、新たにセンター出荷型のネットスーパーを開始すると発表し、今後の事業展開に注目が集まっています。

本稿では、ライフコーポレーションのネットスーパー事業のこれまでの歩みをたどり、その特徴を解説するとともに、将来を展望します。

ライフコーポレーションの概要

国内のスーパーマーケットをリードする存在として、業界で確固たる地位を築いているライフコーポレーションは、全国に300を超える店舗を展開し、営業収益は8,000億円を超えています。ネットスーパーの売上高も200億円を上回る水準に達しており、その成長が注目されています。

◆数字で見るライフコーポレーションの事業

出所:株式会社ライフコーポレーション「統合報告書2025」

同社の特徴のひとつは、上の図にも示されているように、首都圏と近畿に店舗網を築いている点です。二大都市圏の特定エリアに集中的に出店するドミナント戦略を採用することで、店舗への配送効率の最適化と地域におけるブランド認知度の向上を実現しています。これは店舗出荷型のネットスーパー事業においても大きな強みとなっています。

二大都市圏は人口密度が高く、総人口も多い魅力的な市場で、競争環境はシビアですが、こうした地域に集中することで、大きな売上を安定的に確保することが可能になります。

下図は、同社の売上高の推移を示しています。

◆ライフコーポレーションの売上高の推移

出所:株式会社ライフコーポレーション決算資料より作成。

売上高は、コロナ禍初年に当たる2020年度に7,000億円を超え、4期後の2024年度には8,000億円に達するなど、順調に成長していることがわかります。

成長を続けているライフコーポレーションが、現在、特に力を入れているのが、ネットスーパー事業です。

以降では、同社のネットスーパー事業の取り組みを見ていきます。

数字でみるライフネットスーパーの歩み

国内のネットスーパーの歴史は、2000年に西友、2001年にイトーヨーカ堂とイズミヤが事業を開始した時期を創成期と位置付けることができます。その後、オークワ(2006年)、ユニー(2007年)、イオン(2008年)、ダイエー(2008年)といった企業がネットスーパーに参入しました。

情報出所:後藤亜希子「参入が増えるネットスーパーの動向と今後の可能性に関する検討」『流通情報』2010年7月号(No.485)、14~21頁。

ライフコーポレーションは、西友やイトーヨーカ堂などの先行各社から10年以上遅れて、2011年7月に首都圏の1店舗で「ライフネットスーパー」を試験導入し、翌2012年に近畿圏の5店舗を含む9店舗で本格的にサービスを展開しました。

◆ライフネットスーパーのトップページ(PC版)

画像出所:ライフネットスーパー公式サイト(PC版トップページを2025年11月5日に閲覧)

当初、店舗出荷型のライフネットスーパーは対応店舗が限られていたため、実験的な取り組みにとどまっていました。しかし、その後は順次対象店舗を拡大し、売上規模も着実に伸ばしてきました。

2025年11月現在の全店舗数、ネットスーパー対応店舗数、および対応率は、以下の通りです。

◆ライフコーポレーションの店舗数とネットスーパー対応店舗数

出所:株式会社ライフコーポレーション公式ウェブサイトより作成。

上の表にあるように、2025年11月5日現在、同社の全店舗の40%強がネットスーパーに対応しています。

同社は、事業開始当初から行っている店舗出荷型のネットスーパーに加え、2019年にはアマゾンとの協業により、アマゾン上でも「ライフネットスーパー」を開始しました。

◆アマゾン上のライフネットスーパー(PC版)

画像出所:アマゾン上のライフネットスーパー(PC版トップページを2025年11月5日に閲覧)。キャプチャしたものを加工。

同社は、アマゾンとの協業発表時、自社だけでは対応できない部分をアマゾンに補ってもらうことでサービス水準を高めることを狙いとし、配送ノウハウや物流機能を学びたいと意欲を示していました。

一方で、当時、アマゾンは、ライフコーポレーションが高品質なプライベートブランドも展開しており、アマゾンの品ぞろえを充実できる企業であることから協業することにしたと述べています。

情報出所:流通ニュース「アマゾン、ライフ/生鮮食品のオンライン販売で協業」(公開日:2019年05月30日、閲覧日:2025年10月30日)

ライフコーポレーションは、2025年9月にアマゾンで、体にやさしい素材と製法を採用したプライベートブランド「BIO-RAL(ビオラル)」の販売を開始しました。

同年10月時点で、3県を除く全国各地から注文があったといい、同社では、アマゾンを通じて商品を認知してもらうことで、店舗への来店を促せると考えています。

情報出所:流通ニュース「ライフ/ネットスーパー事業を強化、センター出荷型も開始」(公開日:2025年10月07日、閲覧日:2025年10月15日)

このように、同社はネットスーパーへの注力を続け、サービス水準の向上を図ることで、顧客からの支持を得てきました。

やや古い情報ですが、NTTコム オンライン・マーケティング・ソリューション株式会社が2020年12月に実施した消費者調査によると、ライフネットスーパーは、ネットスーパー業界の主要サービスの中で顧客ロイヤルティが1位でした。消費者の評価が高い項目には、以下のものがあります。

  • 配送料の適切さ(調査対象サービスで1位)
  • 欠品の少なさ(調査対象サービスで1位)
  • 受け取り方法の豊富さ
  • 割引の充実度

この消費者調査の結果から、ライフネットスーパーが、総合的に顧客からの信頼と支持を集めていることがわかります。

情報出所:NTTコム オンライン・マーケティング・ソリューション株式会社プレスリリース「NTTコム オンライン、ネットスーパーを対象にしたNPS®ベンチマーク調査2020の結果を発表」(公開日:2021年2月28日、閲覧日:2025年10月20日)

なお、先に見たように、同社の全社売上高は増加を続けていますが、ネットスーパー事業の売上高の伸びは、それを上回る勢いです。

◆ライフコーポレーションのネットスーパー事業の売上高の推移

出所:株式会社ライフコーポレーション決算資料より作成。

全社売上高が総店舗数の影響を大きく受けるのに対し、ネットスーパーの売上は、サービス対応店舗数に強く依存しています。近年、ネットスーパー対応店舗の増加が、店舗数の増加を上回っているため、ネットスーパーの売上伸び率は全社のそれを凌ぐ水準となっています。

コロナ禍前には、全社売上高に占めるネットスーパー事業の割合は1%に満たなかったものの、その後着実に拡大し、2024年度には3%に到達しています。

◆ライフコーポレーションのネットスーパーの売上高比率の推移

出所:株式会社ライフコーポレーション決算資料より作成。ネットスーパー売上高の割合は筆者が算出。

なお、同社は、2030年度に売上高1兆円の達成を目標に掲げており、そのうちネットスーパー事業については、全体の10%にあたる1,000億円を目指しています。

情報出所:株式会社ライフコーポレーション「2026年2月期 第2四半期 決算説明会資料」(2025年10月8日)

近年、売上高を大きく伸ばしてきたネットスーパー事業ですが、直近の2024年度の売上248億円を、2030年度に4倍以上の1,000億円にするのは容易ではありません。

先に確認した通り、既に全店舗の40%強がネットスーパーに対応しており、今後、新規出店と並行して対応店舗の割合をさらに高め、アマゾンでの売上を増やしたとしても、目標の達成は容易ではないと考えられます。

そこで次章では、同社がネットスーパー事業でどのような新戦略を打ち出しているのか、その具体的な施策を見ていきます。

ライフネットスーパーの位置づけと新たな取り組み

ライフコーポレーションは、ネットスーパー事業を同社の将来の成長を支える柱を担う重要な事業だと位置付けています。以下では、そのことを確認するとともに、近年実施したネットスーパーの施策と、今後の戦略の方向性についても見ていきます。

ネットスーパーは同質化競争からの脱却のカギ

ライフコーポレーションは、先に見た通り、2030年度の売上目標を1兆円としています。この目標を含む「2030年度にライフが目指す姿」の達成に向け、2023年度から2026年度までの4年間を対象とした「第七次中期経営計画」を策定しており、2025年11月現在、この計画を実施しています。

第七次中期経営計画では、次の3つの主要テーマが掲げられています。

  1. 人への投資
  2. 同質化競争からの脱却
  3. 持続可能で豊かな社会の実現に貢献

このうち、「2.同質化競争からの脱却」は、成熟市場であるスーパーマーケット業界において、顧客から支持を得続けるために不可欠な取り組み課題と言えるでしょう。

同社は、「2.同質化競争からの脱却」を実現するために、以下のことを実行すると述べています。

「ライフでしか購入できない商品を自社の供給網により安定的に供給し、温かく魅力的なリアル店舗と便利なネットのどちらでも手に入る環境を作りあげます。さらに、デジタルとデータを活用してお客様一人ひとりに『ちょうどいい』提案をし続けることを目指します」

情報出所:株式会社ライフコーポレーション「第七次中期経営計画(2023年度~2026年度)『つながろうライフ!つなげようlife!』」(2023年4月)

ライフコーポレーションは、2026年度までの計画において、そして、2030年度の目標達成を目指す上で、ネットスーパー事業の更なる発展を重視していることが分かります。

モバイルアプリの提供による利便性向上

近年、ライフコーポレーションのネットスーパー売上高は大きく伸びていますが、この伸びには、2021年に提供が始まった「ライフネットスーパーアプリ」の影響が少なくないと考えられます。

◆ライフネットスーパーアプリの画面イメージ

画像出所:株式会社10Xプレスリリース「10Xとライフ『ライフネットスーパーアプリ』を提供開始 〜売上100億円を目指すライフのEC事業をデジタル面で支援〜」(公開日:2021年3月8日、閲覧日:2025年10月24日)

ライフネットスーパーアプリが提供開始された際のリリースによると、アプリの主な特徴は以下の3点です。

特徴1:一覧性の高い売場

豊富な品揃えの中から商品を迅速に選んで購入できます。また、セール商品のチェックも容易に行えます。

特徴2:こだわりのプライベートブランド商品

コンセプトが異なる「スマイルライフ」「ライフプレミアム」「BIO-RAL」「スターセレクト」という4種類のプライベートブランドの商品を手軽に購入できます。

特徴3:お気に入り商品を保存できるマイリスト機能

いつも買う商品を「お気に入り」に設定することで、アプリのタブからいつでも確認ができます。毎回購入する定番商品をカートに一括で追加するなど、操作に時間がかかりません。

情報出所:株式会社10Xプレスリリース「10Xとライフ『ライフネットスーパーアプリ』を提供開始 〜売上100億円を目指すライフのEC事業をデジタル面で支援〜」(公開日:2021年3月8日、閲覧日:2025年10月24日)を内容が変わらない範囲で一部改変。

なお、アプリの導入によって、従来のネットスーパーの課題であった、店舗に比べて品ぞろえが少ない点が改善されています。従来は商品情報の掲載が手作業で行われていましたが、アプリ導入によりその作業が自動化されたことなどが背景にあります。結果として、アプリ提供開始から約1年半後の2022年8月時点で、ネットスーパーの取り扱い商品数は1.5倍に増えました。

情報出所:株式会社10X公式ウェブサイト「リアル店舗同様の品揃えで安心・安全な商品を届けるために。『Stailer』導入でネットスーパー事業へ新たな変革を」(公開日:2022年10月13日、閲覧日:2025年10月28日)

先に紹介した調査はアプリ提供前に行われたものですが、アプリ導入により利便性が高まったことを考えると、顧客ロイヤルティはさらに向上している可能性が高いと考えられます。

配送品質を支える「ライフホームデリバリー」

ライフネットスーパーの配送業務は、2021年6月に事業を開始した、同社の関連会社である株式会社ライフホームデリバリーが中心となって担当しています。

◆ライフホームデリバリーのロゴ(左)と配送車(右)

画像出所:株式会社ライフコーポレーションニュースリリース「EC事業1,000億円に向けて配送・サービスレベルの向上を目指す 新会社『ライフホームデリバリー』が事業を開始」(2021年6月11日)

ライフホームデリバリーは、ライフネットスーパーの事業規模拡大に対応して設立されました。事業開始以降は、安定した配送体制と質の高い接客・サービスを実現し、顧客満足の向上に貢献していると考えられます。

2021年のアプリ提供とライフホームデリバリー設立の両輪により、ネットスーパー対応店舗の拡大が加速し、その結果として、近年のライフネットスーパーの売上増加につながったとみられます。

2027年にセンター出荷型ネットスーパーを開始予定

ライフコーポレーションの店舗出荷型ネットスーパーは、ドミナント戦略により高い店舗密度を実現していることから、配送効率の向上に寄与してきました。しかし、将来的には、需要に対して供給が不足する可能性や、店舗から離れた地域への配送が困難になるという課題があります。

こうした課題に対応するため、同社は2027年秋にネットスーパー専用の大型センターを稼働させ、センター出荷型ネットスーパーを開始することを発表しました。

◆ライフネットスーパーの課題とセンター出荷型ネットスーパーに取り組む狙い

出所:株式会社ライフコーポレーション「2026年2月期 第2四半期 決算説明会資料」(2025年10月8日)

同社の岩崎高治社長は、2025年10月7日の会見で以下のことを述べています。

  • 成長市場であるEC市場は非常に魅力的である
  • 自社ネットスーパーとアマゾンへの出店のいずれも店舗出荷型で人員と配送のキャパシティが不足している
  • そのため、年間売上で30億円ほどの機会ロスが発生している(潜在的なロスはさらに大きい可能性がある)
  • センター出荷型ネットスーパーにより供給能力を高めることでネットスーパー事業を成長させることができる

上の資料にもある通り、大型のセンターを自社で設立するには大きな投資が必要ですが、今回のケースは通常と比べて小規模な投資でセンター出荷型ネットスーパーに取り組めるタイミングであり、同社にとって効率的かつリスクを抑えた事業拡大の好機となります。

これは、新センターがイトーヨーカ堂運営のネットスーパー新横浜センターを引き継ぐためです。

情報出所:流通ニュース「ライフ/ネットスーパー事業を強化、センター出荷型も開始」(公開日:2025年10月07日、閲覧日:2025年10月15日)

◆ライフネットスーパーの大型センター(2027年秋に稼働予定)

出所:株式会社ライフコーポレーション「2026年2月期 第2四半期 決算説明会資料」(2025年10月8日)

店舗出荷型ネットスーパーでは、配送時間が店舗の営業時間に制約されますが、センター出荷型ではその制限がなく、配送枠を拡大できます。また、店舗スペースの制約で対応が難しかったケース販売や定期購入への対応も、センター出荷型では実現可能であり、導入が検討されています。

このため、センター出荷型ネットスーパーの開始により、顧客対応力を大幅に強化できるといえます。

生産性の面でも、センター出荷型ネットスーパーは優れています。ネットスーパー担当者によれば、店舗出荷型の約5倍の生産性があるといいます。

情報出所:流通ニュース「ライフ/ネットスーパー事業を強化、センター出荷型も開始」(公開日:2025年10月07日、閲覧日:2025年10月15日)

ライフコーポレーションが新たに開始するセンター出荷型ネットスーパーは、従来の店舗出荷型を補完する新たな供給体制として位置づけられます。これにより、ネットスーパー事業の基盤がさらに強化されることが期待されます。

なお、ライフコーポレーションに先立って、センター出荷型ネットスーパーを開始している企業にイオンがあります。同社が2023年7月に事業を開始したセンター出荷型ネットスーパー「Green Beans」について解説した記事はこちらです。

参考記事:Green Beansとイオンネットスーパーの比較で知るイオンのねらい(公開日:2025年3月10日)https://ecact.jp/aeon-netsuper/

ライフネットスーパーの将来展望~期待される成長と克服すべき課題~

ライフコーポレーションは、店舗出荷型ネットスーパーの改善やアマゾンとの協業、アプリ導入、配送体制の整備により、ネットスーパー事業で着実な成果を上げてきました。

同社は2030年度にネットスーパー事業の売上1,000億円を目指していますが、既に対応店舗が全店舗の40%を超えていることから、達成は容易ではありません。

しかし、2027年秋に開始予定のセンター出荷型ネットスーパーが顧客の支持を集めて成功すれば、目標達成の可能性は大きく広がります。

センター出荷型の導入は、配送エリアや配送枠の拡大、品ぞろえの充実を通じて顧客利便性を高めるとともに、生産性の向上にも寄与し、ネットスーパー事業の成長をさらに加速させるでしょう。こうした展開は、同社全体の売上拡大や顧客ロイヤルティ向上にもつながるとみられます。

一方で、センター出荷型ネットスーパーの開始に伴い、既存の店舗出荷型ネットスーパーとの役割分担や注文パターンの変化に柔軟に対応することも課題です。注文方法や配送方法が増えることで、顧客が混乱する可能性もあります。

実際、センター出荷型ネットスーパーで継続的な成功を収めた小売企業は多くなく、運営には高い難易度が伴います。

今後、これらのリスクを適切に管理しつつ、顧客体験を向上させる取り組みを続けられるかが、同社ネットスーパー事業の持続的成長を左右するといえるでしょう。

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